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テスト勉強

「あー、もう嫌だ」


「そんなこと言っていると赤点取って留年するわよ」


 私と葉月は学校の近くのファミレスでテスト勉強をしている。学校や図書館もあるのだが、あの場所は静かすぎるので話すらできない。


「とりあえず、古文からやろうか」


「えー。私やだー」


「葉月。赤点取るわよ。ほらやる」


「葵の鬼」


「はいはい」


 私はノートと教科書を広げる。わざわざ賑やかなファミレスにしたのはこうやってお互いに勉強を教えるためだ。高校に入ってからずと勉強だけは疎かにしたことはない。どの教科も丁寧にやってはきたが、それでも得意科目と苦手科目がある。


 ちなみに私は国語と社会系が得意で、葉月は理数系が得意。ちなみに苦手なのは逆である。ちなみに英語はお互い得意でも苦手でもない。2人合わせたらちょうどいいのにな。でも、こうして補えるからいいかもしれない。


「せっかく文化祭で楽しい気分だったのに、終わった途端テストだなんて、最悪でしかない……」


「文句言う前にさっさとやる。私も勉強しないといけないんだから」


「はーい」


 私は葉月を励ましながら勉強を教える。文句を言いつつも真面目に取り組む葉月。それに要領が良いのかすぐに覚えてくれる。どうしてそれなのに覚えられないのかと聞くと、先生よりも私の説明の方が覚えやすいとのこと。まぁ気持ちは分からなくはないけど。


「はー……。同じ日本語なのにどうしてこんなに難しいのかしら」


「それは昔の人からしたら私たちの言葉だって難しいって思われるわよ」


 今でも毎日のように新しい言葉は生まれている。本来の言葉の意味を別の意味で使ったり、本来の読みがある漢字を別の読み方にしたりと、逆に今の日本の言葉が難しいと思う。現代に生きる私たちでさえ、読めないし理解が出来ない言葉も多く存在しているほどだから。


「とりあえず、今日はここまでにしようか。明日は葉月、お願いするわ」


「任せなさい!」


 葉月は急に元気になり、せっせとカバンに勉強道具を入れている。葉月のこういう姿を見ると、普通の女の子なんだなと改めて実感する。見た目は別世界の人って感じだから余計に。


「じゃあまた明日ね。明日もここでいい?」


「大丈夫よ。また明日」


 私はファミレスの前で葉月と別れた後、そのまま歩き出した。せっかくだし本屋で参考書でも探そうかと思ったのだ。

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