女騎士再び!まさかの展開なのです!
いつも読んいただき、ありがとうございます。
ブックマークしてくれた方、ありがとうございます。
感想、レビューお待ちしてます。
女神の手掛かりを見つけてから数日が経った。
王宮魔導師達は研究所に篭り、大草原で見つけた不思議な紙に残っていた魔力の解析をしていた。
そして、今日その魔導師達から呼び出されたのだ。
「先日持ち込まれた、不思議な紙に残っていた魔力の解析が終わりました。」
魔導師の一人が報告をする。
王宮の一角にある会議場に、王国騎士団の団長が全員集まっていた。
六師団の団長が、全員集まることなど滅多にないことだ。
それほど、この件に関して国王が重要視しているということなのであろう。
「こちらが先日、サクラ様率いる第三師団が、大草原で見つけた物でございます。」
「これが、報告にあった不思議な紙か」
「で、何か分かったのか?」
「はい。先に結論から申し上げると、我々が使う魔力と性質そのものが違うのが分かりました。」
魔導師が、四枚の不思議な紙を団長達に渡した。
他の団長達が、不思議な紙を手に取りマジマジと見ているなか、魔導師達は解析の結果を報告しはじめた。
「これ自体魔力としての反応を見せますが、我々が使う四属性や上位属性の魔法にも、似た構成の魔力がありません。」
「つまり、我々より高位世界に存在する魔力のようです」
「女神の力と断定できたわけではないですが」
「残念ながら、今の我々では再構成も分解もできません」
「証拠を見せましょう」
そう言って、一人の魔導師が不思議な紙を持ち、そのまま魔法で炎を出して燃やした!?
「何しているのですっ!」
私は、貴重な女神の手掛かりを燃やされるのを見て、怒鳴りつけた!
あまりの豹変ぶりに、周りの団長達が驚いている。
「心配なさるな、これを見なさい」
魔導師の手を見ると、魔法の炎が消えて燃えたはずの不思議な紙がある。
綺麗なままで焦げたようにも見えない。
「こ、これはいったい!?」
「これが証拠です。私の魔法の炎では燃やせないのです」
「もちろん、私の魔法の風でも切ることはできなかった」
「水にも濡れない、氷で凍らせても砕けないし、土で押し潰しても破けない」
「もちろん、武器などの物理的な力も無意味です。なんなら、ここでサクラ様が試してみますか?」
私が驚愕してるも、魔導師達は淡々と話す。
「とにかく、我々王宮魔導師は不思議な紙の解析を続けますので、今回はこれで報告を終わります。」
ぞろぞろと、会議場から出て行く魔導師達と団長達。
静まり返った会議場に一人残された私は、懐から一枚の不思議な紙を出す。
大切な女神の手掛かり。
私の存在を明らかにしてくれる道標。
「女神を、絶対に見つけ出してみせる」
そう言って会議場を後にした。
第三師団の詰所に戻ると、騎士達が集まってきた。
「サクラ団長、魔導師はなんと言っていたのですか?」
「こんだけ時間が掛かったんだ、何か分かったんですよね?」
私は、会議での報告を騎士達に話した。
「現状では、女神の所在は分かりませんでした。とにかく今は騎士としての仕事を全うするだけです。」
「了解しました」
そのまま定期報告を行い、今節第三師団に当てられている城下町の警備に赴く。
いつものように巡回をしていると、見知った顔が歩いているのに気づいた。
「よう、いつもご苦労さん」
馴れ馴れしく声をかけてきたのは、商業地区で道場を営んでいる男だった。
確か、オルトガとか言ったか?
何やら修行が厳しいらしく、通っていた貴族の御曹司や騎士見習いが、こぞって逃げ出し経営が傾きかけたと聞いていた。
「そういや聖騎士様は、元気にしてるか?」
こいつは、いつも酒場で冒険者や騎士相手に賭け試合をして、度々注意を受けている不埒な奴だ。
ただ、聖騎士である第一師団団長と仲が良いらしく、お咎めなしで解放されてしまう。
そういえば、最近は騒ぎを起こしていないようだが。
「最近は忙しいようで、私も会ってません。今は、警備中なので失礼します。」
適当にあしらい、その場を離れようとしたがオルトガの後ろに男が一人いることに気がついた。
「紹介してやろう、こいつは最近弟子入りしたサクジロウっていうんだ。なかなか骨のある奴で、俺の特訓についてくる奴だぞ」
見習いとはいえ騎士が逃げ出す程の修行を受けているのか。
どれ程の男かしっかり見ると、どこかで見た顔だった。
「たしか、東の商業都市で会いませんでしたか?」
思い出して、そう尋ねてみる。
私の騎士団が大草原の調査の為に向かう途中すれ違った青年だ。
あのときは、少女も一緒にいたと思ったが。
今時珍しく、二人で旅していると街の守衛から聞いていたので覚えていた。
「商業都市にいましたが、騎士様と会ったことはないと思いますが」
そう言った青年は、どこか不思議な感じがする。
あのときも同じ感じがしたので、街道に向かう彼等が気になってしかたがなかったのだ。
「そうですね、街の門で擦れ違っただけなのですが。あの後、門の守兵から二人旅をしていると聞いたので、気にかけていたのです」
「そうだったんですね、ありがとうございます」
「なんだ、二人は知り合いなのか?」
悪い人ではなさそうですね。手を差し出し握手を求めた。
オルトガが、彼をふざけるようにからかっている。
しっかりと握手をした後、なにか胸のあたりが熱くなってきた。
慌てて探ると、魔力見の水晶が赤く光っていた。
それを見た瞬間、背中がゾクリと震え身体中に汗が吹き出た。
「何だそれ?ずいぶん綺麗な宝石だな」
「赤く光ってますね、これも魔法ですか?」
二人の男が、魔力見の水晶を見て不思議そうにしている。
「女神…」
自分が、そう呟いたことに気がつかなかった。
だが、青年がサクジロウと呼ばれていた青年の顔色が変わった。
それを認識すると、私の意識がなくなった。
「お前は、お前は何を知っている」
「全てを、知っている全てを」
「私に教えろーーーーーーーーーっ!」
そう叫んで、剣を抜く!
私は、私でなくなっていた。
間合いを詰めて、剣を振り下ろす。
並みの騎士なら、それでおしまいだ。
速さが乗った金属が唸る!
だが、そこには奴の姿はない!?
左か!
定石なら、武器を持つ方の逆をつくはず。が、いない!?
視線の下に奴がいた。
私の行動より早く懐に踏み込んだというのか。
瞬間、体に衝撃が走る。
逆に私が吹っ飛ばされたことに気づく。
奴は、それを見逃さなかった。
奴の追撃の短木刀がみぞおちを貫いた、息が詰まって顔が前に落ちる。
さらなる追撃が顔に迫り来るが、何とか跳び退き態勢を整える。
ガァッ!
唾を吐き息を吸い、脚の筋肉を爆発させて駆ける!
剣を横に薙ぎ、奴との距離を一気に縮める。
そのまま無理やり体を捻る、全体重が乗った脚にさらに負担が掛かる。
筋肉が千切れる感覚が分かる。
内出血を起こし、太腿の色が赤紫に変わっていく。
だが、止まらない!
今度は、右側から剣を振り下ろす。
先程より速さがある。
さらに加速する、奴の上下左右から剣戟を繰り出す!
まだだ、さらに体を捻り脚を動かす!
体重と速度と、無理な体の捻りが負担となり全身に襲いかかる。
それでも止まらず、縦横無尽に剣戟を生み出しながら動き続ける。
金属の塊が、さらに唸りをあげて襲いかかる!
奴がいた場所に、何重という剣戟の嵐を起こした!
頭の中には何もない。自分の体が壊れていくのも感じない。
只々、攻撃し続けた。
脚が限界を超えて、止まった。
満身創痍で立ち尽くす。
太腿は、皮膚が裂け血が流れ出している。
手から落ちた剣の柄は血塗れで、腕もボロボロだ。
体を支える力が失われ、地面に倒れた。
「ア、ガァッ、グフゥッ」
咳込み血を吐いて、私の意識が戻ってくる。
やってしまったと後悔の念が溢れてくる。
「おいおい、とんでもねぇな!?大丈夫か!」
オルトガが叫ぶ声が聞こえる。
彼は、サクジロウはどうなった?たぶん無事じゃ済まなかっただろう。
「おい、大丈夫か騎士の姉ちゃん。まったく無茶しやがって」
「ア、グッ、カハッ」
「待ってろ、他の騎士と魔導師呼んだから」
私より、彼をサクジロウを心配してくれ。
そう考えながら、何とか頭を動かし彼の安否を探る。
見えた先には、彼が立っている。
まるで何もなかったかのように、こちらを見ている。
「あぁ、無事でよかった」
彼を見て安心した。
それ以外のことが、見えなかった。
その時、彼が無傷であったことなど、不思議にも思わなかったのだ。
意識が遠退く中、騎士と魔導師が駆けつけ、回復魔法で治療をはじめた。
私が目が覚めたのは、それから三日後だった。
女騎士サクラのパートです。
戦闘って書くの難しいですね。