表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
古事新記(ふるごとあらたにしるす)  作者: 五十鈴飛鳥
第2節 いい男と魔法少女が旅にでました。
33/77

13鼠の穴

アゼリク(タケッダの前身と思われる)


(あかがね)の産地

 銅は、古代と現代においてかなり重要な金属である。

 青銅時代の前に銅(純銅)の時代があり、メソポタミアでも赤色の銅斧などが製作されていた。


 現代の銅は、電線など電材で使われることが多い。銅はアルミニウム(AL2O3 サファイア、ルビー)、シリコン(SIO2 石英、水晶と同じ)と同じく、酸化皮膜を持つため非常に耐食性に優れる。(CUO、CUO2)

 テルル銅、などは端子間で熱起電力小さい(純銅と酸化銅同士の起電力は最悪なので、ニッケルめっきや金メッキ、オーディオマニアだとロジウムめっきとかが施される。)ため、弱電で使われる。

 ベリリウム銅は強度が銅合金では最も高い。自分の中のイメージだと、ダイヤル抵抗器や標準抵抗器がベリリウム銅の巻き線で、抵抗温度特性が優れていると思っていたのだが、一般には防爆工具、楽器などに使われている。



 残念ながら純銅は強度に期待できず、重くて、融点が高い。(1098℃)

 そのため、青銅器時代の人々は、スズと混ぜて青銅にしたため、融点が下がり、鉄に劣るが強度を増すことに成功した。

 

 鉄は、そのままだと酸化皮膜を作らないため、あっという間に赤さびになる。(黒さびは、耐食性がある。酸化鉄Ⅱ、Ⅲの位相による。位相は結晶内で構造が変わると起こる。

 新素材を作るにあたって実験室で、とりあえず混ぜて焼いて、測定して、一喜一憂する。うまくいったら、もっと調べて、モードがどうこうと言って、やっぱり良くわからないので、再び混ぜ始める。)





 アゼリクでは、天然で銅が析出している部分があり、人々はそれを目当てに集まっていた。

 この当時、金属は貴重な存在で、(くろがね)(こがね)についで、使用された。鉄は、『鉄の魔法』で得られ、金は精錬なしで天然で存在する。残念ながら(しろがね)の登場は、自然銀を除けば、化学特性の関係で後世になる。


 クク様ご一行は、陸路でこの町にたどり着き、またしても材料集めを企んでいた。


「銅って、電気とか熱を通し易い点と、毒だから殺菌に使える点、金属に少量混ぜると性質が変わる点があるけど、やわらかくて重いのよね。」

「電気なんかないのに、どうして知ってるんだ?超文明の記憶か。」

 ククの言葉とテヲの言葉は、周りの人々からしたらチンプンカンプンだろう。

「まあね。電気文明があったころの記憶があるから。電気があったら、楽なんだけどな~。って、電気知ってるの?」


「電気って、いいものなの?」

 ミミが2人に疑問を投げかけると。

「そのアームだって電気で動いてるんだぞ。温度差発電で逐電してるんだ。」

 テヲが解説を加えると、ククは驚きと、落胆を交え。

「そういうことは、初めに言いなさいよ。未知の動力で動いているものと思ったわ。」

「わるいな。話してもわかってくれないと思ったからな。」

「そうなんでしょうけど、どんな原理で動いてるのやら気になるでしょ?」


「わたしは気にならなかったよ。だって魔法があるんでしょ?」

 ミミにはどうでもいい様だ。


「他に、電力で動くものとか、バッテリーとか持ってそうね。」

「ライトとか、ちょっとしたものはある。でもだいたいが野営用の道具でまかなえる。」

「そうね。結構信じられないアルミの焚き台とか、いすとか、あんたがいた国は、アルミ精錬に使う電力が有り余っているのかしら。」


「電気を使うのは、国のごく一部の人たちだけで、夜の明かりや煮炊きは薪だよ。」


「でも、チタンやアルミは精錬のとき電力を使うのよ。その道具はそうやって作られたものよ。」


「コレは、旅に出るとき餞別代りに失敬したのさ。」


「こんな貴重なもの。あなた死刑になるんじゃない?」


「それは、たぶん大丈夫。(王妃さまが実は渡してくれたし)」


「いや、絶対追われているわよ。ほらそこの影とか。」


 そこにあった人影がさっと消えた。しかし、ククたちは気づかなかった。相手は訓練を受けている隠密の様で、静かに消えていった。



「とりあえず、銅を買い入れます。重いからあんまり買わないけど。」




 鉱物を取り扱う市の前で、掘り出した原石を持ち寄る人と、加工した製品が並んでいる。

「銅山の中に、光る壁があるんだ。でも採ると調子が悪くなるんだ。なんとか調子悪くならないように、ならないのか・・・・・・」


 とある鉱夫が仲間の鉱夫に、ぼやいていた。

「あれは何なんだろう?でも大地の神が人間のために置いたものだから、何かの役に立つんだろう。」


「光る石は、どんな感じなの?」

 ククはその鉱夫にたずねた。

「お嬢チャンには関係ねえよ。これは鉱夫の話だ。そんな細腕、助けにならんよ。」

 鉱夫は、犬や猫でもはらう様に、”シッシッ”手を掃った。

「ちょっ、聞いてやれよ。もしかすると、どんな物か判るかもよ。」

 テヲは、ククのフォローを入れ、鉱夫に文句を言った。

「兄ちゃん。この嬢チャンに石の事が解るもんか。石の事は石に触れているモンが良くわかるってもんだ。」

「いったわね。じゃあその石見せてみなさいよ。」

 ククは、鉱夫の言動に、カチンと来て、思わず口を挟んだ。

「嬢チャンには解らんよ。暗闇で光っている。タダそれだけなんだが、最近、だるいし、石を採った手は、腫れてしまって、のろわれているのか?」


「・・・・・・あんまり近づかないほうがいいわよ。その石放射線が出てるわ。採った石も捨てなさい。身の回りのものも全部捨てて、新しいものに換えて。」


「なんてことを言うんだ!!あんたに話した俺がおかしかったんだ。じゃあな。」

 鉱夫は、怒って立ち去ってしまった。


「早く追うわよ。石を捨てさせないと、この町ごと滅ぶわ。」

 ククは、テヲの裾を引っ張って、急いで鉱夫を追った。


「どうしたんだいクク。血相を変えて。」

「光る石は、放射能物質よ。体がだるくて、手がはれるなんて、相当放射線を浴びているわ。」

「光る石に力があるのか?そうは思えないけどな。」

 ククはテヲがそんな認識なのかと面食らった。

「電気は、その光る石を使って作るの!!なんで知らないの?」



 ククの言う電気は、超文明では原子力で作られている。火力や水力は範疇外だったのだが、テヲが知る由もない。ただ、彼の国では、副器に原発、主器に核融合炉を用いているので、まったくの無関係でもない。


 かくして、かの鉱夫の家にたどり着いた。


「ここがあの鉱夫の家ね。」

「クク。いったい何があるってんだ。・・・・・・ピーピーピーピーピーピーピーピーピー]

 テヲの胸で音がなる。

「何の音だ?」


「ピーピーピーピーピーピーピー」

 彼の持つ総合端末に、メーターが映し出されている。メーターの針は赤色で示す危険域にあった。


「なにそれ、携帯端末?やっぱりなんか隠し持ってたわね。なんかわたしの持ってたのと似てるわ。」


 端末をみて、ククはテヲからそれを奪い、確認してみると。

「コレ、ガイガーカウンターなの?けっこう危ない数値よ?」

「そうなのか?でも危険がありそうな音はしてるな。」


 相当危ない数値のようだが、まだ鉱夫が生きているという事はまだ間に合いそうだ。

「どうしよう。除染の準備なんてしてないし。それに放射線避けに金属箔とかほしいけどないし・・・・・・」


 そこを見ていた影は、またどこかに消えていった。


「とりあえず、おっさんに声をかけよう。」

 テヲが家の中に入ろうとした。しかしククが止める。

「あぶないわ。防護服が必要よ。あなた持ってる?」

「防護服?鎧みたいなもんか?」

「いいえ、使い捨てで、フィルターのついた服。ガンマ線を防ぐために金属箔が張られたほうがいいわ。」

「たしかそんなのがあった気がするけど、中に金属なんてあったかな?」

「早く準備して。あと鉛の箱があるといいんだけど。」

「鉛の箱はないぞ。さすがに・・・・・・缶詰ならあったか?」

「早く持ってきなさいよ!!」

 テヲはククに急かされて、宿に急いだ。

「どうしたモンかしら。あのおっさん言うこと聞かないし・・・・・・手っ取り早く有害と解らせる方法は・・・・・・」



 テヲが宿に急ぐと、一人の男が近づいてきた。

「すみません。コレをもらってくれませんか?先ほど知らない白い人から渡されたのですが、気味が悪くて・・・・・・『肌が白い人がコレをほしがる人がいる。わたしと同じく白い人だ。』と言って。」

 見ると、白い不織布のツナギの様なもので、おあつらい向きにテヲと同じサイズだ。

「ちょうどいい。もらっておこう。(王妃のさしがねか?それにしても監視付とはな)」


 テヲは、ツナギ、手袋、マスク、ブロアー、袋、採取用箱を受け取った。そうして、再び鉱夫の家へ舞い戻る。


 そのころ。


「おじさん!!最近調子悪くない?吐き気とか、髪が抜けたりとかー」

 ククは鉱夫に話しかけ、最近の状況を聞きだそうとしていた。


「なんだ!!さっきの嬢チャンか!!石のことかと思えば、俺の事が気になんのか?たしかに調子は悪いが、お嬢チャンの心配するこったねえ!!」


「それが大ありなのー。その石、おじさんの命を奪うわー。おじさんだけじゃない。この家、この村、その石があるところは、ずっと何世代もそうなるわ。早く死の村になる前に石を捨ててー。」


「この石がそんなに悪いモンなのか、証拠を出してみろ!!」


「じゃあおじさん、その石採ったところ、生き物がいたー?」


「もともと、鉱山には生き物なんていねえよ。中でネズミが死んでたな。」


「それは、その石が毒なのよ。大地の鉱物はだいたい毒だけど、それは特別ー。」


 そんなやり取りの最中、テヲが戻ってくる。

「こんなのでいいのか?」

 ククに見せると・・・・・・


「こんなものがあるなんて・・・・・・もっと簡単なものかと・・・・・・どこにしまう場所が・・・・・・」

「そんなことより、おっさん。助けるんだろ?」

「そうね、ただいま説得中よ。」


「でー、嬢チャン。この石本当にやばいのかい?」


「やばいなんてモンじゃないわ。持ってるだけで、地獄行き。しかも悪くなったら治療ができない。」


「解ったよ。確かに調子悪いし。石は捨てるよ。」


「それだけではだめなの!!触れたものすべて除染しないと。」


「それはどうするんだ?」


「触れたものをとりあえず洗って!!、洗えないものは袋の中で掃って、この測定器で音が鳴らない様にして。」


 テヲが防護服を着込み、準備万端で待機していた。

「クク。準備できたぞ。」


「じゃあ、おじさんに準備してもらうわ。」




「おじさん!!いまから、一人向かわせるから、石とそれに触れたものが解るように準備して!!」


「お、おう。」

 鉱夫は返事をした。


「じゃあ行って。」

 ククはテヲに合図すると、テヲは鉱夫の家に入っていった。

 テヲは、汚染されたと思われる物を袋に入れ、石は採集箱に入れておじさんと共に家をでた。家の前でもう一つ袋を広げおじさんをハンドブロワーで吹いて、放射性物質を掃った。

 こうして、ひとまず放射線物質を隔離した。放射能汚染の危機は脱した。






「お嬢チャン。なんで、光る石のことを知ってるんだ?」

 当然の疑問であるが、自分が過去の文明人であることなど信じてもらえるわけがない。


「過去に似たような事があって、ずいぶんひどい事が起こったのよ。」

 過去の原発事故。と言っても何千年も前だが。


「そうかい。それで・・・・・・どのくらい亡くなったんだい?」

「うまく封じ込めたから、たくさんではないけど、犠牲者がでたわ。」


「俺はもう少しで死ぬところだったのかい?」


「放射能の量から大丈夫だと思うけど、口に入れたりしなければ。」

「そいつはしてないな。いくらなんでも。」

「なら、しばらく安静にして、水をたくさん飲んでね。体の中に入ってないとは思うけど、念のため。」


「お嬢チャン。病気の世話をするまじない師かい?」

「いいえ。鍛冶の仕事もするミルラケムよ。」

「お嬢チャン鍛冶師かい。それは石にもくわしいかろう。」

「そうでもないですけど・・・・・・ところであの石はどこで採れたんですか?」

「いつも銅を掘るより北に行ったところにある穴さ。」



 後日、その穴周辺に行くと、ガイガーカウンターが大きく反応する。

 さっそく入り口をコンクリートで固め、ふさいだ。




 現在、アルリット鉱山ではウランが掘られている。この鉱床が見つかったのは、20世紀になってからである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ