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古事新記(ふるごとあらたにしるす)  作者: 五十鈴飛鳥
1章 地上の楽園の太陽
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5話 お友達と一緒

 いや~出した出した、次から次へと突っ込まれ、もうトコロテン状態。

 男女が毎日日替わりで、入れ替わり立ち代りで。もう毎日ぐったり。







 教養棟と専門課程の研究棟とは離れた、サークル活動を行うためのクラブハウスがある。一応、一般サークルとして一室を与えられているが、それは森に隠れるように設置されていた。



 ここ1ヶ月くらい、授業が終わってから、2時間くらい一室に籠もり未来を語っていた。



 実質は姫が情報を引き出すための尋問部屋となっている。

 当初ヒルメ姫と二人っきりの放課後のお楽しみ(姫の一方的な)時間だったのだが、テーマを決めて専門家が来るようになり、終わる頃にはある程度ストーリーまとまった報告書が作成されていた。



 社会風俗から軍事までありとあらゆる情報が引き出されていった。

 食べ物、衣服、住居、電車や車、社会システム、武器などなど、工業的な実装技術は仕事に就いていないと、解らない部分が多いので、概念的な説明になってしまうがよかったのだろうか?



 夢物語としてみているか、有用と思っているかは、受け取る側の問題だが、現実に形になっているものがあるので、作れば証明になるだろう。


 そもそも、飛来してくる連中がアレと同じとは限らん。復讐でなく逆恨みになるかもしれない。






尋問によって得られた文明の違いとしては、


 食べ物や衣服に違いがあるのは当然で、

 食材にグローバル感が無い。一部アメリカ大陸方面に文明国があるようなので、アメリカ原産の食品が入ってくる程度で、他はアジア原産の食品。


 この時代の服は着物のような前あわせの服か、上からかぶる様な服が一般的で、洋服のようにボタンやジッパーというものがない。


住まいも温帯湿潤気候と、雨季乾季のある気候では、異なるのは当たり前だが、木造建築に茅葺屋根が古く伝統的だが、最近はスレート板の屋根で漆喰の壁が多い。コンクリートの建築物も存在する。


 リチウムやネオジム磁石が資源としてあるため、電気技術が発達し、内燃機関が発達していない。理論はあっても、商用化があまり盛んでない。資源があるのはうらやましい。

 熱量のみ欲しい場合などは、燃やすのが一番なので、暖をとったり、給湯したり、調理に関しては化石燃料を使う。



 発電方法が原発に依存している。

 水力、火力も一応あるのだが補助的なものであって、やはりメインは原子力。

 原子炉では、ブランケットを使って高速増殖炉を作ろうという試みもあるが、トリウム原発に比べ、プルトニウムが発生してしまうので処理が困るため実用していない。

 核爆弾を作る目的なら、同装置で兵器級プルトニウムが得られる。



 核融合に関しては研究中であり、現代と同じであるが、方式がまだ粒子加速器の延長方式のヘリカル型で、トカマク型、慣性封じ込め型(レーザー、重イオンなど)は未研究。


 電気的技術が進んでいるので、レーザーが兵器に使えるレベルで、爆縮理論がほとんどレーザーで進められるレーザー核融合炉の方が、小型化でき実用化が早いのでないかと考える。


 個人的にも好きな方式で、こちらのほうがまだ説明しやすい。



 ヘリカル型とトカマク型は、ほとんどプラズマ流体の計算で埋め尽くされており、原理的に効率がよいということは解るんだが、個人的に心躍らない。

 連続運転が出来るので、継続的な発電能力が期待できる方式。




 社会の法律や仕組みは、世界の概念が無いため、地域法といわざるを得ないので、統一規格という概念に乏しい。

 現代と違って若干ゆるいと感じる。





 戦力だが、原子力船はあるのだが、原子力空母や原子力潜水艦の発想が無かった。

 海外に、航空戦力や海上補給戦をする必要がある、攻める文明国が周りに無いから。

 当然、超音速戦闘機ではなく、地上を攻めるための飛行機があるのみ。攻撃ヘリという発想も無い。

 

 飛行機のジェットエンジンは、現代においても一番効率よく後方に噴出す装置なので、プロペラをモーターで回す方法より効率がいい。

 もともと民間飛行機の数が少ないので、軍用に右にならえで、プロペラ機よりジェット機がメジャーである。

 ちなみに現代のヘリはガスジェットでプロペラを回していて、残りの排気は後方噴射の推力に利用する。



 よそへ殖民するなら、空母とは言わないが強襲揚陸艦、イージス艦、多目的ヘリはあったほうが便利だろう。



 ミサイルは無いが、近距離は大砲、小出力レーザー(機銃はあるが、レーザー小銃の方が一般的。) 中距離(対地、対空)はレーザー、遠距離(大和の主砲ぐらい)はレールガンと分かれている。基本的に蛮族相手では無敵。国内のほうが心配だが、今のところ内戦は起こる気配が無い。


 ミサイルやロケットのように、命中率の高い誘導弾、また遠方にモノを飛ばす必要が無いので発達していない。






 その中で、判明したこととして、基礎技術成り立ちが根本的に異なる。

 基本単位の成り立ちが、物理定数によらなくても、国内合意で統一されるため、あまり重要視されていない。

 もちろん精度を上げるには、物理法則に基づき量子標準で決めたほうが都合がいい。





 まず現代の技術を再現するには、ここを固めないと、同じ物にならない。


 現代計量標準は、”周波数”を基にしている。時間はもとより、長さ(単位時間で光の進む距離、実用法は、違う5波長以上のレーザー干渉)、電圧(ジョセフソン電圧効果)、重さ(産業技術総合研究所の研究者が言うには、アボガドロ数が決まるらしい。)



 とりあえず、原子時計のセシウム源泉時計をつくるか。

 光格子時計をつくるために、走査型電子顕微鏡のレーザー顕微鏡、原子間力顕微鏡でも作るか。

 原子分子が動かせる様になると、極小ディバイスが作れる様になって、分子マシンを作って・・・・・・



 朝っぱらから、そんなことを考えていると、僕に近づいてくる影が・・・・・・

「ヤゴロヲくぅ~ん、最近遊んでくれないじゃない。」

 このメンズは、ナクベ・テペヨロ。ちょっと太ったナイスガイ。

 入学後に知り合った一人で、常識人ではあるのだけれど、若干濃い目のヤツ。

「まあ、入学早々ちょっと忙しいんで、落ち着いてからにしたい。」

「うわさでは、毎日違う男と女をつれているって。もしやバイ・・・・・・」


 おいい。女ならまだしも、男になった今では、男までは範疇外だぞ。(美少年は除く)

「ねえ、どこ行ってるの?教えてよ?」


「あっそれ、わたしも聞きたい。」

 今度は女がやってきた。この娘は、コパン・チャンティコという。普通の女の子で、名前の響きが、なんとなくかわいらしいと感じてしまう。

「ずっと、放課後になるとどこかへ消えて、なんかミステリアスなのよね。」


 テペヨロは、話に割り込むように間に入ってきた。

「そうよね、ヤゴロヲ君、どんな男と付き合ってるの?」

 だから男の趣味はない!!ましてお前のような太った男は、ノンケ的には興味が無い。


 いや、言えねえ。でも気づかれるのは時間の問題だ。どうしよう。とりあえず今日は”サークル活動”は中止して、遊びに行くか?それとも?


「ちょっといいかしら?あなたはカガミさん?」



 怪しい女が現れた。教養部の制服を着ているので、同級生か?

「ヒルメに言われて来たんだけど、ちょっと付き合ってよ。」

「なにこの女、私が話ししてるの。二人の間に入ってこないで。」

 いやお前は何を言っているんだ。僕はお前の恋人ではないぞ。ってヒルメ姫の差し金?


「ヒルメ?」

「そう、ヒルメ。たぶんためになるからって、研究室でまったりしてたら、来たのよ。」

「え!お姫様とお知り合いなの?」

 チャンティコにとっては、驚くのも無理も無い。



 あ、姫と知り合いということは、コイツ教養部じゃないのか?

 とりあえずお前はだれだ?

「あの、どちらさまで?」

「んんと、チコメ。」

「チコメさん?どうして僕のところへ?」

「んー違う。わたしエル・ベルー。」


「どっちなんだ!?」


「チコメは名前?」

「エル・ベルーが姓 チコメが名前」



 あれ?聞き覚えがあるぞ。寮の住人に一人あった事が無い人がいて、表札ではエル・ベルーとあっててっきり、エル ベルーだと思っていたんだが、苗字だったのか。

「あの~、ソラン学生寮に住んでませんか?」

「ん~、最近住んでないな~。研究室でまったりしてるから。」


 それは、帰ってないだけでは?現在進行形で。

 この人か!不登校ならぬ不帰宅女子。


「僕、そこに住んでいるんですが。」

「ん。そうなの、じゃあ久しぶりに行ってみる?すぐにもどるけど。」


 寮に帰れよ。


「それで、何かご用件があって僕の所に?」

「ん~、わたしね、菌の研究しているの。んで、妙な発酵食品があるって言うのよ。」

「それで、僕の所に来たと。」


「あら、発酵食品に興味あるの?なら僕のつけた漬物あるよ?」

「あ!わたしも、お母さんに教えてもらってつけてるの。」

 二人とも。話をややこしくしないでくれ。


「ん~。いい休憩所もあるって言うし。」

「休憩所ですって!? やっぱりヤゴロヲ君、連れ込み部屋でとっかえひっかえしていたのね。」

 ホモは帰ってくれないか?

「・・・・・・ヤゴロヲ君は、そんな人だったの?」

 女の子には誤解されたくないな。


「休憩所でなくて・・・・・・いや。なんでもない。」


「やっぱり。そんな人なの?」

 チャンティコは、若干後ずさりしていた。



「休憩所はヒルメ様にお願いしてください。お話は今日寮に帰って話しましょう。」

「私も付いて行っていい?」

 お前はだめだ、後ろから、不意に突かれるとも限らん。


 とりあえず、サークルの存在がばれない様、場所移動の理由は付けた。運がよかった。

 ヒルメ姫には、場所移動の許可をもらわなければ。それに”サークル活動”のあり方を変えねば。



 僕はいち早く寮に帰り、部屋を片付け、ヒルメ姫に連絡をとった。


 場所移動はあっさり認められたが、機密保持があるため姫立会いになる。というより、連れて行かないと、チコメは動かないらしい。


 サークル活動は、情報も集まって、解析に掛かっているので、今後は部屋自体は不用。

 ただし、未来の記憶ではなく、情報を基に着想したモノは連絡する事。

 あとは、寮についたら、そのとき決めよう。ということになった。





「んー。ただいま。」

 若干元気に帰還連絡した。

「いつまでも帰ってこないから。きのこにでもなってるんじゃないかと思ったわ。」

 寮母がそう思うくらい。空けていたんだろう。



「お邪魔いたします。チコメが迷惑をおかけしております。」

「ん~。だいじょうぶ。ヒルメが面倒見てくれるし。」

 母親か?姫だぞ。つーか、そういう問題じゃない。


 さすがに寮母さんもなれているのか、ツッコミもせず普通にお茶の準備をしだした。


「じゃあ、僕の部屋で話しましょう。」

「男の子の部屋に入るに、あたって拘束しましょう。」

 姫は、真顔で言った。

「あら、この間の続き?ヤゴロヲ君。そういう趣味なのね。」

「違います!!」



 チコメは、生物化学専攻で、姫と同年齢。めんどくさいので制服で生活。


 一応専攻になると学生室が使えるのだが、他の学生と共用する。でもそこに住んでいて、苦情があがっているため、部屋がちょうど空くので、研究室兼住居として、”サークル室”を開放する計画があって、チコメを僕のところへ派遣したらしい。



 部屋を提供する代わりに、未来の食材を研究せよ。ということらしい。

 僕は、日本特有の出汁文化

  昆布にはグルタミン酸やアスパラギン酸

  鰹節、煮干しには核酸のイノシン酸

  干し椎茸にはグアニル酸


 数々のうま味成分


 醤油、味噌を作るには、コメコウジ、ムギコウジなど日本で取れる特有の菌が必要。


 を、説明した。



「日本とあなたが呼ぶ地域に行くには、軍艦が必要です。この地域は未開の地ですから。」

 姫は言った。


「あなたの夢を実現するため、だけに、軍艦を用意する事は難しい事です。」

「ただし、未来の技術の再現のため、得られた情報を基に試作する計画があります。」

「あなたのおっしゃった、いずも型護衛艦、あたご型護衛艦、そうりゅう型潜水艦、動力は原子力に変更しますが、技術解析の結果、実現可能と判断しました。あなたの未来の記憶は正しい。」


「核融合炉など他の分野に関しても正しいのでしょう。」

「あなたは、オブザーバーとして開発に関わってもらいます。」


「しかし、実現には何かが足りない。」


 ちょうど朝考えていた事だったので、計量標準の話を姫に伝えると。







「なるほど、基礎が違うのですね。」


 技術水準は決して低くないので、すぐに実現するだろう。


「そういえば、記憶とは違うんですが、面白いことを考えたんです。」



「・・・・・・」

「ヤゴロヲ様、わたくしと一緒に生きてください。」

 唐突に姫は語り始めた。



「卒業後にオモイカネの役職を用意します。」



 は? なにそれ? オモイカネといえば神様じゃないですか?

 脳みそだけになったり、ツインテ少女をえこひいきするアレ?

 美少女(20過ぎ)えこひいきするは合ってるかもしれない。


「すみません。まずオモイカネってなんですか?」


「”たくさんの人の思いを兼ね備える”あらゆる知識に精通する国の相談役です。」

「あなたにふさわしいとおもうのですが。」


「そんな恐れ多い、高天原の神様の名前なんて・・・・・・」


「神様ではありませんよ。れっきとした役職です。もし神であるというなら、未来ではあなたは神に奏上されるほどの功績を立てている。という事です。」



「ちなみにオモイカネは、太陽神で最高神のアマテラス大御神に仕えていて、のちにアマテラスの孫に付いて、地上に降りてくるのですが・・・・・・」


「なら、アマテラスと改名しようかしら。私の子々孫々まで仕えてくれるのですね。では、役職を受けるのは確実な未来ですね!!」


「いやいや、考えさせてください。まだ学生ですよ?そんな大層な責任取れませんよ。」


「いいえ、人生経験ではあなたは既に成人を2回迎えているようなもので、わたくしより大人です。」


 たしかにそうだ。成人どころか中年のおっさん相当だ。


「だから・・・、わたしのお兄ちゃんになって!! わたしの事かまって!! わたし外では甘えられないの。でもチコちゃんとだけ本当のわたしを出せるの!!ヤゴロヲもナカマ!! だってヤゴロヲとの未来は決まってるんだもん。」


 おいおい、カミングアウトしてきたよ。おじさんちょっと困るな。

 見た目からいって、犯したげる?いやいや違う違う。

 お菓子食べる?とか言って連れ出したくなる。犯罪じゃないが犯罪に見える。


「そんなかわいい事言っても、受け入れられないです。」


「だーめ! ヤゴロヲの秘密知ってるもんっ!! 何かしたらSPに頼んで、キンタマもがせるもんっ!!」


「やっめって~、痛い痛い。キンタマもぐ~とか!!、ち~んこもいじゃうぞ☆!!みたいなノリで言わないで。」


「じゃあ、ち~んこ も、もいじゃうぞ☆!!」

「わ~何もかもなくなっちゃう!!なくなる前に犯しちゃうぞ☆!!」


「だーめ!ヤゴロヲのキンタマわたしのモノだから、わたしがおかすの!!」


 やべえこと言ってるな、この姫。すげぇ逃げたい。


「ん~。ぬ~ん~。3人でやっちゃう!?」


 何を言ってるんだコイツ。


「神話どおりなら、姫の孫はうちの妹の子供なんで、親戚になるんで、ただれた関係はなしで!!」


「おっぱい揉みたいって言ってたじゃない!!」

「いや・・・冗談で・・・本気にされては・・・」

「ん~。揉む?」

 胸を突き出すな!!Hカップはあるかもしれない・・・いやいや、いいから胸を挟むのをやめろ。


「妹ちゃんの子供じゃなくて、わたしとヤゴロヲの子供かもしれないよ☆!?」

「いや、ねえっす。その前に殺されちゃう。」


「はい!!決まり!! ヤゴロヲはわたしのモノ!! 約束破ったら、おっぱいもませてあげない!!」


「意味わかんねぇよ!! 訴えてやる!!」

「うん?国家権力に逆らう気なの?キンタマから精子だけ抜いて国家のために貢献してもらうよ!?」

「すいません。従います。キンタマ抜くのはご勘弁を。」

「よろしい。じゃあ、ひざに乗せて!!、頭なでなでしてね!!」

「えっ なに? そんな 恥ずかしい。」

「チコちゃんはしてくれるよ!?」

 はあ?そんなことしてたのか? 百合関係なのか?


「あしたからは、サークル室で遊んでね!!」


 響きがアブない感じだ!何するんだ?仕方ないのか?どうなるんだ?




 さらに、放課後は同級生と付き合う時間も無く、同級生からは怪しまれている。

 でもあの二人はなんだかんだ話しかけてくる。気があるのか?でも男同士は・・・・・・


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