捜索をするのです!
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爽やかな風が吹き抜ける草原。
そこに、似つかわしくない姿が現れる、王国騎士団だ。
次々と馬車から降りる騎士達。
その中で、ひとりの女騎士が草原を見渡している。
「ここが、例の場所ですか?」
「はい、王宮魔導師が言うには、反応はこの場所を表していたそうです」
「辺りを見た感じでは何もないようですが?先ほどの街道でも、なんの痕跡もありませんでしたね」
途中の街道でも、例の反応があったらしいが何も見つからなかった。
本当にここに、現れたというのだろうか?
魔力見の水晶を出してみるが、今は何の反応もない。
「団長、準備が整いました。どうしますか?」
「とにかく、この辺り一帯の捜索を開始します!どんな小さなものでもいいので、何かしら変わったところがあれば報告してください」
「はっ!直ちに捜索を開始します!全騎士に告ぐ、捜索開始っ!」
そう命令をすると、副団長が号令を出す。
捜索を開始した騎士達を確認して、自分も捜索をはじめる。
「王宮魔導師は、ここに膨大な魔力が発生したというが本当なのか?拠点にする為に立ち寄った村でも、それらしき話は聞けなかったが」
そんな愚痴を言いながら、何かないかと草原を掻き分ける。気になるといえば、商業都市に入るとき擦れ違った青年と少女だが、今時珍しく二人旅のようだった。そこの村にも滞在していたようだが。
と、その時遠くで騎士の呼ぶ声が聞こえた。
「団長、こんなものが落ちていました」
「ん?なんだこれは、紙なのか?」
騎士が持ってきたものは、何かの包み紙だろか?色とりどりの、小さな四角い紙が五枚。
聞けば、草原のあちこちに落ちていたようだ。
しかし、見れば見るほど不思議な紙だ。とても薄いが、かなり丈夫なようで、引っ張っても破けずなぜか伸びた。
「こんな材質の紙、見たことないな」
「はい、他の騎士達も見たことない紙だと言ってました」
「副団長、魔力見の水晶を持ってきてくれ!」
とにかく確認してみよう。
副団長を呼び、魔力見の水晶に不思議な紙を近づける。
ほんのり赤く光る。
「ん、微かに反応があるな!?」
「やりましたね団長!」
「やっと手掛かりが見つかった。とりあえず、あと半刻捜索したら一度村の拠点に戻ります」
「はっ、了解しました」
そう命令を出し、手に入れた不思議な紙ををしまう。
結局、その後は何も見つからず拠点に帰ることとなった。
「なるほど、確かにこの紙から同じ魔力が感じられます。しかし不思議な紙ですね」
拠点に待機していた、王宮魔導師に確認してもらった。
「では、やはり女神が降臨したということですね」
そう、あの日観測された膨大な魔力に対して、王宮魔導師達は女神が降臨したのではないかと結論に至った。
少なくとも、アルドネス王国建国以来はじめて観測された魔力量だそうだ。
「はい。ただ、そうだとしても女神はどこに行ったのか?もし、この国にわざわざ降臨したのなら、王宮に現れてもおかしくないはず。なぜ国王に謁見を求めてこない?」
いま、王宮魔導師は持論というか妄想を展開している。
そうだろうか?それは、かなり都合が良すぎないか。
たまたまこの国の、たまたまこの草原に降臨して、もしかすると気まぐれで、他の大陸に行ってしまったとか。
「とにかく、王宮に戻りましょう。すぐにでもこの紙の魔力を解析し、女神の足取りを探してみます」
「分かった、明日の朝出発しましょう」
騎士達に、明日の朝に帰還することを伝え、自分の部屋に戻る。
いまは、女神の所在は不明だが、少なくとも手掛かりが見つかったことには変わりがない。
「ようやく、女神を見つけることが出来る。これで、これで私の存在の意味が分かるかもしれない。」
独り言を呟いた。
女騎士の口から零れた言葉は、まるで女神を知っているいるかのような口ぶりだった。
一応二人目のヒロイン、女騎士の話です。
何となく分かると思いますが…です。