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古事新記(ふるごとあらたにしるす)  作者: 五十鈴飛鳥
2章 地上の楽園からの追放 1節 むかしむかしあるところに、いい男と魔法少女が出あいました。
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6楽園からの招待状

 鉄製品を加工し、食料や衣服など生活に必要な物資を手に入れる。


 村の人たちも同様に、農作物や魚、肉や動物の皮、綿花など、自分たちの労働の対価を支払っている。


 まだ、貨幣という概念はないようだ。


 月一で周辺の村では川上にある、水の害が出にくい土地に、市場が出来る。

 村で店を開いても、包丁やナタなど必要不可欠なものが売れるだけで、珍しい加工品を見つけるためだけに客が来るわけでもないので、鉄製品を、物々交換するには打って付けである。


「あんたは!何度いったらわかるの?」

「だってよう。覚えられねえよ。これは何と交換できるとか。交渉とか、値打ちのつけようがねえ。」


 フードをかぶった二人組みが、なにやらもめていた。背格好は同じで、真っ黒ではなく、ファンデーションで黒っぽくした肌をしていて、声以外で判別が出来ない。

 二人とも175cm前後、サハラ湿原の女性の平均160cm、男性は170cm。男性はともかく女性はでかい。


 二人の正体はテヲとククなのだが、二人とも目立つので、変装している。




 テヲの困惑も当然であって、貨幣経済が発達していない分、物価が曖昧なのである。

 一応、値段表は作ってあるのだが、ハッキリいって、交換の基準がわからない。


「よく、お金がなくて商売ができるな!!」

 テヲは、あきらめ口調で言い放った。

「そりゃあねえ、金貨、銀貨があるくらいになれば、とても楽にはなるだろうけど、どこが保障するのよ。国らしい国がないのに。」

「でも代官がいるんだろ?おふれとか、お告げとかあって、なんか神が居るらしいじゃん。」



 その輪中には、代官所があった。

 遠くの国の女神が代官を派遣して、この地の地検やら、産物の調査やら行っており、納税などは行っていないので、厳密には神官とも代官とも言い難い。


「代官って言っても、なにやってるのかしらね?」

「さあね?でも代官ってのは、昔からろくな事しないって相場が決まってるけどな。」



 まるで時代劇のお約束でもあるかのような言い分であった。



 さて、二人が市場に広げているものは、普段から作っている器もあるが、鉄のナイフ、ナタ、針、釣り針など実用品。

 さらに細工物である、髪飾りやベルト止め、天然ガラスを加工した首飾り。

 また植物油から抽出したワセリンのようなもの(コレはファンデーションを作るため、ククには必需品である)、など、珍しいものを置いていた。


「なんか、珍しいものをおいてるわねえ。」

 娘盛りの若い女が、声を掛けた。

「なにかお気に召すものがございましたか?」

「ええ、この首飾りはきれいね。木の実のビーズや、動物の角のじゃないのはあまり見ないもの」

「このビーズは、実は北の砂漠に落ちていて、表面を少し溶かして丸くしています。」

 ククは簡単な説明をした。

「北の砂漠なんて危険でしょう?そんなところまで取りにいくの?」

「大丈夫ですよ。護衛も居ますし。」

 と、となりのフードを指した。

「でも、北の砂漠みたいな外れは野盗が居るんじゃなくて?女が行く場所じゃないわ。」




 当然、どの時代にもならず者というのは居る。

 村が襲われては、略奪され、男は殺され、女は連れ去られる。

 村が3つやられるころにやっと周辺の村が集まって自警団が編成されて、一時は治まるが、再びどこからともなく新たな野盗が現れる。この間の暴漢も似たようなものだ。






「その代わり、いい材料が手に入るので。それにわたしそこら辺の男より強いので。それに、わたし魔法(ミルラ・ケム)が使えるので。」


 たしかにでかい。現代でも大女だ。でも男と女では筋力の数値だけでも1.5~2.5倍ある。鍛えていない男でもである。いくら鍛えても上限は一般男性ほどしかない。

 そして、魔法??物理で行くやつか?最近の魔法少女はメルヘンな魔法使わないから。


「???まあとりあえず、この首飾りもらいたいのだけども、どれくらい?」

「米なら袋5個、麦でも袋5個。布なら人ふた巻き(一枚布を服としてまとうため)、鳥なら2羽というところでしょうか?」

「高いわ。もう少し安くならないの?」

「じゃあ、穀物4袋相当では?」

「ちょっと、庶民には手が出ないわね。」

「じゃあこちらの首飾り。ひもは一般的な素材ですが、真ん中の石はきれいでしょ?」

「こちらは、穀物一袋相当でいけます。(ちなみに一袋で1ヶ月くらい食べられる)」

「うーん。高いけど、我慢すれば・・・・・・。えいっ!!きめた!!買うわ。」

「まいどあり~」


 と、売れはしたが、アクセサリー類は高いので売れ行きはよくない。

 やはり主力は日常品。しかし、ごく一部裕福な人々が、買って行く。



 この地の代官もその一人であり、自ら用いる以外にも、ククの作る品は、貿易にもってこいなので、なるべく囲いたい。しかしながら、幾度となく誘いを(一部強引なものもある)断られている。

 白い肌、すらっと伸びた手足、そして、大きな目、きれいな顔立ち。貿易を差し置いて、出来れば妻にしたいと考えていた。


 今回、女王の招待状(表書きも読めない上に、意味をわかっていない)があるため、コレをダシに何とかできないかと悪巧みしていた。

 そこに、見覚えのある男たち。例の暴漢たちだった。

「お前たち、わたしの留守の間に、あの娘を捕らえていなかったのか!?」

「へい、あの、いつもあの男がついていて、なかなか隙がなくって・・・・・・」

「それに、あいつ結構強くて、長い柄なのに軽々と振り回して、とんでもない速さで打ち込んでくるんです。」


「相手は一人だろう!?お前たち何人でかかって、その様なんだ!!」

「4人です。」

「素直に答えんでいい。まあなんにしろ、このお墨付きがあればあの娘をわしのものに出来る。」

 手元にある木箱には、招待状在中と書いてあり、中には招待状と手紙が入っている。


「お前たち、直ちに娘の家に向かい、婚礼の準備をせよと伝えよ。そして娘をつれてくるのだ。」


「はっ!!わかりました。」


 そうして、男たちはククの家に向かった。



 そんなことを知らないククは、本日の宿に戻る準備をしていた。


「あんまり売れなかったな。」

「そうね。今日は上客も来なかったし、市場の期間が終わったら、帰りに常連さんのとこに寄って、捌きましょう。」



 数日して、家に帰るころ、ククの両親は困惑してククたちを迎えた。


「大変だよ!!あんたを嫁にするって、代官がやってきたよ。」

「いつも、断ってるじゃない!?なんでいまさら・・・・・・」

 母親の手には木箱があった。

「天の神の神託で、あんたを神の前で娶らなければならなくなったそうな。」

「そんな事ってあるの?その木箱はそんな意味あるの?」

 ククは木箱を見た。招待状在中と書いてある。”招待状?って文字書いてあるし。”


 文字が書いてある時点で、何かしらあやしい。とりあえず木箱を手に取り、箱を開ける。

 中には、招待状と手紙があった。紙で。


【女王陛下におかれましては、優れた技能と失われた文明の英知を持つ、白い肌の御方々をお迎えして、来る日に、宮殿にて晩餐会を催されますので、ご来臨下さいます様ご案内申し上げます。】


 とある。別に結婚式の招待状ではない。次に手紙が付いていたので読んでみる。



【ご機嫌いかがでしょうか?突然のお手紙失礼いたします。

 私は、ティカル・タフ・ヒルメと申します。


 かねがね、お二人の御うわさをお聞きし、昔馴染みではないか?と思い筆を取ったしだいであります。

 この手紙が読めていると言う事は、わたくしと同じ出自であると思われます。


 かつての輝きを失い、危機的状況も迫っているため、早急に打開しなければいけないのですが、資源、人材ともに乏しく、また、過去の遺産を生かすことも出来ず苦しい状況であります。

 そこで、お二人の知恵を頂きたい、そのため情報交換する会を開きたいと考えております。


 お二人の住まう西サハラからシーバまでは、馬車と船を乗り継いでも3ヶ月はかかる遠方です。

 失礼を申しますが、シーバまで御出でいただけないでしょうか?


 天の常世の根の国、シーバの女王 ティカル・タフ・ヒルメ




追伸

 ヤゴロヲがどこに行ったかを知りませんか?箸を発明した男です。あの男浮気性でどんな女に色目を使っているか・・・・・・とにかく捕まえたいので、心あたりあればご一報ください。】




 同封して、金の延べ板が入っていた。超びっくり。


「え?生きてるの?女王?いや、別人でしょ。」

 一応、生まれ変わる前の世界の知識では、彼女は女王だった。

 最後の一文はどうかと思うのだが、信憑性はさておき、気になるところである。


「これ、結婚の招待状じゃないわよ。それに神託でもない。あの代官何様のつもり?」

 ククは、母親に代官からの手紙の内容を伝えた。

「なんだい?そのぴらぴらのものは何だってんだい?」

 まず、紙の存在を教えなくてはならなかったり、文字の存在も教えるのはおっくうだった。

「とにかく、代官には文句を言わなきゃ!!だいたいなんで、あんなおじいちゃんにわたしが嫁にいかなきゃなんないの。」


「まあまあ落ち着けって。」

 テヲがククをなだめようと声をかけた。

「あんたはだまってなさい!!」

 ククが怖い顔してにらんだ。


「あのスケベじじい!!。前からちょっかいかけてきて、気に食わないのよ。この前だって、男たちをよこして、連れて行かれそうになったし。」


「あれは、そういう事だったのか?」

 テヲが追い払った暴漢は、代官の手のものだったか。と、テヲはある意味納得した。

 背格好だけでは男かも知れない、フードの人を女と言っていたのに合点がいった。


「さて、でも代官の周りにはあの男たちがいるから、そう簡単に屋敷に入れさせてくれるとは思わないけどね。路銀になる金もあるし、さっさと招待受けたほうがいいと思うぞ。」

 テヲのいう事はもっともである。

 しかし、ククは黒いオーラを放ち、ぶつぶつ「あの毒で・・・、針を・・・」と何かしら不穏な事を考えている様で、いう事を聞く感じではなくなっていた。


「しょうがねえな!!俺が話を付けに行ってやるよ。」


「でも、あんたがいくら強くても、殺されかれないわよ。」


「まあ、手はあるって。手土産に酒でも持って行ってくらぁ。」


「ククには、用意してもらいたい物がある。まず脱げ。」


「あ?あんた先に殺されたい?」

 ククは、テヲをコレでもかと言わんばかりに蔑んだ目をして言った。

「いっ!!、いや!!決してやましい事でもなくて、いい匂いだなとか、汚れはないかなとか、そんなこと決してしないから・・・・・・ あ・・・・・・」


「あんた。ここで死になさい。」

 ククはハンマーを手にテヲに襲い掛かったが、テヲは一目散に逃げ、一晩帰ってこなかった。




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