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古事新記(ふるごとあらたにしるす)  作者: 五十鈴飛鳥
第4節 海と天はふたたび交わる
73/77

52暗い星明るい星

 光ることなく、また反射もない、天文学的に暗い星、人口惑星ニビル ネフェリムの母星。


 7万年前に氷河期を逃れ、宇宙に新天地を求めた者たち。

 2万6千年前には、火星に逃れ厳しい環境の中生き抜いてきたが、ある時争いが起こり、自らの生存権を破壊し、宇宙に出ることを余儀なくされた人たち。


 一部は火星に細々と生き、また一部は、宇宙を漂う人工の惑星から地球の復活を観察し移住計画を練っていた。


 ラグランジュポイントのコロニーは彼らの、火星移住の仮住まいであり、彼らの遺跡である。




 彼らの母星であるニビルは、太陽から遠く離れ日光の恩恵が得られない。そのため超出力のジェネレータを必要とした。


 縮退炉、夢のエネルギー源である。

 ブラックホールには静止系以外の解がある、その中身は電場があり自転をする、ブラックホールの極から放出される、ホーキング放射から得られるジェットを捉え、人の扱えるエネルギーへ変換している。

 ジェットはほぼガンマ線バーストなので、ほとんどの物質を透過する。X線ならまだ原子の軌道(K,L,Mなどの電子殻)につかまって、玉突き効果で電子変換されるが、E=hνから外れる波長なので、天然原子につかまらない。ガンマ線レーザーが開発されないのと同じ状況だが、ガンマ線バーストを捕まえて通常エネルギー状態にさせる物質を持っているのか?



 ブラックホールは蒸発している。決して吸い込むだけの天体ではなく、ある確率で放射-ホーキング放射-している。


 放射するので、いつかはなくなる。供給が断たれれば。そのため、スペースデブリや小惑星をエサに消失質量を補う事で規模を維持している。惑星表面には少ないエサを確保するため無数のセンサーと触手がある。深海生物に似ている。



 この際、物質をプラズマ化して分解する、これを降着円盤という。高エネルギー状態になるわけで、これを封じ込めする技術たるや想像もつかない。重量による空間のゆがみ、地場のゆがみ、降着円盤からの放射影響、回転によるひずみ。ありとあらゆる不確定を計算し、制御するなど人間業でできるはずがない。



 本来太陽3個分の質量で安定するものを、地球20個分で済ましている。かつて火星と木星の間にあった惑星を犠牲にして。



 重力は人が生きられない大きさであり、地球の5倍の直径としていくら距離を離したとしても、影響がないとは言えない。ガンマ線バーストのバリバリある状態で、どのようにそれを解決しているのだろうか?



 彼らが本当に生命活動を営んでいるのかは、外からはうかがい知れない。



 そんな彼らがコロニーの異常に気付いた。最接近に向かってビーコンを確認すると、反応がおかしい。それに社会生活の反応もある。明らかにノイズが多い。


 彼らは先遣隊を送ることにした。氷河期が明けてから最接近毎に先遣隊を送ったが、そのたびに大災害があり移住が先送りになっていたが、今回はさらに不確定な要素があると思われた。



 コロニーでは、宇宙艦隊が用意されていた。旗艦はムサシ。もちろんネフェリムを迎え撃つためである。


 ネフェリムは反して、武装らしい武装がなかった。ほとんどの技術を宇宙で生き残るために費やしたため、戦争を行う能力を極端に欠いていた。



 ネフェリムの地球圏移住計画は8百年後。ニビルは静かに近づいていた。



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