竜と追いかけっこのスタート
神獣にも色々いる。ランク分けと言えばわかりやすいが同じ神獣の名を持つ魔物だとしても強さはバラバラだ。私のペットであるフェンリルも神獣だがランクで言えば下になる。
話に出てきた神獣とされる竜。これは神獣の中でも別格でトップランクに入る強さを誇る。ゲーム時代では単独で挑むことが自殺行為とされた、と言えばその強さが分かるだろうか。まあ言ってしまえばレイドボスというやつだ。
しかしまあ・・・私も違うレイドボスに単独で挑んで倒した経験はあるが、竜に関しては違う。見てみないことには分からないがどの竜になろうと強いことに変わりはない。
本当なら挑戦したが、今回は捜索ってこともあるしそっちが優先だ。
「じゃあ今度はこっちの話だな」
「中に人が居ると聞いたが、一般人ではないだろう?」
このエリアに来れる時点で一般人とは言えないしな。
「ドヴェルグの鍛冶屋で働く親方だな、どうやら製作に必要な素材を取りに来てたらしい」
「あそこの親方か、ならまだ大丈夫だろう。が、奴に見つからずに捜索は難しいな」
「ていうか、一つ根本的な事聞いていい?」
竜と聞いてからずっと思っていた事なんだけども。
「竜相手にこのくらいの結界って無意味じゃね?」
なんか場の雰囲気が凍った気がする。あとついでにフラグが立った気がする。
「・・・なんだと?」
「いや、竜が相手ならこのくらいの結界普通に破るぞ」
ゲームの時はうちのチームの壁役の結界すらぶち破ってたぞ竜。油断してたそいつごと。
「では無意味ということか!?くそっ、奴が外に出たら被害がどうなるか分からんぞ!」
「なら討伐するしかないんじゃないかね」
「そうしたいところだがこの数では足りん」
はて、このエリアに来れる人たちの集まりならやり方次第で倒せると思うが。私が3人か4人分くらい働く必要があるけど。
「かと言って待っても仕方ないだろ、事態は一刻を争うと思うんだけど」
ふーむ、前から思ってたことだが。この世界の人間は自分達を過小評価というか、弱くみてる気がするな。いや、何度でも死んでやり直せたゲーム時代とは違うんだし慎重になるのは当たり前、か。
「まあ、そういう事なら。私が囮になるから親方連れてこれる?」
「・・・それが何を意味するか分かってるのか?奴と一対一ということになるんだぞ?」
「そっちこそ分かってないな。これでも実力はあるんでね、逃げに徹すれば死ぬ事はないよ」
「しかし・・・」
相手も誰かを犠牲をするのは嫌らしく素直に頷いてくれなさそうだ。いや、割と真面目な方で竜相手でも逃げることに集中するなら余裕なんだけどなぁ・・・倒す場合は私でもやった事ないんで自信はない。
と、その時だった。私達の頭上から頭の奥底に響くような咆哮が響き、私達の頭上を飛び始める竜の姿が見えた。
「くっ・・・まずい!奴が逃げる!」
「まあ、こうなったらなるようになるか。んじゃ任せたよ。アレン少年はナツミさんについていくように」
「なっ、ちょっとまっ」
話を聞かずに結界の中に走り出す。この結界が私の仲間以外なのは確定。なら私でも破壊可能だ。
『火術式・陽炎』
カードを差し込み炎を宿した拳で殴るとガラスを破ったかの如く見えない何かが割れる感触を感じた。そして腰のボタンをポチッと叩く。
『フルチャージ』
手の中に荒れ狂う炎を顕現させるとそれを遠投の如く空を飛ぶ竜に投げつけて一気に大岩が転がる山肌を駆け上がる。
「竜の相手は久々だ、楽しんで行こうか」
(´ω`)明日は竜のステーキかなぁ、多分。




