10二つのアマノネノクニ(二重王国)
海原の根の堅洲国
その王ポセイダル・スーサは娘のセセリから叱責を受けていた。
「お父様、テヲをどこにやったのですか!?探しても探してもどこにも居ない。まさか亡き者にしていないでしょうね!?」
さすがに半年たったので、どうにかなるだろうと王は、ネタをばらすことにした。
「ああ、あいつには遣いを頼んだ。はるか遠くアマノネノクニに行って貰っている。」
「同じアマノネノクニなのですか?」
「ああ、不思議だろ?同じ言葉を使うとしか思えない。それに女王というのが気になる。」
「どうして、そんな所に?どこにあるのですか?」
「わからん。」
「は!?」(半ギレで)
父は、なぜかびびった。娘が得体の知れぬプレッシャーを発する様になったのか?なぜか怖い。
「テヲを何処に遣ったのですか?詳しく教えて頂けませんか?」
「俺が、そんなことを教えるとでも思ったか?お前に群がる虫を追い払っただけではないか!!」
「そんな事は聞いてません。教えるの?白状するの?どっちのなの?」
選択肢がないんですが。それは。
「テヲには、南に行ってもらいました。砂漠越えをして大河のある平原に。」
唐突に割り込む声がした。そこには金髪碧眼の美しい女性が立っていた。
「お母様!、どうしてそんな事を知っていらっしゃるの?」
「陛下は、どうしても強引です。セセリの想いなど気にかけないでしょう。」
スーサ王に目を向け、彼女は皮肉たっぷりに言った。
「私の故郷にこんな言い伝えがあります。」
「南へ海を越え、山を越え、川を上る。その川上には、月の山があり、楽園があるという。」
「お前の故郷は、東北の地だろう。ここから南だと違う方向じゃないか?」
スーサ王はつっこっみを入れたが、無視された。
「川には滝があり、何人の進入を拒む。」
「そこで、陸路をたどって滝を回避するよう指示しました。ただ伝説なのでハッキリした場所までわかりませんが、見張りの者の話では、かの王都に招待をされたようです。」
「そこまで分かっているなら・・・・・・、いってきます!!」
「まてまて、お前を国から出すと思うか!?」
「そうですよ、あまりに早計です。男を落とすには、もっと周りを見るべきです。」
そうして、王妃は仕切りだす。
「テヲには、秘蔵の品を持たせました。それを用いれば、困難があっても越えられるでしょう。」
「おい、ちょっとまてよ。まさか、潜水艦の装備を持ち出したのか?」
「はい。だいたいずっと置いておいたって腐ってしまうでしょう?あんな古めかしい船。あれは何時からあるものなんですか?」
「3000年だ!!。あれを何だと思っているんだ!!もうアレは手に入らんのだぞ!!」
「知ってます。だから何時使うというのですか?過去の英知か知りませんが、いい加減有効利用したほうがいいでしょう。」
「そんなの屁理屈だ!!今すぐ取り戻しに行くぞ!!」
「私もついていくわ!!お父様」
親娘なぜか同調し、飛び出しそうな様子。
「待ちなさい!!」
王妃がまだあるとでも言いたげに制止し。
「スーサ王。テヲはいい王になると思うのです。優しく、いい男ですし。あなたと違って。」
「ああ?俺のほうがいい男だろうが!!」
「テヲのほうが100万倍いい男よ!!怒らないし。」
「そんなのは、女を落とすときの常套手段だ。だまされているんだ!!」
「まあ、そうなんでしょうけど、私の前でそんな事言われても・・・・・・」
「それに、スーサ王が直々にかの国にテヲを派遣したのでしょう。使者になにも持たせないとあっては、国の威信に関わります。」
「ぐぬぬ。痛いところを・・・・・・こんな事ならお前を救い出さなければよかった。」
「そんな古い話を持ち出す気ですか?いいですよ?相手になりますよ?」
在らぬところで夫婦喧嘩が始まってしまった。
「お父様!!、お母様!!、今はそんな事やってる場合じゃありません!!テヲは無事なの?」
娘が割って入って、話を本題に戻す。
「大丈夫です。途中事件はありましたが今は、東へ向かっています。」
「事件?何があったの?」
「まあたいした事ではないんですが。結婚式をむちゃくちゃにした事くらいで・・・・・・」
「まさかテヲが結婚したの?許せない!!私が待っているっていうのに・・・・・・」
「違います。地元の領主と土地の娘の結婚です。でもその娘と一緒に旅を始めたようですが・・・・・・」
「やっぱり浮気じゃない!!いく、今すぐいく!!」
セセリが浮き足立っている所、やはり王妃は制止し。
「その娘も、招待を受けている。むしろメインで。だから実際は護衛もかねて帯同していると考えるべきでしょう。」
「そうかしら、テヲはいい男だもの。その女もすぐに気に入っちゃうと思う。」
セセリは心配で、目を伏せ、遠くにいるテヲを思う。
「たぶん大丈夫じゃないかしら?その娘、魔法を使うらしくて、領主もぶっ飛ばしたらしいわ。」
「おいおい、護衛の意味ねえじゃん。」
スーサ王のつっこっみはやはり無視され。
「まあ、手は出さないでしょ?たぶん。それにデカ女らしいし、黒人なのに白色で得体が知れないし。」
「お母様と同じで?」
「いえ、そんな生易しいモノではなく、徹底的に白い。私の故郷は灰髪、灰眼が多く住んでいますが、その者は化粧をした様に白い。私のような髪と目の色が異なる者も珍しいのですが、まだ民族間では肌の色は普通です。」
「いっぺん見てみたいわ。かの地から帰ったら、今度はこちらに来てもらいましょうよ。」
「そんな、何を起こすか解らない者。もう少し様子見しましょう。」
「やっぱり、直ぐに行かないと。」
「やめときなさい。まだ何がかの地に待っているか、判明していない今、動くのは時期尚早です。それに見張りを付けているので、いざとなったら連れ帰ります。」
「そんな事勝手に進めるな!!王だぞ。俺。」
「あなたはだまって!!」「お父様はだまって!!」
母娘がハモった。やはりスーサ王の扱いが悪い。
「じゃあ、しばらく待つ事にしましょう。いいお土産を持って帰ってくるといいけど・・・・・・」
「まあ心配よね。旅先に嫁が出来ても、本妻はあなたなんだから、どっしり構えていればいいのよ。」
「まだ、嫁にやるとは言ってないぞ?」
「あなたもあきらめなさい。あなたも側室いっぱい居るじゃない。」
「あんなよわっちそうな奴に、嫁にやれっか!」
「帰ってきたら、弱いとは思いませんが・・・・・・、その時は許すのですよね?」
「ぐぬぬ。」
「へっきし!!」
「どうしたのテヲ?かぜ?」
「誰かうわさしているのかな?」
「気をつけなさいよ?生姜湯でも飲む?」
テヲご一行は、町の宿で鉱石やら、薬草やらの採集先を探していた。
近場に竜の石が取れる高地があるというので、そこに寄ろうかとも考えているが、竜の祟りがあって近づくものが居ないという。




