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古事新記(ふるごとあらたにしるす)  作者: 五十鈴飛鳥
第2節 いい男と魔法少女が旅にでました。
31/77

11竜の谷

 ウワダンの町


 テヲの欲求不満解消の探索は続く・・・・・・

”『どこにもねえじゃんかよ・・・・・・娯楽施設が・・・・・・どうなってんだ?』”

 そう、どれだけ探してもない。酒を飲むところはあるが、大人の遊び場がない。


 ハッキリ言って、こんなことは世界中どこへ行ってもやっている。じゃあ何で無いのか?ということはすぐに分かった。


 ちょっと物陰に入ると、男と女が淫蕩にふけっているのである。実はそこらじゅうで。ただしルールはあるようだが、テヲがそれを知る由も無い。

(事実ヨーロッパ進出前のアビシニア(エチオピア)では、祝いの席では当然のように行われていた。)


”『どうなってるんだ、この町は・・・・・・女の方から誘ってやがる。』”

 こういうことは、ククもミミもご存知である。ただし婚姻時に処女性というものは重要視されるので、基本的には、非処女であり、合意のしるしを男性側が見つけて交渉するのである。




 娘が歩いていると、ふといい男が目に入った。

”『ウホッ!いい男。』”


「なあ、やらないか。」

 腰の布を目いっぱいに下げ、町を歩いている娘に、テヲは声をかけた。

「バカー!!」

 ビタンと町娘から平手を食らい、娘は振り返りつつも顔を赤らめて去っていった。

”『おっかしいな~。周りはうまくいってるみたいなのに・・・・・・』”

 そうしているうちに、また一人、男が女に声をかけふたりでどこかに消えていった。



 そうこうしている内に、女性陣と合流する時間になってしまった。

”『なんてこったい。このまま宿に帰ったら、間違いが起こりそうだ。』”

 テヲは結構あせっていた。国許に残したセセリの対面上浮気は出来ない。と、いうよりセセリがすごく怖い。まあ、ばれないだろうと思うが、旅の仲間を口説くとあとが厄介だ。


「テヲ~どうしたの?」

 ミミはこの間から変だ。よく、ひっついてくる。小さな体をこすり付ける様にまるで猫だ。

「いや、なんでもないよ。旅の情報集めがうまく行かないだけだよ。」

「そう。でね~、アッチにいいお屋敷があって、なかなか出物がありそうよ?」

「いや、もう盗みはやめろよ。路銀だって十分だし。」

「旅の準備に越したことないと思うけど?」

「やめとけ!!お尋ね者になっちまう。」


「お尋ね者といえば、あんた、町娘に片っ端から、声かけてるらしいわね。」

 ククは、じと~と汚らわしい物を見るかのようにテヲをにらんでいた。

「い、いや、そんなことはしてないぞ・・・・・・」

「うそ!そこらじゅうで、噂してるわ。異人のいい男が嫁入り前の娘にちょっかいかけてるって、若い娘ばかり・・・・・・あんたしかいないじゃない。」

 ちょっと困った風なしぐさを見せ、瞳を潤ませつつにらんでいる。

”『え?やばいな、でも好みの女の子のほうが・・・・・・』”

「いや、この町で男が女に声をかけると裏に消えていくから、ためしにやってみようかと・・・・・・」

「や~らし~。あんたそんな奴だったのね。今まで間違いが無くてよかったわ。」

「え~。したいの?じゃあわたしが毎晩テヲと寝る!」


 ミミがとんでもないことを言い出して、自分の女の部分を強調しだした。

「バカ言いなさいって!ミミは私と寝るのよ。」

「ええ~。テヲがいい。それに血の(ントゥ)が目覚める前だから生の(ントゥ)は生まれないよ。」

「もっとだめじゃないの!そんな生の(ントゥ)への冒涜だわ。」

 テヲは何のことを言っているかよく分からなかったが、とにかくだめらしい。


 テヲと女性陣は別部屋のまま、今晩の宿で休んでいた。




 テヲがぐっすり寝ていると、人影が入って来たようだが、人の動きとも感じられない。

 その姿は、(はね)のようなものを複数つけ、頭には、角があった。また尻尾もある。


 その影は、テヲの顔を覗き、テヲの上へ覆いかぶさり、なにやら奇妙な動きをしていた。


”『クク、そんないやらしい格好しやがって・・・・・・』”

 テヲはいやらしい夢を見ていた。ただし、姿は黒いククであったため、本人も夢だと自覚しているようだ。

”『ククの本性は、こんなにいやらしいんだな。なら思う存分・・・・・・』”

 ククの姿を黒から白に染め直した瞬間、彼は目を覚ました。

 目前には、怪しい影があり、黒い肌であったので、闇夜にまぎれて誰とも分からないが、なにやら儀式をテヲの上で行っているようだった。

「お、お、おまいはだえだ。」

 テヲは寝ぼけていた。その隙に影は闇に消えていった。

「なんだ・・・・・・夢か・・・・・・」

 そして再び、テヲは夢の中に帰っていった。



 翌朝、テヲはなんだかだるいが、気分がよかった。あれほどの性欲が消えているのである。パンツも汚れていない。


「おっはよ~。ムラムラしてない?私が手伝ってあげるよ?」

 ミミは朝からサカリがついていた。


「バカ言ってないで、出かける準備するわよ!」

 ククが、ミミをしかるのは、もう見慣れたものである。

「なあクク、昨日の晩、俺の部屋に来なかったか?」

「はぁ?なんで?ミミをあんたんとこ行かせない様に気を使ってたくらいよ?そんな事しないわ。」

 じゃあ、やっぱり夢か。でも結構リアルに感じたけど。

「じゃあさ、翅とか、角とかあるか?」

「ああん?あんた私を化け物かなんかと思ってるわけ?」

「いや、そうじゃないんだ、きのう夢で、翅と角と尻尾がある奴が俺の上でなんかやってたみたいなんだ。」


「・・・・・・あんた。疲れてるのよ。ゆっくり休んだ方がいいわ。今日の遠征はあんたを置いてくわ。」

 ククはテヲに哀れみの目をむけ、でも心配そうに言った。


「でも・・・・・・、今日行く竜の谷には、守護者がいて、竜の姿を模しているらしいわ、もしかしてそいつが現れたのかしら・・・・・・」

「え、なにそれ怖い。」

「なんでも、近づくものには呪いをかけるって噂よ。」

「やべえ、呪われたかも・・・・・・」

「そんな訳ないでしょ。呪いなんて非科学的な。」

「お前は魔法使うじゃん。」

「あれは、ミルラケムであって、オカルトではないわ。」


「オカルトではないにしても、どうして危なさそうな所へ行くの?

 ミミがククに尋ねた。

「竜の谷では、竜石というものが取れるらしいわ。どんなものか確かめておきたいのよ。」

「竜石って、何の効果があるの?」

「幸運のお守りだとか、とても硬い石だとかで、重宝されるらしいわ。」

「結局よく分からないじゃん。」


「とりあえず、行ってみようぜ、そんときに守護者が出たら感謝しないと・・・・・・」

 テヲが意味の分からないことを言っている。

「は?あんた、やっぱり調子悪くない?」

「いや、悪くないよ、かえって調子いい位。」

「じゃあ、行くわよ。調子が悪くなったら言ってね。」



 こうして、テヲ一行は、谷を目指す。といってもそんなに離れてはいない。

 ただし、周りが高台になっていて、クレータ状のくぼ地に100mの山谷が同心円状に連続する。


「なーんも無いわね~」

「ほんと何も無いよ。」

「竜の守護者は?」


 それぞれ、いいたい放題であった。


「こんなところのために呪いをかける必要があるのか?」

「そういわないで、ここの石普通の石英質の石だわ。透明度は高いけど。少し離れれば青く見えそう。」


「もうちょっと中に行くか?」

「この山、谷を越えるのが厄介よね。戻ってこれるかしら。」


 そうやって、2、3の山を越える頃には疲れ果てていた。たぶんコレが呪いというか、行くもんじゃないという、戒めだと思われる。

「なんか、中心ぽい所がある。でも水があるから行けないよね。」

 今でこそ、砂漠の真ん中だが、当時は湿潤であり、雨水もたまれば、川だって流れ込む、唯大河はこの高台の隣の平原を流れていて、谷をまるまる飲み込む様な川ではなかった。


 そのとき、物陰から何者かが投石をしてきた。かなり殺す気満々で頭をねらっている。

 ミミはすばやく反応し、アームの手甲で、投石を防いだ。しかし、続々と投石が続き、テヲたちは、投石から逃げるため、バラバラに散っていった。


 テヲは、槍と投擲短剣を用意し、荷物の中から折りたたみ盾を展開した。

 ミミはアームを展開し準備する。

「どお?今回はかわいいし、機能的よ。」

 確かにお前は、日朝の少女戦士かっ!!といいたくなるくらい色鮮やかだ。

 ククは、攻撃手段の魔法がネタ切れらしく、おとなしく岩陰に隠れていた。



 幸い、一方向からしか、攻撃が無いので、単独で攻撃を仕掛けていると思われる。

 投石が止んだその時、テヲの側面から鋭い角を生やし、背中に翅のような装飾、尻尾を模った、飾りをつけた、人型が手にガラス質の槍先付けた槍を持って襲い掛かってきた。


 ミミもククもテヲから十分に離れており、加勢も間に合わない。単独撃破が目的のようだ。

 しかしながら、テヲの武器は、ガラス石の磨製石器などモノともしない。チタン製の矛先が敵の槍を砕く。


 敵は、武器を失い、手元の石を投げつける。コレもガラス質の鋭い破断面を持っており、殺傷能力は高い。

 テヲは、さっとフードを闘牛士のマントのように扱い盾代わりに防ぐ。テヲのフードは強化繊維製であるため、防御性に優れていた。

 ガラスの刃も防がれ、敵は動揺していたが、果敢にもテヲに襲い掛かってくる。


 テヲが、胸元をつかむと、

「ばーん」と胸がはだける。とてもいい形だ。

「女!?」

 なんだか体に見覚えがある。夢の中の女か。でもククじゃなかったっけ?テヲはとっさに離してしまった。


「くうぅ。ちょこざいな。この地に近づくものは、この地のことを忘れてもらわねばならん。もしくは死だ。神妙にいたせい。」

 女は、体制を建て直し、テヲを威嚇している。

「ちょっとまてよ。俺たちは竜の谷を見物しに来ただけだ。(竜石調べだけど)」

「そんな事が信用できるか!!この谷の秘密を探りに来たのだろう!!」

「秘密といったって、何も無かったぞ」

「お前のいう事が信用できるとでも思うか?」

 もっともだ。侵入者の、しかもよそ者が信用できるわけあるまい。

「それに、お前の人質も捕った。」

 テヲは周りを見回すと、ミミはこちらに走ってくる最中で、ククは、火砲を手に警戒しながら歩いてくる。別に捕まってはいない。

「俺の仲間は無事だが?」

「お前の子は私の腹にいる。お前の子は私のものだ。お前の力をいつでも奪う事が出来る」

「えっ!?なんと?いつやった?」

「昨日だ。」

「えっ!?昨日のは夢じゃないのか?」

「お前に祟るため、お前の子を使ってお前を殺させるのだ。そうやって私たちは、この地を守ってきた。」

「そんなでたらめな。お前だって自分の子供にそんな事させたくないだろう?」

「コレは使命だ。私もそうやって生まれてきた。」


 そんなバカな。テヲは、暗殺対象だが、子供に殺させるために、子供を身ごもるなんて考えも因らない。

 

「それで本当に秘密が守られるのか?そんな事して意味あるのか?」

「われわれは、そうやって守ってきた。ここに来た男たちはみな貢物を持参して、秘密を守っている。女が来ることはめったに無い。女が来たときは、村に留め置く。」

「そりゃ、男は喜んで秘密を守るだろう。女は来られるとまずいから、祟られるとでもいうだろう。」

「なんだと、どういうことだ。」

「まあ、そういうことだよ。遊郭が無いわけだ。」


 ミミが追いついてきた頃、テヲは、

「ミミ!!そこで止まれ!!コイツは俺が何とかする。他にコイツの仲間が居ないか探ってくれ。」

「テヲ!!ほんと大丈夫?でもでも、だいぶ追い詰めてるみたいね。じゃあ探してくる。」

 うまいこと離れてくれた。


「さて、竜の守護者。お前の仲間は居るのか?」

「ああ、居る。たくさん居る。女のみだ。」

「不思議だ。ここは、女しか生まれない力でもあるのか?もしくは・・・・・・」

「私たちは、貢物で暮らしている。何の不自由も無い。」

「でも・・・・・・判った。秘密にしよう。本当にそれでいいのか?」

「ああ。問題ない。」

 たぶん、女系文化のある民族で、男性を排除しているのだろうか?真相は不明だが、コレはコレで生き残るための知恵なのだろうか?

「じゃあ、俺は、ここを去る。くれぐれも気をつけてな。危なくなったら逃げるんだぞ。」

「何を言う。なぜ逃げる必要があるんだ。」

「でも何か変なことが無いか、聞き耳を立てておいても損は無いだろう?」

「ああ、そうだな、気をつけておく。」

「じゃあな。そうそう、すまねえが、俺の一撃でやられた振りをしてくれねえか?」

「なぜだ、奴らまだ、秘密を知らないからな、そのまま返すには俺が勝たないと・・・・・・」

「わかった。それにしても、お前はいいにおいがする。お前とはずっとしたいものだ・・・・・・」

 テヲは、竜の守護者に一撃を与えた。竜の守護者はよろめき、その場に倒れた。


「ミミー!!周りに敵の姿は?」

「テヲー!!無いよー」

「じゃあ撤退だ!!とっととずらかるぞ!!」

「あいよー」

「テヲ、ミミ。もういいの?」

「もういいぞ!逃げろ!!」

 一目散に逃げ出し、ウワダンの町にもどった。



「なーんもなかったわね。まったく飛んだ災難よ。」

 ククは目当ての材料も手に入れられず、残念がっている。

「まあ、命あってのモノだねだし、無事かえってこられてよかった。」

「ふーん、で、あいつと何を話していたの?」

「まあ、相手の出方を探っていたのさ。」

「ふーん。相手も女だから、襲う隙をねらってたんじゃないの?」

「えっ?そんな事無いよ!」

「えーほんと?ヤラシイ目だったわよ。」

「そんな事無いって。」


 テヲ原産のパフュームが、この町でよく売れたことはテヲには秘密である。

 娘さんが振り向くのも、香水と同じにおいをさせて、盛っているのだから、本当は入れ食いだったのであるが、コレも秘密である。

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