騎士団なのです!
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昨日は、あの後ずっと収穫祭を楽しんだ。夜になると街の雰囲気はガラリと変わり、酒も入ってどんちゃん騒ぎをする人達もいた。
ディベルとアレキサンダーは、屋台の食べ物を全て制覇してしまうのでは?と、いうくらい食べまくった。
大道芸以外にも、あちこちで見世物をやっていて、目をキラキラさせながら見ていた。
一晩明けても、朝から街はお祭り騒ぎだ。
名残惜しいが、今日は王都に向かう予定だ。
とりあえず、キャンプ用品を買い足そう。
一応、戦い方を習ってみようと思ってその手の道場に行ってみたが、収穫祭ってこともあり五日後に来てくれと言われてしまった。ならば、このまま王都に行ってしまおうとなったわけだが。
「いやですぅ、まだお祭り楽しむのです」
「プヒーッ」
そして、このありさまだ。
「ダメだ、昨日たくさん遊んだだろ。このまま、街にいても仕方がないんだ、王都に行って戦闘術を教わって旅の安全を磐石にしないとな」
いくら街道沿いが安全だと言っても、この先何があるか分からないからな。
「うぅ、まだ食べてないものが、あるかもしれないのです」
「プヒーッ、プヒーッ」
そんなことはない、たぶん売っている食べ物はほとんど食べたはずだ。残っているのも、似たような物ばかりだろう。だいたい、このちっさい体のどこに、あの量の食べ物が入ったんだ?この豚も、同じ量食ってたし。
とりあえず、宿を後にして道具屋に向かう。
だが、結局そこに着く前に途中の屋台で何度も足止めをくらった。
「美味しいのです!」
「プヒーッ」
もう何も言わない、好きなだけ食え。満足すれば、文句も言わずについてくるか?
何度も屋台に足止めを食らいながらも、道具屋に着いた。
「なにを買うのです?」
「足りない携帯食料と、ペット用の首輪だ」
確か、この街から王都までは約五日程度の距離だ。食料も、いつもより多めに買っておけば大丈夫だろうか?
それと、アレキサンダー用に首輪を買った、飼い主の義務からだ。
代金を支払って、ディベルが袖に買ったものを入れていく。いつ見ても便利だ。
「プヒーッ」
「よかったのです、アレキサンダーも喜んでるのです」
アレキサンダーも、首輪が気に入ったのか興奮しているようだ。
とりあえず必要な物も買ったし、そのまま西側の門に向かった。
西門に着き門番と話をしていると、門の外からこちらに向かってくる馬車の集団が見える。
「おっ、あれは王国騎士団だな。あんな数で来るのは珍しいな」
あれが、噂に聞く王国騎士団か。
馬車から降りた、精悍な顔した重装備の騎士達が近づいてくる、数は十二人。
「お疲れ様です。騎士団の方が来るとは、何かあったのですか?」
「警備ご苦労。うむ、東の大草原まで調査の為に来たのだが、騎士団の駐屯所に到着したことを伝えてもらえるか」
「はい、かしこまりました!」
騎士に指示を出され、守兵が駆けていく。
今、騎士は東の大草原を調査すると言っていたな。
あそこは、俺達がこの世界に転生した場所だ。
まさか、この世界に何か影響があったのか?だとしたら、俺達の正体がバレるのはまずいよな。
厄介ごとに巻き込まれる前に、街から離れよう。
「サクジロウ、どうしたのです?」
「いや、なんでもない。王都に着くまで歩いて五日はかかるが、また疲れたから歩きたくないとか泣き言いうなよ」
いつものように、ディベルをからかい騎士団から意識を逸らしながら門の外に出た。
ディベルのぽんこつが発動して、面倒ごとになるのは困るからな。
「大丈夫なのです!モンスターが出ても、今度こそわたくしの魔法で一網打尽にしてやるのです!」
やはり、俺の不安は的中した。
ここぞとばかりに叫びながら、踏ん反り返りポーズで歩くぽんこつ女神。ある程度、門から離れたから聞こえていないと思うが、後ろに目をやる。
ちらりと騎士団の方を確認したら、こちらを見ている騎士が一人いた。女騎士の様だが、なんだろう嫌な感じがする。
とにかく、早くここから離れよう。ここで、変な行動して怪しまれるのも嫌なので、足早に街道を進む。
追ってはこないみたいだな。だが、女騎士はずっとこちらを見ている、いや睨んでるようにも見えた。
「あ〜ん、アレキサンダー待ってくださいなのです」
「プッヒーッ」
そんな心配をしている俺をよそに、ディベルとアレキサンダーが追いかけっこをして街道を走っていく。
よし、でかした。
このまま、あいつらを追うふりして走り去ってしまおう。
たまには役に立つ、ぽんこつ女神だった。
「こらっ、待て!勝手に先に行くんじゃない!また迷子になったらどうするんだ!」
そう叫びながら、俺はぽんこつ女神と豚を追いかけた。
女騎士の口から『女神』という言葉が出たことも気づかずに。
騎士団登場です、この先も何かと関わってきます。
王都は拠点となりますので色々事件が起きます。
もちろん巻き込まれるんです。