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女神の休日/豚の長い一日なのです!

読んでいただき、ありがとうごさいます。

ブクマしてくれた方、ありがとうごさいます。


感想や、レビューもお待ちしています。


励ましのお便りも、待ってます。

いつもなら、特訓をしている道場が静寂に包まれていた。

柔らかい日差しの降り注ぐ縁側には、一人の少女と豚がいる。


「今日は、あったかいのです」

「プヒーッ」


ゴロゴロと転がりながら、日向ぼっこを堪能している。

年の頃は14歳くらいだろうか?

胸の膨らみも残念ながら、お尻も薄く成長の兆しが見られない肉付きの、見た目だけはロリ少女のぽんこつ女神のディベルである。


今日、修行は休みでサクジロウとオルトガは、朝からどこかへ出掛けたのである。

行き先は言わずに、ディベルに留守番を頼んでいた。

しかし、この道場に毎日いるが他に人が来たところを見たことはない。


「二人は、どこに行ったのです?」

「プヒッ」

「アレキサンダーも知らないのです?」

「プヒプヒ」


アレキサンダーはただの豚ではない、人の言葉が分かる豚なのだ。言葉を話すことはできないが、なぜかディベルは意思の疎通ができる、ぽんこつ女神だけどな。

あと、見た目は豚だが、実は女神エインディベルも分からない生物なのだ。


「そうなのです!」

「プヒ?」


突然、ディベルが大きな声あげて立ち上がった。

何か思いついたのか、目をキラキラと輝かせていた。

あの目をした時は、大抵ぽんこつが発揮されるのだ。

面倒ごとに巻き込まれるはやだなぁ。


「今日は、わたくし達だけで特訓するのです!」

「プヒーッ!」

「そうなのです!こっそり強くなってサクジロウを驚かしてやるのです!」

「プヒーッ、プヒーッ!」

「そうすれば、女神エインディベルのチカラを思い知って、崇め奉るはずなのです!」

「プッヒーッ!」


こうしてはじまった、ぽんこつ女神の奮闘記が…。


すでに、ディベルの頭の中ではサクジロウが額を地面に擦り付け崇め奉っている。

さらに、ディベルの足をペロペロ舐めている姿が映し出されていた。


『さすが女神エインディベル様です。これから一生崇め奉ります。どうか、この役立たずの自分に、その恩恵を授けてください。その証に、御御足を舐めますペロペロ』


ディベルの妄想が、だだ漏れしている。

しかし、最後が酷い。

ある種の人には、ご褒美なのだろうが…。


「そうと決まれば、あの人形を出すのです」


道場の奥にしまってある人形を出してきた。

十数体程の人形を、道場や庭に適当に置いていく。


「これで、準備完了なのです」

「プヒーッ」


もちろん、アレキサンダーも手伝いましたよ。

意外に重さがあったので、豚の身には辛い仕事だった。


「まずは、小手調なのです」


そういって、ディベルが杖を構える。

青白い光が杖の先に集まり、小さな球を作る。


「くらえっ、なのです!」


杖の先から放たれた光の筋は、人形の的部分に命中した。

次々と放たれる光の筋が、人形に命中する。


「こんなものなのです!」


ディベルが、得意げに踏ん反り返りポーズをしている。

久しぶりに見たが、あいかわらず胸の部分が慎ましい丘陵だった。

サクジロウがいないので、いつまでも踏ん反り返っている。


「はっ、この程度で喜んでる場合じゃないのです!?」

「プヒーッ?」

「もっと凄いことができないと、サクジロウが足を舐めてくれないのです」


少し目的が変わっているが、気にしないでおく。

サクジロウが、ぽんこつ女神と呼ぶ理由がよくわかる。


「なにか、サクジロウが驚くような方法ないのです?」

「プヒ、プヒーッ、プヒーッ!」

「アレキサンダー、何かいい方法があるのです?」

「プップヒーッ、プヒーッ!」

「なるほど、そうなのです!それだったらきっと驚くのです!」


アレキサンダーのアドバイスを聞いて奮起する。

ディベルが杖を構え集中しはじめた。

青白い光が集まる。

そして光の球を作り出すが、それは一つではなく何個も作り出された。

そう、同時に複数の光球を作って攻撃するのだ。


特訓をはじめて、一刻程時間が経った。

魔法を安定させるのが難しいのか、複数の光の球を作ろうとするとすぐに霧散していた。


「むずかしいのです」

「プヒーッ?」

「アレキサンダー、ありがとうなのです。大丈夫なのです!ここでがんばらないと、サクジロウを倒すことができないですの!」


また、新しい目的が加わった。

ぽんこつの修正力が、凄いことになっているのだろう。

それから、半刻程過ぎた。


「上手くできたのです」


ディベルの周りには、八つの光の球が浮いている。

光の球から零れ落ちる輝く粒子を纏う姿は、まるで女神のようだ。


「ふふふっ、ついにサクジロウを倒す必殺技ができてしまったのです。この技をくらえば、さすがのサクジロウも泣いて足を舐めるのです」


おっと、とんでもない女神だった!?

目的に、サクジロウを泣かすことも加えられている。

たぶん新しい技のことで、頭が働いていないんだ。


「あぁ、わたくしを崇め奉り、床に這いつくばり、許しを請いながら、泣いて足を舐める光景が見えるのです。最後には踏んであげるのです、ご褒美なのです」


少し熱っぽく上気した恍惚な表情を浮かべている。

とうとう、サクジロウが下僕のような扱いになるまでに妄想が進んでいる。

突然、鋭く目つきが変わった!


「サクジロウっ!くらいやがれなのです!」


叫ぶと同時に、光の筋が放たれる!

ただし、光の球から生まれたのは二筋の光。

合計十六の光の筋が飛び交い、あちこちに置いてある人形に命中する!

光の筋をくらった人形が吹き飛び、それは惨たらしい姿になって床に叩きつけられた。


「今のが、サクジロウデストロイビューティフルガッデス美少女女神殺人光線なのです」


色々と意味が被ってるし長すぎる。殺人って言っちゃってるしダメだろ。

残念すぎるぽんこつ女神だ。


「プヒーッ」

「アレキサンダーも、喜んでくれてるのです」

「あとは、サクジロウが戻ってくるのを待つだけなのです」

「プヒーップヒーッ」

「そろそろお昼なのです。アレキサンダーお昼ご飯を食べるのです」


道場に散乱している人形を、軽やかな動きで避けながら縁側に向った。

真上に昇った太陽が眩しい。じんわりと暑さを感じる季節になってきた。


「サクジロウ早く帰ってきてほしいのです」

「プヒッ?」

「がんばって特訓したのを、褒めてもらうのです!」


なるほど。


「褒めてくれたら、足を舐めさせてあげるのです!」

「プヒーッ!?」


結局、ディベルはぽんこつ女神なんだと思う豚なのである。


ディベルの妄想が止まりません!

アレキサンダーも活躍の場を作りたい。

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