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古事新記(ふるごとあらたにしるす)  作者: 五十鈴飛鳥
超時空空間のオモイカネ
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閑話休題 人類は2進法を採用しました

 私、オモイカネと申します。唐突で申し訳ない。


 ナレーションを担当させていただいております。


 とある事情で、長らくバーチャルさんをやっております。

 話せば長い話になるので、機会があればお話をしたいと思っております。


 さて、私オモイカネは遠い昔ヤゴロヲと呼ばれる固体がありました。それはわたしの一部であり、複合意識の中ではわずかな記憶でしかありません。

 それもコレも、男か女かといえば両方であり、”人”とも生き物であるかすら表現し難い、私も間借している(バーチャルなので物理的な場所とも言い難いですが)宿主が原因です。



 絶賛バーチャル空間で、怠惰をむさぼるそんな中、とある意識が流れ込んで来ました。


 テヲという少年が、冒険しています。後にセーラーちび○ーンに変わり、段々と意識の数が増えていきました。



 とある昔、機械の制御用にVR技術を組み込んだのですが、独自の解釈の元、”意志の力で何とかなるシステム”が作用している様です。

 オーラをまとったすいかバーで突進するとか、願うと光で浄化されるとか、髪の毛が金色に逆立ってスーパーになる、とかではなく。過去改変というか因果律の変更により、確率の低い物理現象が発生する。



 どうやら、あの機械にもアビオニクス改善のため、組み込まれている様で状況が見えるのですが、ヒルメに見つかると面倒そうなので、しばらく大人しく聞き耳を立てる事にしよう。




 さて、同様のテクノロジーを持った二つの国。

 潜水艦乗りという、閉鎖空間でも耐えうる、屈強な男たち数百人がたどり着き、周辺の民族を侵略して成り立つ武の国。

 男女8人の平均的に優秀な宇宙飛行士の子孫と、農業、手工業を教わり従う現地人との複合国家。




 災害脱出に使用した乗り物によって、構成する要員が異なる事による国家システムの違い。

 これが、この二つの国を、「文明衰退」と「文明維持」に分けたのだと思われる。


 ただ、文明を維持するためには、工業生産物を消費しなくては成り立たない。

 つまり人口が必要なのだが、せいぜい100万人を集めることが出来ればいい時代。

 1000万人クラスでなくては、現代のような文明を維持する事は不可能、いや億の単位が必要で、永久機関でもなければ到底成り立たない。

 たぶんヒルメは核融合炉を維持している。並々ならぬ苦労があっただろう。トリウムーウラン増殖炉でも可能かも知れないが、その場合、出力の問題で数が必要になる。



 生産技術に関しても、機械加工するマザーマシンや、半導体プロセスなどは到底たどり着けない。せいぜい産業革命前後だろう。しかし産業革命をなめてはいけない。


 先進技術と思われる現代でも手加工はある。飛翔体だ。どう考えても、こんな適当でいいのかな~という部分と、どうしてこうなったという部分が混在し、結局芯金に合わせてハンマーで叩くという、先史以前からありそうな方法が多用される。

 結局は職人の技術が機械に勝る。ただし、金型やパターン化できないものに限る。

 決して、機械加工が精度が低いという訳でなく、数値化できないだけだ。





 化学合成はさまざまなプロセスを経て、抽出される。

 化学プラントに行くと重合炉から蒸気吹き出てたり、苛性ソーダの排水溝やら、足を突っ込みそう。

 大体作っているものは一工場に一化合物とか多くて、しかもそれが違う製品の原材料(ペレットとか、特殊繊維の)、それだけに埋立地の工場一つ使うとかザラだ。


 現代科学は複合産業で成り立っている。



 コスト度外視なら、3Dプリンタで作る。



 スーパーコンピューターによる演算で、分子構造と特性が予想できる。実際最強の火薬(箱にカビが生えているような)も予測されている。製造プロセスは考えずに。


 プロセスを無視して分子マシンを使えば可能だろう。原子をつかみ物理化学に則り組み上げる。原子間力(原子間に働く力、磁気、中間子、など)が働くニアフィールド(光が全反射、トンネル現象を起こす距離)を調整することで、原子をプローブ先端につけることが出来る。



 分子マシンのコントロールは、マイクロウェーブを用い、生物が脊髄反射する理屈で行う。


 ニコラテスラの世界システムという、電力の空間伝送を商用で使う全世界電子レンジになるキれたシステムを考案していた。を使えば可能だ。


 運搬用、組み立て用など用途はさまざま。エビやらカニやらプランクトンのようだ。



 エネルギーさえ供給できれば、複雑で少量必要なものなら意外と現実的かもしれない。


 ネフェリムたちはこのシステムを多用していた。ムー人はこのシステムを利用する事を考え組み込んだ。そうして、存在し得なかった物質を手に入れるに至ったのである。





 食料も文明を形作る重要なファクターで、幸いにも8000年前にアフリカは十分に湿潤で農業も盛んな様だ。


 綿花栽培を始める前のエジプトでは、川が氾濫したあと冬作物である、麦をまく。

 それだけでよかった。今となっては灌漑農業のため二度と出来なくなった。


 ニジェール川流域では、雨季に稲を育てる。川が氾濫し、稲が川になった農地で川の上に穂先を出す。天然で肥料や農薬がいらない農法となっている。


 人口を支えるには十分な農作物、牧畜、漁業資源がアフリカにはある。

 欲張らなければ(農地を耕し農作物を得る普通の事をすれば)現代農法に頼らなくても、その文化(哲学)は太古の昔より伝えられていた。ただ現代アフリカでは文化伝承する宗教さえも失われてしまった地域が多い。




 やはりアフリカは人類のルーツであり、文明のゆりかごであった。





 さて、文明のゆりかごで繰り広げられる、二つのありえない国は現代では残っていません。地形が変わるほどの災害が起こるのでしょう。


 8000年前は実際ボスポラス海峡はなく、黒海と地中海はつながっていません。


 未だ、北アメリカの氷河は健在で、海面上昇の余地がある。ただ海の水は熱膨張が関係するため、海水温によって海面が上下し、水の量に必ずしも依存しない。比較的温暖なときは海面上昇する。地上や空気の温度とも完全に依存がないという点も一つ考慮に入れなくてはならない。



 文字に残る災害記録は、ヘロドトスやプラトンが残すアトランティスの滅亡、マヤ文明の残すムーの記録があります。

 ムーは沈んだので、次の候補はアトランティスとなるのですが、二つの国のどちらでしょう。



 そもそもアトランティスの語源であるアトラスとは、門であり、ギリシアを中心として”到達を拒む地の果ての関門”を指しているので、現在のアトランティス像は”四方八方どこでもある地の果て”の可能性があり、冒険でたどり着く場所と考えられます。


 現在のジブラルタル海峡、ナイル上流、ヨーロッパの森、中東の砂漠からイラン高原、中央アジアからヒマラヤを抜けインド亜大陸。


 よくも、さまざまな”アトラス”を抜けて人類は拡散したものだと感心してしまう。





 私、オモイカネの乗り合わせた空母は、5000人規模で漂着したため、比較的安定して暮らしていたのですが、文明を維持せず自然に任せて衰退しました。


 3種の神機を用いて避難していないので、特段よいものがある訳でなく、普通に衰退していくのですが、イレギュラーが現われ、しかもコイツが私を未来から呼んだ張本人で、生きるという概念そのものをひっくり返し、バーチャルさんになるきっかけを作った。


 ニニギが長命である事実を知って仕方ない選択だったかもしれない。



 謀らずとも永遠の命?を得た。いや、単純に記憶であって命はすでに朽ちている。魂までバーチャル化しているのなら、魂とはなんぞやと。


 さすがに宿主さえも解明できないのに、魂の解明までは欲張りか。



 コイツの思惑がどこにあるのか不明瞭のまま、少年少女たちの意識を受け取って、私に何をさせる気なのか。



 私に流れ込んでくる、この事態を見極めるには、まだまだ時期尚早だ。

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