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古事新記(ふるごとあらたにしるす)  作者: 五十鈴飛鳥
第4節 海と天はふたたび交わる
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42へいバディ!

 量子力学上は観測されなければ実在しない。素粒子が存在するためには観測は不可欠である。

 パラドックスの一種である。「月は我々が見ていなくても存在しているのか」アインシュタインは否定している。


 弱い力に関する粒子は真空(エネルギーが満たされている)より、スピンが反転したときウィークボゾンを借用して質量を得ている。実験的にニュートリノが地球を通る間に性質が変わることが検出された事で起こっていると予想がされる。

 まだまだ真空中の(フィールド)は解明されていない。


 強い力は、グルーオン(のり)とクォークの相互作用により重力が発せられる。

 重力と落下による加速度は区別が出来ない。重力の発生は重力子(グラビトン)に拠らない。


 気力場サイコメトリックフォースフィールド。そんなものが実在するのだろうか?提唱しておいて何だが、粒子なのか波動なのかよくわかってない真空に何が潜んでいるのだろう。





「You。もっとだ。もっとスクワットだ。」

「まだまだ足りないぞ。もっと負荷をかけるんだ。」



 ふたりの屈強な男たちが一人の男を囲む。

 囲まれた男も屈強だが、囲んだ男もすごかった。

「トレーニングは裏切らない。もっと反復するんだ。」


 男たちがトレーニングを強要する。


 トムとサム。ふたりはBudiである。苦痛も享楽も二人で共有する。欧米人ぽい名前だが偶然である。




 ちなみにこれは拷問である。一風変わっているが、謎のパワーで納得させられている。


「You。いい汗かいたら素直に話す気になったろう。」


「だれが・・・・・・」


「いい汗かくと気持ちいいだろう。さあしゃべるんだ。」


 無茶苦茶な理屈で自白を強要する。強負荷のバーベルを肩に掛けられ、息を抜くとすぐに崩れてしまいそうだ。


「さあ・・・・・・一緒にポージングだ。」


「・・・・・・んっ]

 辛い。


「どうだ?うまくいってるか?」

 カズチが様子を見に来た。テヲの拷問と違ってマイルドな拷問をやはり温く思っていた。


「兄貴ーーー!!、ウス!!なかなか筋がよくて、順調にビルドしていってます。」


「そうじゃない。なにか有益な情報は得られたか?」


「ウス!!新しい鍛え方が得られました。」


「馬鹿か!!貴様!!未知の知識を搾り出せ!!」


「でも兄貴、筋肉の鍛え方は未知の知識であります!!」


「やかましい!!目をえぐるなり玉をちぎるなりして搾り出せ。」


「でもそうすると、漢魂(メンズ○◎~。)が搾り出せなくなります。」


「お前らの歪んだ常識なんぞ知ったことか。女王陛下のご要望だ。技術や仕組みを聞き出せ。」


「ウス!!」


「じゃあ。もういっちょいっとく?」


「ウッス!!」


 二人はBudi。タンパク質を過剰に摂取した。






「新しい知識を得られると思うと楽しいですね。」

 ヒルメは、二匹目のドジョウがまんまと得られたと嬉々としてした。


「ですが、あの方法では得られますまい。」

 様子を見てきたカズチは、不安そうに答える。


「だめですよ。無理強いは。やはり交渉はギブアンドテイクですよ。ヤゴロヲのときもそうでした。まあ、はじめはスキンシップは無いですけど、心を開き始めれば早いものです。」


「恐れながら申し上げます。心を閉ざすやも知れません。目が死にかけています。」


「おかしいですね。体を鍛える事が好きそうだったので、気が合うと思ったのですが。」


「体を鍛える目的が、打撃を強化するための鍛錬と、アピールするためのトレーニングとは異なります。」


「どちらもスポーツではないですか。スポーツマンシップで意気投合すると思うのです。」


「あやつらに関しては妖しいことです。男色に走らないか監視したほうがよいでしょう。」」


「まっ!?なんか絵面が想像に耐えないことを言ってはいけません。」

 ひるめはちょっと頬を赤らめつつ、なんか変な顔になってしまった。


「失礼しました。しかし非常に疑いが強いものですので、やはり監視をつけたいのですが。」


「では、監視カメラを回しましょう。普段省電力のため切ってますけど、点けましょう直ぐ点けましょう。人も就けましょう。エクステンションアームズを装着可能な小柄な少年が良いでしょう。」

 ヒルメが意外とノリノリである。美少年だといいなと思いつつ。


「はい。今すぐに。」


 カズチとヒルメでは目的が違うようだ。






「Hey サム。そろそろいいんじゃないか?」


「Oh トム。そろそろ俺たちの愛の力を示す頃だな。」


 妖しい。愛の力とは何だろうか。想像したくない。



「伝説の(兄)貴の下でコク白すると願いが叶う。そんな言い伝えがこの国に伝わっている。」


「伝説の木の下で告白?恋愛ゲーかなにかか?」

 さすがに音だけ聞くとそう思う。


「Oh!!恋愛!!そうか。OKなんだ。」


 やばい方向に向かっているな。やはり牢屋はそういう雰囲気を作りやすいのか。

 トムとサムはじりじりと、男に近づいていく。


「おい!!おい!!やめろ!!やめてくれ!!」


「だめだ。もう我慢できない。」


 ある意味すごい効果のある拷問。いや何が起こるんでしょうね。




 そこに人影があらわれる。

「そこまでです。不貞は許しません。」

 エクステンションアームズを纏った少年が入り口に立っていた。


「なよっとした坊ちゃんには、刺激が強いからあっち行ってなさい。」

「そうよ。これから私たちいい感じになるんだから。」

 トムとサムはいつの間にかオネエ言葉に変わっていた。



「その男から離れろ。」


「いやよ。これからが本番。」


「では仕方がないな。」

 少年は、一瞬のうちに間合いを詰め、サムを吹っ飛ばした。残身を見ると懐に踏み込み、掌底を当てていた。物理的にいうと拳より衝撃が伝わりやすい。腕の骨の直線上にあるから。


「な・・・・・・なんてことしてくれるのよ。」

 トムが掴みの構えに移行する。


「次はあなたです。」


「油断したサムみたいにいかないわよ。」

 トムが身構える。


 少年はトムの投げ間合いに容易に入ってきた。


「もらったわ!!」

 腕を捕ろうと腕を上げたとき、少年は背中をトムにむけた。


「ぐふっ!!」

 少年の体当たりがトムの脇から入る。鉄山靠がクリーンヒットした。


「あなた方は、いったい何をしようとしていたのですか?カズチ様からは掴んだり覆いかぶさったりしたときに、声を掛けろと言われましたが。」


「・・・・・・子供・・・は知らなく・・・いいの。」

 息も絶え絶え、というより、エクステンションアームズの陸専用エアスラスタの威力を生身で受けて、命があるほうがおかしい。


 こうして男の貞操が守られ、素直に質問に答えるようになったという。

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