記憶
前話までと書き方が変わってますが、多目に見てください。
亜美が失踪したのです。それも、突然。私は無我夢中で捜し回りました。街の人、学校の人、聞いて回り手掛かりを見つけても、私がつく頃にはその場所に亜美の姿は無くなっているというのを何度もくりかえす内に日が傾いてきました。しかし、私の足は止まらない。転んでもすぐに立ち上がりまた走る。私の足は、傷だらけ。でも、私は走り続けました。少しでも早く亜美を見つけたい。そんな強い思いが亜美にも届いたのでしょうか。自然と私は山へ向かいました。百年杉のある山。その時、頭の中に声が流れてきました。透き通る様でとても響く声。私はその声の聞こえる方へ走っているのだと気付きました。私はこの声をどこかで聞いたことがある気がするのです。遠い昔に一度だけ。その時も、こんな状況。大切な者が何処かへ行ってしまったときに、「こっちだよ、早くおいで」と言われる。誰の声か何て関係ない。今はこの声を信じてこの声の導く方へ...。亜美の待っている、百年杉へ...!
「やっぱり...、ここにいた...。」
亜美はいた。ただ、雰囲気が違う。とても、寂しそうな感じ。
「...亜美。」
なんだか、弱々しくなる私の声。亜美には届いているだろうか。
「......沙弥?やっぱり、ここへ来たんだ...。ねぇ、覚えてる?私達が始めてあった日の事。」
何を言ってるのだろうか。
「え?私達が始めて会ったのって、中学の入学式の日でしょ?そんな、最近の事忘れる訳がないよ。」
「..........。」
亜美は無言で俯いてしまった。何か間違ったのだろうか。
「.......やっぱり、そうだよね。」
え?やっぱりって、何が...あの日始めて私達は出会った。その事に間違いは無いはずなのだ。
「じゃあ、沙弥はここで起こった事何も覚えて無いんだね...。」
「ここでは、亜美と一緒に友達として始めてきたば......ぁ...。」
何故だろう、何だかそうじゃない気がする。私の記憶が曖昧になって...。
「.........そっか。亜美は、先に思い出してたんだね。正しくは昨日の夜...。私も、今思い出したよ。昔の事、全部...。」
「...うん。」
そう、私の記憶は間違っていた。亜美と始めてあった日の事も。そして、亜美は昨日の夜、私は今、昔の記憶を取り戻した。元々私達は、昔の記憶がスッポリ抜けている、という共通点があり仲良くなった。そして、私も亜美もその記憶を取り戻した。それが意味すること....。それは...
「...!亜美、後ろ!!」
そう、全てが始まってしまった。再び。