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古事新記(ふるごとあらたにしるす)  作者: 五十鈴飛鳥
第3節 いい男と魔法少女は、黒ノ国主と白の魔法使いにクラスチェンジしました。
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31砂嵐のセト

 水陸両用船は、ナイルの西岸の砂漠へ上げられた。砂地なので上陸には打って付けだった。






 下ナイルでは、宴会が催されていた。


 ホノヒコは上機嫌だ。

 酒に、魚に、山羊の肉、そして女。

 洗練されている料理ではないが、天然ハーブや人工的に調整されていない食材。

 苦味や渋みはあれども、それがうまみにつながる。


「こんなの初めてだよ。」

 ホノヒコにとっては、工場栽培の野菜、肉も加工済みで、魚なんて水が貴重品なので、そう易々と養殖できない。


「喜んでもらえてるのかしら。」

 女たちがホノヒコを取り囲んで、酌をして食べ物を口へ運んでいる。


「こんなもてなし、してもらっていいのかな?」

 ホノヒコは通訳に話しかける。

「セト様が言うには、天使様には不自由をさせません。という事で、いろいろ優遇してくれるようです。」



 前日より続くもてなしは、過剰とも思えるものであり、それは兵士たちも同様だった。


 黒人の兵士たちの中には、見事にハニートラップに引っかかったり、篭絡されるものもあった。

 言語が方言レベルで同一であったため、わかり辛いが会話が一応通じる。


 ムーの言葉を使う人々は、うまくいかない様だが、ホノヒコには通じる様だ。






「天界の武器とはいかなる物か見てみたいものだ。」

 セトが見事に罠にかかった兵士たちを集めて、座談会形式の秘密会議を行っていた。


「遠目で見てもらってもいいなら、あの船の甲板には強化外骨格(パワーローダー)が見えます。一言で言えば人が着る巨人です。」


「巨人を着るとは滑稽な。人が背に乗るのではないのか?」


「コレが着るんです。足を履き、腕に袖を通す様にすると、まるで自分が大きくなった様に動かせるんです。」


「ほう。何かコツはあるのか?」


「コツと言うと、少し遅れて動く感覚というか、足や手に棒を付けて動かしている感覚なので、慣れない内は転びそうになったり、タイミングがずれたりしますが、力は何倍にもなります。」


「それはすごい。それでその力の源は何だ?」


「それが、我々兵士ではよく解らないもので、魔法(ケム)(ケミカルの語源でないかと考えられる)で水を燃やしているらしいんですが、炎がなくて。」


「水を燃やすと!?それまた奇怪な。神の成せる技か。」


「これも、女王陛下のもたらした奇跡でして、天の御柱から降ろされてきた物です。」


「天に続く柱の上には何があるのだ?女王は何者なのだ?神なのか?」


「女王陛下は、自分のずっと前の(おや)の頃から姿が変わりません、いつ降りられたかは存じませんが、神だとしか思えません。たまに天に戻る事があって、そのとき一緒にいろいろモノ(物、者)を降ろしてくるんで、上には神の国があるんだと。」


「そうか、神の国か。神なら納得がいく。しかしあの降りてきた”ホノヒコ”は神とは思えん。」


「あの男は神ではない様です。女王陛下の血を引いているらしいですが、まったく力を感じません。」


「しかし”神”の血を引いているのだ、侮れないだろう。」


「そうですか?道中まったく普通でしたよ。」


「普通か。それは、道化かもしれん。しばらく様子見するとする。」

「ところで、翅はどこにあるのだ?」

 セトは、あのフライトユニットの所在を聞いた。


「それが、船の中にあるのはあるんですが、限られた者しか知らないんです。基本になる装備(アーム)は、我々でも装着出来るのですが、アレは特別で使う人間も固定されているので、モノがあっても扱えないです。しかも4機分しかないです。」


「船はどれだ?それと扱う者は誰だ?この中にいるのか?」


「船は、強化外骨格(パワーローダー)が乗ってなくて、部屋みたいになってる船があるでしょう。一つは、使者の船ですが、もう一つがそれです。装着者はこの中には居ないです。見た目から女性なので、宴会に参加してないかもしれません。」


「その者達が、真実の天使か。」

 セトは真の客人がその者達と断定した。まあ本当はミミと同じく、選抜され訓練を受けているテストパイロットであって、使者ではない。たぶんホノヒコより機密は知ってるが。


「我々と同じ黒い肌の者ですよ。天使ではないでしょう。」


「あの者、肌は黒くなかったが、それが天使の証か?」


「女王陛下もそうなので、そうだと思います。」


「それでは、ポセイドンと同じ肌色ではないか?ポセイドンは神だと?」


「ポセイドンとは誰の事で?海原の国の主の事なら、女王陛下は同属だと仰っておられましたが・・・・・・」


「なん・・・・・・だと!?」

 セトの顔色が変わる。


「神と同属だと!!あの力は神の力だと!!確かに硬い武器。人と思えぬ速さと力。神のものと疑わないが、それが月の山の神と同じだと!?なんということか。」


「女王陛下は、武力で攻め入ろうとせず、海原の国と国交を結びたいとしています。兵力も不明なので、慎重なのでしょう。」


「武器や兵の特徴なら、私が知っている。女王に私から報告したい。話は出来るだろうか?」


「それは、ホノヒコ様を使えば簡単かと。でもその前に海原の国から帰還して報告しなくては。」


「別に、帰らずとも、しらせがあればよいのだろ?」


「それはそうですが、しらせは言葉でなくてはいけません。」


「何とか、ホノヒコと解る印があれば良いが・・・・・・」







 セトの企みなど知らず、ホノヒコはおもてなしに酔いしれていた。

「いい、いいよ。このやわらかさ。おっぱい、フトモモ、おしり。」


 見事に女に溺れていた。







「ホノヒコは、まだやっているのか?」

 セトが会合から戻ってくるまで、数時間があったが飽きることがないようだ。






「ちょっと、これもって来てもらえる?」

 ホノヒコは、メモ用紙を取り出し、通訳に渡す。


 しばらくして、通訳はアクセサリー類を幾つか持ってきた。

「これあげるよ。その代わり、夜はいいことしようよ。みんなでさ。」

 通訳が、アクセサリーを渡し、ホノヒコの言葉を意訳してつたえると。


 女たちは喜び、抱きつく。実はコレもセトの策略の内。もともとホノヒコを骨抜きにするためだ。


「あれはなんだ?」

 セトが篭絡した兵士に聞くと。


「あのアクセサリーは近隣で採れる金や銀、宝石で装飾しています。わが国の特産です。」


「そうじゃない。あの木っ端のようでうすいあれは何だ?」


「私もあんまり知らないんですが、あれに顔料で何か絵を描くと、あの肌色の人達は何か解るみたいで、何でしょうね。」


「あれは、どういう時に使うのだ?」


「何かの数とか命令とからしいですけど。あ。今回の御使いにも木箱に入ったアレがあるそうです。」


「ソレだ!!」


「ソレ?」


「ああ。あれがあれば、ホノヒコだと解るのだろう。あれを女王宛で手に入れればよいのだ。」


「ですが、どうやって?」


「もう、その下地は出来ている。しかし簡単だな。女に現を抜かしまだ解らぬとは。」






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