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初めて料理を食べたのです!

毎回読んでいただき、ありがとうございます。

ブックマークしてくれた方、ありがとうございます。

ある程度ディベルからこの世界の説明聞いたので、一階の酒場に降りて食事をすることにした。

丁度夕飯時なのか、先ほどより人が増えていた。

よく見ると何人か武装している人もいる。村の守兵かな?


「お姉さん、食事したいんだけどいいかな?」

「おっ、さっきの旅人さんだね、食事は別料金で一人前銅貨二枚だよ」


宿泊料に比べると割高のような気がするが、いや部屋代の方が安すぎるのか?

他のテーブルで食べている料理を覗き見してみる。

思ったよりボリュームがありお得そうだ。


「じゃあ、二人分お願いするよ」

「はいよっ!すぐ持って行くから空いてる席に座ってな」


さて、どこに座るかなと見渡すと、ディベルがすでに座ってていた。本当に、こういうのは行動が早いな。

苦笑を堪えながらその場所に向かう。


「もう、お腹がぺこぺこなのです」

「お姉さんが、すぐ持ってきてくれるってよ」


ディベルは、隣の席で食べている料理を見て涎を垂らしていた。まぁ、分からなくもないけどな、ここまで美味そうな匂いが流れてきて、俺も耐えられそうにない。

と、そこに料理が運ばれてきた。


「はい、お待ち!このキーリカさんが作った特製肉プレートだよ!」

「美味しそうなのです!」

「いやいや、食べてからその言葉を言ってくれよ!」


目の前に料理が置かれると、同時にディベルは食べ始めた。

俺も限界だ、熱々に焼けている肉に食らいつく!


「とっても美味しいのです!」

「あぁっ、美味さが体に染み渡るようだ!」

「ふふっ、ありがとよ!こんなに美味そうに食ってもらえたら、作った甲斐があったもんよ!」


肉も野菜も、スープもパンも全部が美味い。

文化水準が低いとか言っていたから、ある程度は覚悟していたが、そんな考え吹っ飛んじまったぜ。


久々に満足感味わえた、向こうの世界にいた時なんてコンビニ弁当か、レトルト食品ばかり食べてたしなぁ。

手作りのご飯なんて何年ぶりだろう。

やっぱり、土や水、空気が良いおかげなのかな?

素材そのものが美味いんだと思う。


「美味いのです!はじめて食事をしましたが、これが料理なのですね。口の中に、なんとも言えない味が駆け巡るのです!お肉から美味しいお汁が溢れ出て、お野菜はシャキシャキで瑞々しく、お豆のスープも体の芯からジーンとして、パンもフワフワで凄く美味しいのです」


ん?ディベルは食事をしたことないのか?

でも、俺に飴くれたよな?


「飴はいっぱい持ってますの、お菓子もあるのです。でも、料理は作れないので、食べたことなかったのです。でもでも、女神なので知識としては持ってたのです。」


そうなのか、女神なのでなんでも自由に出せるもんだ思ってたわ。


「でも、サクジロウと一緒に付いてきて、初めて食べることが出来したのです。とっても嬉しいことなのです」


いつものように、太陽のような笑顔でニコニコとしてるところにお姉さんが来た。確か、キーリカさんって言ってたな。


「よう、あんた達が私の料理を、あまりにも美味しく食べてくれたから、これはサービスだよ」


そういうと、木のコップになみなみと注がれたモノをドンっとテーブルに置いた。

特製の果汁ジュースだそうだ。これもまた美味そうにディベルが飲んでいる。もっと飲みたそうにしているから俺のもくれてやった。


「そういえば、あんた達どこから来たんだい?こんなに辺鄙な村に来ても面白くないだろう」

「わたくし達は、東の草原から来たのです」


キーリカの質問に答えるディベル。

まぁ、確かにそうなんだけど、キーリカさんは変な顔をしている。


「おいおい、東の草原の先は北の山岳地帯に続く道しかないじゃないか。まさか、あの山岳を抜けて来たって言うんじゃないだろうね!?確かに、中央から来るには近道になるけど、あんた達みたいな子供二人だけでは無理過ぎる」


しまった、ここが最東端だから、東から来たと言ったらそうなってしまうのか。どうやって誤魔化す!?


「ふっふっふっふっふっふっふっふっ」


ディベルが不敵に笑っている。何か策があるのだろうか。


「キーリカさんは、面白いことを聞くのです。わたくし達は草原から来たのです、山岳地帯とか分からないのです。こう、魔法でゲート開いてギューンと・・・」


期待した俺がバカだった。こんなところで、ぽんこつ発動しやがったよ。とっさにディベルの口を塞ぐ。


「えっと、色々訳がありまして。こいつが結構強いんですよ魔法とか使えるんで」


ふーんと、疑いの眼差しを向けながらこちらを見ているキーリカさん。頼む、これ以上突っ込まないで。


「まぁ、いいや。あんなに、料理を美味しそうに食べてくれた奴に悪い奴はいないはずだ」


そういうと、ひらひらと手を振りならがらカウンターの奥に戻っていく。いい人でよかった。

ホッと一息つくと、口を塞がれたままのディベルがモゴモゴと蠢いていた。


「ぷはーっ、サクジロウはバカタレなのです!もう少しで、あっちの世界に戻ってしまうかと思ったのです!」


ゴメンゴメンと、謝りながら真っ赤になったディベルを見て笑ってしまう。


とりあえず、今日は休んで明日買い物に行こうと提案する。この時間では店も閉まっているだろう。

プンスカと怒っているディベルをなだめつつ、旅に必要なものを書き出していく。

明日、晴れるといいな。

次で村での旅の準備が終わります。

ようやく珍道中(旅)がはじまりそうです。

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