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古事新記(ふるごとあらたにしるす)  作者: 五十鈴飛鳥
第2節 いい男と魔法少女が旅にでました。
35/77

15母なる水源

スッド 魔なる領域

湿潤地帯 母なる湿地


西洋的思考と現地での認識は異なる。


「どんだけ入り組んでたらこんな水路になるの?」


 当然の回答だろう。ハッキリ言ってどうやって川上に行けるというのだろう。

 無数の分岐があり、それが白ナイルの上流であると、どう判別可能なのか?


「それにしても、便利よね、その端末。ロックかけないでよ。」

 ククは不満そうだ。いつもなら強引にでもこじ開けようとするのだが、コンピューター関係は詳しくないので、下手に触るとどうなるか。


「俺だって中身をよく知らないんだ。基本的に戦場で生き残るための機械だろうから、色んなものが入っているんだろうけど、解んないんだなこれが。」


「困ったもんね。調べれば今出来ない事が出来るようになると思うけど。」

 ククはいじくっても、テヲ以外は何も反応を示さない板を恨めしく思った。


 水路は船頭の案内によって、上流へと進んでいる。


「さすがに飽きてきたわね。水、草、魚。見渡す限りじっとり。」

 地元の人でなければ迷うところだ。


「たまに、ワニがいるけど、退治できるから、そうも危険でもない。」


 いや、危険だと思うんですが。テヲにとってはそうでは無いらしい。




「そんなこと言ってる間に、また来たわよ。ワニ。」

「おっし。一丁追っ払って・・・・・・!?」

 それは、ワニと言うには大きい。いや大きすぎた。


「・・・・・・これ、どうやって・・・・・・、」


「お客さん!!引き返します!!すぐに陸に上がって!!」

 船頭は、すばやく切り返しワニから逃げ出した。しかしワニはすごい速度で近づいてくる。

「このままじゃ、追いつかれるぞ!!」

 テヲは、槍を手にし何か策が無いか模索していた。


「仕方ない。」

 テヲは胸の内ポケットに手を伸ばし、カチリと音を立てるモノを取り出した。

「パンッ、パンッ」

 テヲの手には拳銃が握られていた。


「そっ、それは火砲!! でも何かおとなしい。あっ、やじりを飛ばしてるの?」

 ククは、理解した。コレが火砲の使い方だと。ククの知識では銃はレーザー銃だったからだ。


「だから見せたくなかったんだ。お前ならすぐ模倣するからな。」

 テヲは、銃を撃ちながら、話しかけた。


 ワニは銃の弾など気にも留めず、さらに距離を縮める。大きさも通常の5mを超える。


「あと、もうちょっとなんだ!!どうにか足止めしてくれ!!」

 船頭は、陸へ船を寄せようとしていた。


「何か投げるもんない?」

 ミミはアームを展開して準備していた。

「お前は逃げる準備をしろ!!下手に相手に目をつけられるとお前が危ない!!それより陸に飛んで、船を引っ張れ!!」

 テヲは、ミミに指図した瞬間、ワニが船に噛み付く。


「おあああああああ!!」

「ミミ、船頭さんとククを抱えて飛べ!!」

「でもテヲは!?」

「大丈夫だ!!早く!!」

 テヲは銃を構えワニの目をねらう。目には当たらなかったが、ワニは船から離れた。


「じゃあ、いくよ!!」

 ミミは二人を抱え陸へ飛んだ。


「これで、俺とお前だけだな。」

 テヲはワニを睨んで、相手の様子を探る。そいつは10mをゆうに超える。まさに怪物。


 テヲはアームを展開する。ミミに渡したものと違って、特殊部隊用だ。

「じゃあいくぜ!!」


 テヲは天高く飛ぶ。ワニの後ろへ回り込む。

 ワニは、テヲを追う様にえびぞりになりジャンプした。

「あぶねえ!!」

 テヲにワニの大きく開かれた口が襲い掛かる。槍をワニの口先に突き立て間一髪逃れる。


 ワニは、水面に背中から落ち、大波が立つ。

 テヲは水面に到達した瞬間。大きく水面を蹴り上げた。


「スパパパパパパパパ・・・・・・・」

 テヲは水面を走る。アームの本当の使い方はコレだと云うように。実際には一歩目は水草の上を選んでいる。


 仰向けになったワニの足へ槍の先を向ける。一瞬ワニの上をテヲが通り過ぎた。

「ズバァー」


「ウボゥボゥボー!!!」

 ワニは叫び声をあげる。ワニの足は根元が切れ左前足が不自由となった。

「よし、もう一本もらうか。」

 テヲが襲い掛かるとワニは、察知しすばやく泳ぎだし、背中側にひっくり返った。


 テヲは、ワニが逃げるものと思い、陸に向かって水面を蹴る。

「ふう。コレで一安心だな。」


「テヲ!!後ろ、まだ来るわ!!」

 ククが火砲を手に叫ぶ。


 後ろには大鰐(オオワニ)が勢いに任せ陸にスライディングしてきた。

「おわわわ・・・・・・」

 先に陸に上がった3人とテヲは一気に四散した。


「まだやるってのかい?」

 テヲは、再び槍を握り締める。

 大鰐は、後ろ足をやられていた為、陸にあがったのはいいが、動きがぎこちない。


 ククは爆弾をミミに渡し、ミミはワニに投げつける。

「どかーん」


 大鰐の左前足が吹っ飛び動きが止まる。

「今だ!!もう一本」

 今度は、左後ろ足。

「もう一発いっくよー」

 後ろ足が爆弾により吹っ飛ぶ。効率よくパーツを引っぺがしていく。

 あとは、一本ずつ始末していくだけだ。

「ウボゥォォォォォォ!!!」

 大鰐は最後の抵抗とばかり、残った足と胴体をうねらせタックルしてくる。


 テヲは、大鰐の足の無くなった側面に周り、切り付ける。そうすると大鰐は振り向く。

 切り替えして、再び足をねらい、足を吹っ飛ばす。


 こうして大鰐は、蛇のようになり身動きとれず、大量の血を流し果てた。



「はあ・・・・・・やっと終わった・・・・・・」


「たすかった~。コイツはたぶんヌシですわ。何人も居なくなってるんで、コイツにやられてたんだ。」

 船頭は、さらっと危険な情報をいまさら言った。


「・・・・・・いまさら?まあ危険は付き物だけど・・・・・・」

 ククは、釈然としないまま飲み込んだ。


「あーあ。刃がボロボロだ。」

 テヲは槍先にしている、チタンのナイフを見て落胆していた。

「チタンの刃なんて研ぎなおせないぞ。」

「鉄なら何とかできるけど、チタンはねえ・・・・・・しょうがないから鉄のナイフで我慢しなさい。」

 ククもチタンは加工ができない。そもそもチタンは工具や武器に使う様なものでない。

「鉄ならもっといい物、打ち直してあげるから。」

「でもなあ。一応借りもんだし・・・・・・」

「しょうがないじゃない。物はいつか壊れるの。」




 そんなこともありつつ、大湿原に別れを告げ、高低差のある滝をこえ、セムリキ湖の湖畔にある、天の御柱(宇宙エレベータ)の存在が大きく見える。


「あれはなんなの?」

「俺に聞くな。」


 かくして、王都のあるシーバ地方にクク達は到着した。

 この地は、365日のうち360日雨が降る、湿潤地帯。


 宇宙エレベータは、現在の地球では、アフリカ寄りのインド洋、太平洋のど真ん中に建てるが、この当時、いやもっと以前は、この地が適していたのだろう。


 この未知のテクノロジーを支配している女王。天の根の国。クク達に何が待っているのだろう。



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