外伝 アーガイル
アーガイルの外伝を作ってみました
ここは、天界。その中でも最も農作物に恵まれた少し田舎なこの地域。そこで、彼「アーガイル」は生まれ育った。アーガイルは、生まれつき魔力の量がとても多く集落の人々からは家族みんなでとても世話になっていた。そして、アーガイルは人間でいう五歳のとき天界の中央にある大きな街。天界の首都「アークミリウム」に建設されている学院に最年少で入学した。特に不便を感じることはなくすくすくと成長していった。「お前は、生まれながらにして天才である」と言い聞かせられながら。自分にそう言い聞かせながら。学院での成績はいつも一番で知識も、運動も、魔法も学院内でアーガイルに勝るものは誰一人いない......はずだった。
「皆さんに、新しいお友達を紹介しますね。今日から、この教室で一緒に勉強することになった、ミナちゃんと、キラちゃんよ。仲良くしてあげてね。」
「.....よろしく。あ、一応言っておくけど、私もキラもあんたらよりも年上だから。」
「もう、ミナ!もう少し優しく言えないの?まあ、ミナの言っていることは事実だけど同い年だと思って接してくれて構わないわよ。」
アーガイルの入っている、この学院でも上位者だけのクラス。そこに新しく二人の少女、ミナとキラが入って来た。アーガイルは、二人がどれほどの実力か試し行こうぜという友達の誘いにのりミナとキラを放課後公園に呼びつけた。アーガイルは公園の真ん中で数十名の友達とまとまって待っていた。しかし、二人は来なかった。
「フン!所詮、この俺様の力に恐れおののき逃げただけだ。そんな、弱者など相手するまでもないな!よし、お前ら今日は解散して良いぞ!」
アーガイルは二人が怖がってこなかったただの弱者だと鼻で笑っていた。
そして、ミナとキラが入ってきて初めてのテスト。二人の成績は高くもなく、低くもなくという丁度中間程の順位。そこでも、アーガイルは二人の事を鼻で笑っていた。
「やはり、生まれながらにして才能を持っている俺と自力で上がって来た平民とでは天と地ほどの差があるな!」
いつものように手下の様な者と一緒に廊下の真ん中を歩いて帰っていく。
そして、卒業。誰一人留年することもなく皆でそろっての卒業式。アーガイルは自分の為の式と思いながら花道を歩いていく。式が終わると、皆口々に「おめでとう」「これからもちょくちょく会おうな」等と言っている。もちろんその輪の中にはミナとキラも入っている。
「次、貴様らに会うのは、天界位階序列決定戦の時だな。少しは俺を楽しませるために強くなっていてくれよ!」
そう言いアーガイルは学校を後にした。何人かはしばらくその場で遊んだり喋ったりしているようだが過半数は自分の地元に帰っていった。「アークミリウム学院を卒業した」はアークミリウム以外の全地域共通で褒め称えられるほど名誉あることなのだ。皆それを報告するために卒業式が終わり軽い雑談をしたら帰るのだろう。そして、アーガイルも例外でなく.....。
「集落の者ども!よーく聞け!俺様は今日、アークミリウム学院を卒業したぞ!」
集落に戻り次第ありったけの声でそう叫んだ。集落に住んでいる人たちはそれを聞いた途端家から飛び出しアーガイルを出迎えた。その日は、周辺の集落も巻き込んで大きなお祭りとなった。
時は流れ、アーガイルと同時期に卒業したもの達は再び、アークミリウム学院に集まった。ここには、大規模な闘技場が設けられており、学院での使用以外にも様々なことで使われている。天界位階序列決定戦もここで行われる。
アーガイルが会場に入ると、学院時代アーガイルの周りにいつもいた十名ほどの友達が集まって来た。また、集団が集まった。
「貴様ら、元気にしていたようだな!.....む?ミナとキラとかいう弱者はどうした?来ていないのか?残念だ。奴らの負けっぷりを見物したかったのだがな。」
その言葉に、友達たちは同意の言葉を続ける。
雑談が終わるとほとんど同時に決定戦の開始がアナウンスによって告げられる。出場者は闘技場の演舞場へ、他の者たちは観客席へ。
「なななんと!今回は超スペシャルゲストが来ています!天界でこのお方にかなう者はいない?!最強の戦士と名高い天界位階序列二位ミナージェ様と、まさにそのお姿や人格は女神そのもの!戦場の女神と名高い天界位階序列三位キラリス様のお二人が演舞場中央の上VIP席よりご観戦です!決定戦で勝ち残った上位二十名はこのお二方に挑む権利が与えられます!おおっと、ここで追加情報です。なになに?えっ?!なんと、このお二人は自らの意思でこの天界位階序列決定戦に来られたとのこと!なんと珍しいことでしょう!」
アーガイルは、興奮した。決定戦で勝ち残れば天界でも名高い者たちに自分の力を示すことが出来る。そう考えている。
案の定、アーガイルと取り巻きの十人は決定戦を勝ち残った。アーガイルはトップ通過である。トップ十人はミナージェと。その下の十人はキラリスと戦うことになっている。
まずは、キラリスとの戦い。キラリスは、本当に女神のように美しく強かった。
(キラリス様は、学院時代の弱者キラに似ているな)
アーガイルはそう思った。
次にミナージェが戦う番だ。アーガイルたちも演舞場に入る。アーガイルたちが入ってしばらくするとミナージェが下りてくる。キラリスには負けるが、こちらもかなり美しかった。
「初めまして......じゃ、ないわね。」
ミナージェは一度初めましてというが訂正する。
「久しぶりのほうだな。」
一言誰にも聞こえないような声で呟く。
「アーガイルと、その取り巻き...久しぶりだな。覚えているか?」
アーガイルたちは呆然としている。ミナージェの言葉の意味を理解していない。
(久しぶりだと?俺様は、ミナージェ様に一度会ったことがあるのか?しかし、そんな大事なことを俺様が忘れるわけ......。)
「お前らと私のつながりは簡単だ。実地調査としてアークミリウム学院に一時期入っていたんだが。あぁ、あの時は偽名だったな。「ミナ」って名前のやつだ。その顔は、思い出したって感じだな。」
(まさか、あの弱者だというのか?確かに、あいつらには何かの魔法がかかっていた。恐らく魔力封じだろうな。)
アーガイルは、負けた。最期まで挑み続けたが何もできないまま負けた。しかし何度も挑み続ける不屈の精神力を誉められ天界位階序列第四十位の地位に就いた。
アーガイルが四十位の位にふさわしい仕事ぶりを見せていたころ、ミナージェとキラリスが天界から追放された。それからそばらくは大丈夫だったがだんだん天界は荒れ始めた。
そしてアーガイルは、自分が絶対強者となれる世界......人間界へ行き下部となる人間を捕まえた。
全ては順調に進んでいた。だが、それもまたミナージェによってつぶされてしまった。
まあ、この話はアーガイルの過去と沙弥たちと別の視点で見たものです。