表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
古事新記(ふるごとあらたにしるす)  作者: 五十鈴飛鳥
2章 地上の楽園からの追放 1節 むかしむかしあるところに、いい男と魔法少女が出あいました。
28/77

8火の魔法

 結婚式の会場は、親族、招待客、またやじ馬が溢れている。


 控え室では・・・・・・


「あーーーーーーはっはっはっ全て燃やしてやる。」

 ククはいきまいていた。

 そりゃあもう龍のごとく、荒れ狂っていましたよ。


 テヲは、控え室前でククの様子を見ていた。

 花嫁衣裳に身を包み、頭には角隠しというかカツラっぽいかぶりもの。

 そして式では、仮面で顔を隠す。


「おいクク。」

 テヲはククに声をかけた。

「誰?」

 ククは振り返り、周りを確かめた。

「こっちだ、クク。俺だ。テヲだ。」

「テヲ!!どこ言ってたのよ。その間にこんな事になちゃったじゃないの!!」

「いやぁ。代官の事を調べてたんだよ。何とか弱みを見つけて、手を打っておきたかったんだ。」

「で。どうだったの?」

「ああ。黒だ。真っ黒だ。」


「そこでだ。協力してほしいんだ。」

「当然よ!!あの代官ぶっ殺してやる!!」

「いや。それは駄目だ。あくまで裁きを受けさせるために、大衆の前で罪を明らかにするんだ。」

「ああん?そんな生っちょろい事で、わたしの気が済むと思って?」

「いや、お前を人殺しにしたくない。それに、代官を生かしておかないと、貴重な材料が手に入らないぞ。」

「貴重な材料って、代官は物のウトゥを引き出す術が使えるの?」

「うんにゃ。普通の人だ。ただ単にコレクターだったり転売屋なだけだ。」

「何を隠してるのかなんて判らないでしょ?見たの?」

「話に聞くところによると、悪どく貴重な品や、女を集めている。蔵は厳重だし、実際この家の地下には女たちが閉じ込められている。」

「何それ、許せない。絶対殺さなきゃ。」

「だから、殺すなよ。」



「そこで、クク。脱げ。」

 一瞬。空気が凍った。



「あ?代官より先に殺すよ?」

「まあ、待て。俺とお前は背丈は似ている。それに花嫁衣裳は着てしまえば、誰だかわからない。」

「そうね、確かにパッと見判らないでしょうね。」

「それで、入れ替わって、代官をうまい事酔わせて逃げられないようにする。その隙に騒ぎを起こしてくれないか?魔法を使って騒ぎを起こすんだろ?」

「何で知ってるの?誰にも話してないのに。」

「お前、侍女に話しただろ?」

「ああ、あの侍女。どこに行ったのかしら?もしかして知り合い?」

「ちょっと、いろいろあって知り合ってな。それで、その騒ぎの隙に女たちを救出出来ないか?信頼できる男たちを連れて。」

「もちろん大丈夫よ。わたしの魔法は強力ですわ。どんな奴も肉片よ。」

「肉片にするなよ。あくまでかく乱でいいし、助けを呼ぶんだ。」

「別にいいのに。あ。痺れ薬あるよ。使う?」

「どんな用意してきたんだよ。」

「もちろん殺す用に毒。火起こし機。燃やしても毒殺にしても使えるリン。炭入りマスク、そして、ファイヤーボールとファイナルインパクト。」

「うーん。毒はわかるが、ファイヤーボールとファイナルインパクトってなんだ?」

「それは、見てのお楽しみ。」





「じゃあ。手はず通りに。くれぐれも、変なことするんじゃないぞ。」

「まかせて!」


 一抹の不安どころか、信用ならないと思うが、一応ミミも居るので何とかするだろう。


 テヲは、花嫁衣裳を身に着け、痺れ薬とナイフをしのばせ、会場に向かった。

 会場は、人が溢れ、中央では男たちの舞が舞われていた。まあアフリカ特有の躍動感ある踊りだが。


「みなさま。よく集まってくださいました。本日はめでたい、代官様の8人目の妻を娶る、喜ばしい日でございます。」


「8人目なのかよ。ククも大変だな。」

 テヲは、気の毒がったが、どの道失脚させる予定なので、落ち着いていた。


「なあ。クク。わしの妻に成れて嬉しかろう。ふぇっふぇっふぇっふぇっ。この白い肌あとでゆっくり拝ませてもらうぞ。」

 ねちっこい言葉をかけながら、手やら肩やら腰やらをいやらしく撫で回した。


 テヲは黙って聞いていた。”ぞみぞみっ”テヲは、虫唾が走るというのは、こういうものだろうと感じた。

 何とか、酒の器に痺れ薬を混入する隙を伺っていた。今がそのときとばかり、痺れ薬を入れた。

 酒が杯に注がれ、代官は酒に手を付け、一気に飲み込んだ。

「さあ、お前も飲め。」

 杯を返し、酒の器から酒を注いだ。

(やべえ。痺れ薬入りの酒はのめねえ。しかし)

 杯を受け取らないわけにも行かず、手に取るが、仮面があるため飲食は仮面の下から行う。

 (ええい。仕方ねえ。)




 ククは、女たちの牢の前に居た。

「くっくっくっ。見張りは二人の様だな。大した事はない。消し炭にしてやるわ。」

 なにやら不穏な。やっぱり何かを企んでいる。将来魔王になるに違いない。


 そうしてなにやら投げつけると、見張りの前で炸裂した。

「ドドドドドーン」

 見張りが牢の前で倒れている。また牢の檻も壊れて、中の女たちも数人倒れている。


「てへっ、ぺろ。やりすぎちゃった。」



 地面が揺れなにやら大きな音がして、煙がもれ出ている。そもそも地下があるなんて、客は知る由も無し。


「なんだ?地震だ!!。神の怒りだ!!神がお怒りだ!!この結婚は神の意思に反するのか!!」

 客が騒ぎ始める。


「ええい、静まれ!!おい、お前、何があったか報告せよ。」

 代官は、配下に命令した。

「はっ!調べてまいります。」

 側近の一人が煙の元へ急いだ。



 地下では、ククは女たちの安否を確認していた。

「どう?立てる?けがはない?」

 自分がやっておいて、言う言葉ではないが、一応首を縦に振るので、反応が返ってくるので、良しとした。


 とりあえず、見張りは無視。血を流して倒れているが下手にかまわれたくないし、悪は討つと決めているので、さして気にしていなかった。

 やはりこの女、悪魔ではないのか?



 そうして、ククは、女たちをつれて地上に戻る途中、様子を見に来た男に出会った。

「女!!そこで何をしている。白いお前は、嫁ではないのか?じゃあ上にいるのはなんだ!?」

 と言っている間に、ククは間をつめ、懐に入った。

「バァァン」なにかはじける音がした。

そして、男が苦しみ始めた。

「ん。なんじゃこりゃーーーーー!!」

 男の腹が焦げていた。一瞬だった。

 ククの手には、短銃のようなものが握られていた。基幹部は火起こし機。激鉄のついたライターである。その先端に炸裂弾が装填されている。

「コレが、火の魔法。ファイアートーチ」

 トーチと言う割りに灯ってもいない。どちらかといえば空気砲。温まった空気が一気に炸裂した感じ。でも加熱した空気により火傷を負わせる。

「そしてコレが、ファイアーボール」

 そういって、アタッチメントを変更し、再び男に向ける。

 男は警戒し、様子を見守る。が、ククは、何の脅し文句も言わずぶっ放す。


「ファイアー!!」

 今度は、打ち上げ花火のように発射された矢が男の腹に刺さる。そして炸裂。男は血を流しながら倒れた。


「我ながら、天晴れな威力。」

 やっぱり、悪魔の類だろう、この女。そんなわけで、牢破りの証拠は隠滅した。




 ミミは、この騒ぎに乗じて、蔵を破っていた。

「あの女。やってくれたようね。見張りも居なくなったわ。さてお仕事お仕事。」



 テヲは、この騒ぎで混乱した会場を離れ、ククの元に急いだ。そうして地下室に入る入り口にたどり着くと、そこには、先ほどの側近と、監守が二人、血を流して倒れていた。

「どうしたんだコレは?」

「どお?すごいでしょ?わたしの魔法。」

「やりすぎだ!!バカ!!悪を行っているとはいえ、代官の命令に従っているだけなんだぞ!!」

「でも~、明らかに悪者でしょ?」

「でも~じゃない。早く応急処置をしろ!!」

「え~。悪人よ?」

「悪人でも、死んでしまえば、二度と話すことも、文句を言うことも出来なくなるんだぞ!!早くしろ!!」

「はぁい。」

 ククはしぶしぶ。懐から止血油(ファンデーションの元)を取り出し、布は地下を出て近場のものを拝借し包帯代わりにした。助けた女たちもなんだかわからないが治療した。


 テヲは心配は逆の意味で、現実のものになってしまったと、ククに任せたことを後悔した。



 テヲは、今度は、代官を拘束しようと思い、表に出ると。ミミが例の暴漢たちに囲まれていた。



「おい。嬢ちゃん。蔵を破るなんて悪い娘だね。お兄さんが、大人の遊びをしてあげよう。」

「あんたなんかに捕まるもんですか!!」

「ああん?俺たちは4人だぜ。お前なんか簡単にひん剥けるんだぞ!!」


 ミミちゃんピンチ。


「あんたたちなんて一ひねりよ。」といってポージングしだした。


「キューティ ミミ メタモルフォーゼ!!」


 背中のユニットが周りに風を伴って展開する。アームが伸び、腕、腰、脛に装甲が装着される。

 そして背中のユニットから、バンドが装甲まで伸びる(美少女戦士の変身バンクを参考)

そうして、最後にバンドが締まり装着完了。とまではよかった。


「いやぁぁぁぁぁぁ!!」

 ミミの絹を裂くような声。

 そう。先ほどの風により着ている布が吹っ飛んで、ほとんど裸なのであった。かろうじて下着があるだけで、一応装甲で隠れているが胸ははだけている。

「こんなの聞いてないわよ!!テヲ出てきなさいよ!!」


「わりぃ。言い忘れてた。それ展開するのに、ぴったりしたインナー着るんだ。それ着ないと、すれて結構痛いぞ。」


「だから、大事なこと言ってないじゃない!!このクズ!!」


 ミミは、周りに散らかった布で大事なところは隠した。それでも結構恥ずかしい。

 男たちも面食らっていたが、ニヤニヤしていた。

「剥く手間が省けたぜ。そんな格好になって、ますます都合がいいぜ。」


「まったく。男はしょうもないわ。ところでテヲ。本当にすごい力が出るの?」

「ああ。これで勝てる。ためしに男を片手で挙げてみろ。」

「本当に?あっ!!ほんまや。」


 男が軽々持ち上がる。

「あ?あ?なんだ?」

 と、言ってる間に、強かに壁に叩きつけられる。


 とりあえず、唖然と見ている代官を捕まえよう。テヲは代官に近づいた、そのとき。


「くたばれ!!ファイナル~インパクト!!!!」

ククが、最大ユニットを取り付け代官に向けていた。


「おい!!やめろ!!」

 テヲが、止めるのも聞かず、ククはぶっ放した。グレネードのような弾が発射され、炸裂する。火竜のブレスのように火炎が飛ぶ。


 とっさに代官を抱え飛び。間一髪助かった。


 代官ももう、ちびってしまって、気を失っている。

 暴漢たちも、ミミに制圧されてしまい、ほとんど彼女たちだけで、この活劇が終わってしまった。



 とらわれていた女たち、蔵の珍しいものが世にさらされ、代官は無事失脚した。


 しかし、ククとミミはやりすぎた。

 ククは、極悪非道の魔女。

 ミミは、女盗賊改め、小悪魔。

 として、名を馳せるようになってしまった。


「さすがに、有名になりすぎて、この村でオツトメできないわね。」

「そうね~。もっと大きな世界を知りたいわね。新しい材料もほしいし。」

「勝手なこと言ってんじゃねーよ。やりすぎなんだよ」



「あんたら、女王様の招待があるんだから、とっとと行きなさい!!」

 ククの母は、いまさらながら当初の目的を知らせてくれた。

「う、うん。そうね。女王様のところ行かなきゃ。」

「そうだよ。とりあえず行こうぜ。向こうは何か俺たちのこと知ってるみたいだしな。」

「その旅、わたしも混ぜてくんない?どうせ村に居られないし。」

「ああ、そうだな。一緒に来るのがいい。旅は道ずれだしな。」




 こうして、半ば強引に旅が始まるのであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ