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古事新記(ふるごとあらたにしるす)  作者: 五十鈴飛鳥
第4節 海と天はふたたび交わる
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51人工太陽(核融合反応 封じ込めもしくは解放)

 宇宙からのビームは山を吹き飛ばし、光は全ての方向に拡散した。

 天から降りた光の帯は、一瞬で周囲を閃光に包みそしてきえた。その光は地中海からインドまで届いた。 



 キノコ雲が昇り、熱線が周囲を焼く。核と違い衝撃は発生していない。

 ビームの内訳は、三重水素(トリチウム)、陽電子、α線(ヘリウム核)、崩壊で生まれた素粒子各種、ガンマ線である。

 周囲原子への若干の核融合からの核分裂反応はあるが、ウラン-プルトニウム反応のようにはならないので、数年程度の一時的な放射能が残る。



 周辺地域の人々は悟った。神に敵うわけがない。石器時代の人々は天の根の国に下る覚悟をした。


 従属しても命がある人々に対してはそれでよいかもしれない。

 しかし、国の存続、民族の延命が望めない海原の根の国の者たちにとっては、戦争を辞める事は黙って絶滅を受け入れる事だ。日本がそう思っていた様に。ベトナムがアメリカに、リビアがフランスに、イスラム国が正規の国に対して多大な犠牲者を出しても戦う、歴史の結果が物語る。


 兄を失ったサーラは憔悴し、怒りの矛先の対象が余りに天井をいくつも突き抜けているため、まさしく言い表す言葉がない。



 海原の根の国では。カタパルトの配備が急ピッチで進んでいた。ボイラーは試作で用いたタイプでなく、バイオマスなどから得られる燃料を用いたガスタービン方式を採用した。


 ガスタービンエンジンは、発電機の技術も形にもなり電力も生み出されていた。しかし電子機器などには使われず、もっぱら遺跡の物体に注ぎ込まれていた。ほとんど砂漠に水を貯めるようなもので、吸い込まれて行くだけで外からは何かの変化があった様に感じられない。




「テヲ、修復状況は?」


「はい、義母さま。物資が不足している事もありまして順調とはいっていません。しかし、根幹の部分は甦りつつあります。制御盤の操作に関してホノヒコに解読させているので、解明された操作方法で、トリウム増殖炉(サブジェネレータ)太陽炉(メインジェネレータ)の燃料備蓄を始めています。」


「太陽炉に火が入れば、神機が復活できますね。」


「外装も鉄板で穴をふさいで、内装は必要な部分だけですので見てくれは悪いですが、機能の復活は近いでしょう。」


「神機が復活すれば、武器も使用可能になります。そうすれば易々と負ける事はないはずです。伝承には、地上に太陽をもたらす破壊兵器があるとあります。そのためには太陽炉が動く燃料(トリチウム)が得られる事が条件です。悩ましい!!神機の復活か太陽兵器か!!」


「神機の実弾兵器(ミサイル)は幸い、太陽炉がなくても火薬があれば何とかなりそうです。こちらも急いで製造させています。カタパルトの元になった兵器は太陽炉がなくては難しそうですが、太陽の方が優先と考えます。」


「しかし、先日のあの光の矢に太刀打ちできるか!?どこにいるかも知れない相手では。」


「確かに、あれを放たれては我々の命はないでしょう。しかし、ここに神機がある限り下手に手出しはしないでしょう。」


「なんとか引き分けに持ち込みたいが、あちらの女王はどのように攻めてくるのでしょう?」


「地中海をうろついている船は、話し合いにより降伏をさせているようです。それに武器や、奴隷、女などの要求はせず、食料に関しては金や銀と交換や、荷役などの対価を支払って得ているようで、住民達も進んで協力していると聞いています。」


「これは手ごわい。恐怖でなく協調で懐柔か。とんでもない事だわ。男は皆殺し(力で抑えていた分)、仇を返されるかも……士気も高く志願して戦いに参加するかも……」


「今までになかった状況です。協力部族が離れていっています。兵力はわれら一族のみです。」



「ううむ。もとよりアームも銃も独占していたので、一族の力だけで何とかできるかも知れないですが、食料や資源がどうしても少ない。奪い返さねば。」


「はい。前線を広げる準備をしましょう。義父さま(スーサ)にもご活躍いただかないと……」




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