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古事新記(ふるごとあらたにしるす)  作者: 五十鈴飛鳥
2章 地上の楽園からの追放 1節 むかしむかしあるところに、いい男と魔法少女が出あいました。
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9旅は未知ズレ

 大河を上り、川上の町ウワダンを経てテガーザを目指す。

 馬車の中から声が聞こえる。


「こんなのはどう?」

「こーんなのもかわいいよ。」

 ククとミミが粘土板を前になにやら書いたり消したり、かしましくしていた。





 事は出発前にさかのぼる。


 出発の準備をしている最中、ミミがテヲに訊ねた。


「あの、なに?”アーム”の下に着るのがあるっていったよね?」

 ミミはテヲに恨みがましく、聞いてきた。なんたって半裸を衆目にさらしたのだから。

「ああ、あれか?ちょっと待ってろよ。」

 テヲが荷物から、シャツとタイツを取り出した。

「ほれ。」

 テヲは、伸縮性のインナーを取り出した。とてもこの時代のものは思えない。スパッツとかあんな感じのもので、ナイロン製でもない。結構丈夫。


「ふーん。こんなのって見たことない。どう着るの。」

 ミミは、シャツを上下回転させたり、手を突っ込んだりしていた。タイツのほうは、腰口から、顔を突っ込むような形で覗き込んでいた。


「なんかにおいがする?」「くんくん。くんくん。」

 なんか癖になるらしく。しつこく嗅いでいた。


「それ下に穿くやつだ。こうやって。」

 とテヲは手振りで、タイツを持って穿くそぶりをした。

 ミミは急に紅潮し、恥ずかしそうに、

「やだー!!変態!!そんなもの渡して、楽しんでたのね!?」

 ポコポコとミミはテヲをたたいたが、そうも強くもなくあまり本気でないようだ。


「ねえ、こっちはじゃあ上?」

「ああそうだな。こっから頭を入れて、腕を通すんだ。」

「じゃあちょっと着てみるね。」

 ミミはシャツを、巻き布の服の上から着ると、ぶかぶかだった。

「全然あわないね。シャツだけでも体が入っちゃうよ。」

 ミミはぶかぶかで、腕も出ないシャツのソデをダラッと垂らせ小首をかしげ、小悪魔の称号にふさわしく、悩ましい。


「テヲのにおいがする。」

 ソデを顔にもっていき、やはり癖になるのか匂いを嗅いでいた。

「男の人の、テヲの匂いだね。親族とも違う。」

 ミミがテヲの背中に張り付いて、小さなふくらみが背中に当たる。それでいて小刻みに動いているような。

「ね~ぇ、テヲ~。こっち向いてぇ。」

 うお、顔が近い。心なしか目が据わっている。目を見合わせてまるで、固まってしまった様に目がそらせない。色っぽい。襲ってしまいそう。


「こら!!二人とも遊んでないで旅の準備は終わったの?」

 ククが通りかかり、叱られてしまい、さっとミミはテヲから離れ、

「ごめーん。クク、この服みて。この間のアレの下に着るんだって、でもブカブカ。」

「そうねぇ。仕立て直ししないと、それにしてもよく伸びる、ストッキングみたい。」

「ストッキングってなに?」

「ああ、気にしないで。でもコレ伸びてあったかいし、足の形もよくなるし。」

「ええ~、着たい。どうにかして!!」

「うーん。道具があればねぇ。」


「針と糸あるぞ、それにハンドミシン。」

「えええええええ!!」

 ククはかなり驚いた。テヲが持ってないような、ありえない様な物体だからだ。

「そんな驚くなよ。メンテナンス用に必要だろ?工具とか補修剤とか。」

「ちょっと、荷物見せなさい。なんか隠し持ってるでしょ?」

「おい。やめろ。そこは。」


 ぱんつ、ぱんつ、ぱんつ。洗ってないパンツ。

「ぱっ、ぱっ、ぱっ、ぱっ、ぱっ。」

 ククはパンツを広げ、顔を真っ赤にして。動揺していた。そして強烈な匂いの中にクラッとするような、下腹部に来る匂い。

「はっ、あぁぁあぁぁ。」


 若干、声の抑揚がおかしい。ちょっと外れて遊牧民の住んでいるところは意外と性器丸出しで歩いているので、見慣れているはずだが、異民族であるテヲにはちょっと事情が違うようだ。


「おい!!どうしたクク!!大丈夫か?」


「洗濯物を溜めないで!!それに何この匂い、何食ってたらこうなるのよ?」

「同じもの食ってるだろ?何だよいまさら。」



 遺伝子が遠い者は、魅力的に感じるというのは、人間の本能である。匂いはその遺伝子を外部に伝える重要な要素である。

 ネグロイドとモンゴロイドは、現代でもアフリカと東洋と距離的に離れ、人種的に見てもかなりの違いがある。人にも寄るが、ここ西サハラ湿原では、川の恵により、肉食より、魚、米が多いため、欧米人の独特な匂いはしていなかった。


(ちなみに日本人でも肉食だと、ハンバーグの発酵した匂いがして、サラダを”草”とか言って食べないから、ちょっとは痩せようよ。と思う。)


 比較的近い食習慣で、異人種なので、あまり嫌な匂いが混じらず、フェロモン効果が高いらしい。



「ちょっと洗うから、全部出しなさい!!」

「え、いいの?じゃあこんだけ。」


 ズタ袋いっぱいに、パンツやシャツがあった。郷に入っては郷に従えで、最近は巻き布に上半身裸だったので、シャツはあんまり着ていなかった。


 ククはなぜかうれしそうに持ち帰った。そのあとからインナーを持ってミミも付いていった。

 工房へ、鍋と、アルコール抽出、蒸留するための器具を準備し、洗濯場とは違う方向へ向かっていった。






「ここにリボンをつけたりして。」

「ティアラがあるといいかも。」

 外骨格をかわいくする計画は、なんだかんだで、進んでいるようだ。



「(あ~あ。たまってるのかな~。出発前にくっ付かれたり、ククの色っぽい声で・・・。

次の大きな町に着いたら遊郭に行こう。」)

 テヲはそんなことを思いながら、馬車を引いているとミミが後ろから。

「みてみて!!これかわいいでしょ?」



 人型が描かれた粘土板を抱えて。

 デフォルメした人型に、フリフリやら、ふわふわやら、かわいいかも知れないが実用的ではなさそう。

「ああ、かわいいな。きっと似合うよ。」

 ミミはそれを聞いて、ぶー、と言いたげな表情をして去っていった。



 次にククが。

「次の宿場に市はでてるかしら。材料を仕入れたいわ。」

「市が出るかは、時期があるからなあ。それに、お前の材料って特殊だろ?」

「そうね。この間、硫黄や油のストックを使ってしまったから補給もしたいけど、貿易でしか入らないからね。採集できればいいんだけど。」

「そういえば、こないだの火砲とか、どうやって作ったんだ?」

「あれは、火打石のライターの種火を、ゆっくり燃える油に移して、揮発性の油が入った容器を火薬でふっとばすと、ああなるの。」



 要は、指向性のある爆発性の火炎瓶。硫黄をケチったので殺傷能力が低い。

 黒色火薬は、家庭の食べ残しや、鶏糞を埋めた土などから取れる、硝石、火山性の硫黄、炭、で構成される。硫黄さえ手に入れば、細かくつぶして混ぜるだけだ。日本では比較的容易に材料がそろう。



「薬莢につめれば、もっと効率がいいのにな。」


「ヤッキョウ?野菜?」

「あ!」

「あ?」

「うん、皮が折り重なってる野菜。ああ勘違いした。」

 テヲは、銃弾を想定していたが、これ以上殺傷能力の高いものを作らせたくなかったので、お茶を濁した。


「あっ、そう。」


 そうこうしているうちウワダンへ到着。ウワダン近くには直径48kmに及ぶ、サハラの目と呼ばれる謎のくぼみ(リシャット構造)があった。


 ウワダンは、岩塩の交易地で栄えていた。


 テヲとククは、市と宿を探し、ミミは町をぶらぶらしていた。


 テヲは、散策の最中、遊郭を探しているが、この町には無い様だ。しかし夜になれば夜鷹が商売を始めるだろうとそれらしき裏路地を探した。

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