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テスト終わりのひととき

投稿したつもりが、上手く処理できていなかったようで投稿できておりませんでした。

申し訳ありませんでした。

では、続きをお楽しみください。

「あー……。やっと終わった……」


 今日はテスト最終日。この瞬間テストという呪縛から解放されたのだ。


「水野、テストどうだった?」


「微妙」


「俺は結構自信あるぜ」


「はいはい」


 後ろから聞こえてくる声を聞き流しつつ私は帰る支度をする。テストの日は終わったらそのまま帰られるのが嬉しいところだ。


「葵ー」


「葉月。テストお疲れ」


「なんか結構良い感じ!」


「葉月にしては珍しいね」


「空輝に教わったからか?」


「うるさいわよ」


 山辺君は本当に葉月に対して全く壁がない。入学してから日にちも経っているのに、クラスメイトの男子はみんな遠巻きに葉月を見ているだけだ。女子は普通に話すけれど。


 まぁ話しかけられないのは葉月の見た目だけじゃないだろう。私がそばにいるから近寄りたくても近寄れないんだろな。変な虫がつかないならそれでいいか。


「私はテストは赤点じゃなければそれでいいよ」


「そういえば、赤点取ったら夏休み補習に来ないといけないんだよね? 休みまで学校になんて来たくないー」


 葉月は暑苦しいのに私に抱きつく。葉月なら心配はないとは思うんだけどな。


 というか、私にはないものをそんなグイグイ押し付けないでよ。とは思っているが、口には決して出さない。セクハラになってしまうから、多分。


「まぁ俺はどっちみち学校に来ないといけないんだけどな」


「え、あんた補習確定?」


「んなわけねぇだろ。テニスの練習だ。大会だって近いしな」


 そういえば、夏には大きな大会があるんだった。進路にも関わってくるだろうな。ここは神学校だし頭が良い人はたくさんいる。勉強ができるのは当然で、他に差をつけるためにも入賞経験や地域への貢献が必要となってくるのだ。


「あー。そういえばそんなのあったわね」


「知ってたのか?」


「一応写真部ですからね。その大会に行かなきゃだし」


「めんどくさそうな顔すんな。空輝も出るんだからいいじゃねぇか」


「うっさいわね」


 またいつものが始まった。私以外にもこうして素が出せる人がいるというのは嬉しい限りだが。


「水野は来ないのか?」


「私は別に……」


「いいじゃない!葵も行こうよ。どうせやることないんでしょ?」


「失礼ね。予定くらい……」


 ふと夏休みについて考える。しかし、課題と家事以外何も予定がない。


「そんな見栄張ることないでしょ。とにかく決まりね」


「あ、ついでに花火大会も行かねぇか?」


「あんた、どさくさ紛れに何誘ってんのよ」


「いいじゃねぇか」


 私の意思など関係ないようで、2人は勝手に話を進める。周りにいる男子の羨ましそうな視線に、山辺君は気付いているのだろうか。まぁ鈍感そうだし、大丈夫か。


「まぁ細かいことはまたグループで。俺はこれから練習だし」


 そう言うと山辺君は荷物を持って教室を出ようとした。


「あ、そうだ」


 何かを思い出したように山辺君が振り返る。その視線は葉月ではなく、私に向けられていた。


「水野、ありがとな。お前が教えてくれたおかげで今回の古文は助かった。じゃあな」


 そしてさっさと行ってしまった。思い出したように、しかもさりげなく言うものだから何も対応できなかった。


「あらあら。よかったじゃない」


 葉月がニヤニヤしながら私を見ていた。


「どういう意味よ」


「山辺君の役に立てて。さてと。私もそろそろ行かないと。葵も暇だったらうちに見学においで。いつでも新入部員大歓迎だから」


「それは遠慮しとく」


「残念。まぁとにかく、私は行くからね」


 葉月も同じく、教室を出て行った。テスト終わりと思えないほどの元気さだが、そんな姿を見て私も自然と元気が出てくる。


「暑いけど頑張って帰るか」


 特に何も予定のない私は、そのまま帰る。強い日差しが照りつける中、スマホを片手に家に帰った。

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