山賊達の命運や如何に
「で、これはどうする?私達もお尋ね者だ。何処かの兵士に渡すとかは難しいぞ?」
現在、襲ってきた連中を全て縄で縛りその処遇について話し合っていた。既に山賊達は起きており命乞いをする者からだんまりを決め込む者もいた。
「んー・・・」
実は既に決めてる。
「あのさ、聞きたいんだけど。君らこれやりたくてやった事?」
その質問に困惑しながらも逃げられないと悟っていたのか男達は素直に答えた。
「な訳ねぇだろ!俺たちはこうするしか生活できねぇんだよ!お前らにはわかんねぇだろ、食う物にも困ってこうするしか無いんだよ!」
そうか、なら。
「じゃあ君らを鍛える事にする」
「はぁ!?」
「正気かレイカ殿?襲ってきた奴らだぞ?」
どん底にいる人たちはやりたい事をしたくても出来ない状況にある。それでいて底から上がるだけのきっかけも力もない。そんなの個人の努力不足って言えるのかもしれないが、負けを覚えた人間は上を向けないんだよ。
上に向かおうとするたびに自分の中で疑心暗鬼にさせる、自分の選択は正しいのか。いや、これまで負け続けた自分の判断が正しい訳がないってね。
努力をしないんじゃ無い。その努力を信じることができないんだ。私にもそういう経験はある。それを知っているからこそこの人達にきっかけをあげたいのだ。
「戦って分かったと思うけど、この人達、実力こそまだ無いけど頭はいいでしょ?鍛えたらいい方向に行くと思うんだ」
「それはそうだろうが・・・」
「まあ、私がやりたいだけなんだけどね」
長々と言ったが、ぶっちゃけるとこの一言に尽きる。私がやりたい事なのだ。ほら、私と同じような人が集団で居たら強く無い?ロマンしかないでしょ?そんなのやるしかないじゃない。
「んじゃ君たち、これ好きなの取って」
アイテムボックスから親方に貰った武器の山を取り出す。ガジャガシャと金属の擦れる音が響く。
既に縄は解いた。山賊達は困惑しつつも武器を手に取る。
「逃げるの以外ならその武器で何してもいいよ。といってももう夜も遅いし・・・彼女達に任せよう」
ペット召喚でバルキリーとワルキューレを召喚する。その様子を見るのが初めてな山賊達はそれに驚く。
「えーっと、バルキリー?この人たちを死なないように鍛えてもらえる?鍛え方は任せるよ」
「了解しました。主人の期待に添えるよう張り切ってやりますね」
開口一番の私の言葉に嫌な顔せずニッコリと笑うバルキリー。それとは反対に青い顔をするのはワルキューレだ。ヒソヒソと私の耳元で周りに聞こえないように声を出す。
「お姉さまに頼むのは失敗じゃないかな・・・いつも私も受けてるけど、毎回死にかけるんだ」
・・・マジで?・・・ま、まあ死なないようにっていったし?多分大丈夫でしょう。南無。
「いい機会です。ワルキューレも付き合いなさい」
「へっ!?い、いやー私はいいかなぁ!ほら、主様の護衛が」
「それならナツミがいるでしょう?ほら行きますよ」
ズルズルと首元を掴まれ引きずられるワルキューレ。いやー!と声が響くがわたしには何も出来ん。生きて帰れよワルキューレ・・・!
少しすると夜の森の中から山賊達の悲鳴が次々と上がり始める。うーん、頑張れ!そんな悲鳴の雨を背景に私とナツミさんはテントで寝た。ある意味襲った罰になってるわけだしいいよね!
更新遅くてすいません、これも全てソシャゲのイベントが悪いんです!タイミングよくハントクエなんて出てくるから・・・!




