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第4話
校舎内にチャイムが鳴り響く。
一瞬の開放感とともに教室には喧騒が広がる。ざわざわという内容も分からないような会話の波に、アサヒは全く無関心で机に突っ伏す。
聞く気がなくても見えてしまうのは、
快いものではない。
「起立」
顔もほとんど合わせたことのない委員長の号令に、手放しかけていた意識をなんとか連れ戻してテキトーに頭を下げ、周りの生徒が部活やらバイトやらに向かうのを再び腰を下ろして見送る。
ちなみに、今日は予備校は休みだ。
ヴー ヴー ヴー
カバンに入れていたスマホが振動する。
「何…?」
SNSアプリを立ちあげる。やり取りをする相手が少ないから普段から通知なんてほとんど来ない。この時間なら多分、
「やっぱりミサキか…」
先ほど「バイトだからー!」と教室を飛び出した幼なじみの姿を思い出す。
「…あんのハイテンションバカ……」
呆れてため息をつく。
『ごめん!!私の机に財布入ってない!?(´๑•_•๑)』
『あったら届けてー!( >̶̥̥̥᷄д<̶̥̥̥᷅ )』
返信もする気にならず電源を落とした。