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古事新記(ふるごとあらたにしるす)  作者: 五十鈴飛鳥
1章 地上の楽園の太陽
19/77

18話 エピローグ 地上の楽園

 女王陛下が即位してから、4年。


 俺は、専攻過程で、あのロボット技術を研究している。

 機械工学、電子工学だけでなく、生物や医学の知識が必要だったので、チャンティコとは、ロボットを共同研究する仲間だ。






 そういえばワカメは今年から大学校に入った。

 そして、見違えるほど美人になった。

 元からスタイルはよかったが、すらっとしたモデルみたいになって、さすがに姉と見間違える様な事はなくなった。



 チコメは、女王専属の研究者として王宮に仕えている。女王いわくどこまでも一緒らしい。



 妹は、なんとオシホと結婚する。いつの間にか、くっついていた。やることやって子供も生まれる。



 ウェルは、演劇をしている。

それからは、俺の扱いは、ロリコンのままだ。



 テペヨロは、同じくあのロボットを研究している。俺はVRだが、あいつは操作系、つまりパイロットだ。にあわねえ。



 新動力の核融合はオシホたちの研究がうまくいって、コスト比が1を超えるようになった。実用化までもうすぐだ。



 新造艦が作られているが、動力は伏せられている。ちなみに艦名はヤマト。コレは王家直属艦で、戦艦なのか、空母なのか、潜水艦なのかは不明である。



 ロボットの試作も何機か作っていて、やはりサイズが大きくなると、強度が保てない。

 だからサイズはそのままに、VR技術で遠隔操作する形になってしまう。

 それか、原機のように人を喰って、機械と一体化するかになる。さすがに倫理的に許すはずがない。



 一応、初号機は、原機のデットコピーになった。一応人間の脳で代替できる様にしたが、危ないためお蔵入り。



 そしてあのロボットには、ヒルメの分身が育っていた。



 俺はロボットの中で子供が育つという、不思議な体験をする事になった。

 それはヒルメも同じ事で、彼女は国のため生涯独身を貫く覚悟だが、子供がほしいという願望もあったので、今回の特殊事例に乗ったのだ。


 原機は、赤ん坊が生まれたあとに、永久凍結の予定だ。



 ロボットの”出産”の日が近づく。女王が”出産”に立ち会うと言っているらしい。

 確かに自分の子だろうが、何が起こるか判ったもんじゃない。一応断ったが、どうしても立ち会いたいと言っている。



 そうして、赤ん坊の出産カウントダウンの最終日がやってきた。


 ヒルメは来た。俺とは一言も言葉を交わさない。



 機械は淡々と作業をこなし、人工子宮が生命の誕生をトレースした。

 子供は生まれた。機械は、子供が産声を上げるまでを完璧にこなした。

 機械は、人が居ることを確認し、人へ手渡した。人が居なければ、どう対処したのだろう。


 こうして、無事”出産”した。男の子だ。

「この子をわが手に。」ヒルメは言った。

「しかし、まだ何も・・・・・・」

「責任は持ちます。早くわが手に。」


 助産師は女王に赤ん坊を差し出した。

 女王は涙ぐんだが、すぐに助産師に赤ん坊を返した。


「この子の名前は?」

「まだ決めておりません。」

「では、ニニギと名づけましょう。」

「ニニギ元気に育つのですよ。」

 赤ん坊は、本能で母親を認識しているのか、うれしそうだ。

 そうして、ヒルメは去っていった。




 この子は表向きは、オシホと妹の同時期に生まれた双子の子として処理された。

 実際は、研究施設で育つ。


 この子の育ての親にワカメがあたる事にあるのだが、姫がこんな雑用引き受けるなんて前代未聞だ。


 原機と試作初号機はどこに凍結されたか、行方は知らされなかった。


 生まれたばかりの子供の首が据わった頃。災厄がやってきた。



~~~~ある暖かい日~~~~


チベットにある氷河が溶けていた。それは、氷河の下に広大な地底湖が大量の水を地下にたたえていた。



あるとき、その地底湖から下流に流れるのを妨げていた氷がとけ、一気に砕けた。


水は、氷河を巻き込んで、勢いよく下流に流れていった。


チベットからミャンマー、タイ、ベトナムを大量の水が大地を押し流していった。

まるで地上の津波のように。


それは、瞬く間に、平野部に届き次々と国を飲み込んでいった。


俺たちの居る、オーストラリア大陸には、届くまで時差があるため、惨状がニュースで知らされていた。


とても津波の比ではない。真水の龍が暴れている。その龍は堤防まで届き、反射した。次から次へ水が押し寄せる中、堤防から反射した津波が、干渉し合い、大きな津波になった。



そうして、津波は出口を求めてグルグルと波打ち、とうとう堤防を破壊した。そうして再び、フィリピンなどの陸地にあたり同じように干渉し、さらに波を荒立てた。


チベットでは、大陸にあった重量が無くなり、地殻変動が起こり地殻が上昇していた。

急激に重量がなくなり、地殻のバランスが崩れ、地震になった。

地殻にあったものが無くなり、地殻に無かったものが液体として流れ込み、プレートを刺激していた。


インド・オーストラリアプレートと中国プレートがバランスをくずし、プレート型地震を誘発した。




そうなるとオーストラリア大陸も無事ではすまない。すぐさま避難船が用意されたが、全員は乗れない。要人、研究者などが優先となり、ワカメと行動を共にする俺とニニギが、強襲揚陸艦に乗ることになった、オシホや妹は無事だろうか?





王都は大丈夫か?ヒルメは無事だろうか?




オーストラリア大陸を脱出したが、もうどこをどう行っていいのか判らない。

船は海をさまよっている。






だれかが、「空へ登る流星を見た」といっていた。

ロケットじゃあるまいし。

たとえ、ロケットだとしても飛ばすには、燃料充填や冷却など前準備が必要だ。

だいたいロケットを作ることから始めないといけない。

スペースシャトルでもシャトル自体はリサイクルでも、外部タンクは使い捨てで、理屈は同じだ。



まさかな。そんなわけあるまい。









とある別の、時代、場所


「箸が上流から流れてきたという事は、人がいるという事だ。川をさかのぼってみよう。」

彼は歩き出した。


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