放送 2回目
A「皆様、こんにちは。『At the edge of 崖っぷち』のお時間がやって参りました。司会進行のAです。よろしくお願いします」
B「Bです。再び皆様にお会いできて、心からほっとしております」
C「ほっとしてるってとこが、本音出た感あるよね。ま、初回がアレだったし?」
A「正直、放送していいものかどうか、最後までもめましたがね。ご感想でも、『ああやっぱなぁ』的ご意見も、頂戴したしね(ため息)」
C「いや、ありがたいことなんですよ。こんな我々の番組を聴いてくださって、しかも、ご感想までいただけるなんて。黙殺されてもおかしくないのに。・・まぁ、黙殺か銃殺かは、微妙なとこだけどさ」
A「(小声)・・銃・・そうか、ゴルゴに電話すればいいんじゃね」
B「そうですよね、ごクレームはむしろ、愛なんだと思っています、わたしも。・・って、今Aさん、なんておっしゃったんですか?ちゃんとマイクでお話してください」
A「あ、おかまいなく」
C「・・ごく・・って・・あ、えーと。それで。元凶のDさんは?椅子、空だけど」
A「・・本日は・・本人ご欠席で、なにやら『火星でのボードミーティングに、オブザーバーとして出席せねばならないので、悪しからず』との伝言を承っております、はい」
B「あの、そんな・・椅子に向かって吐き捨てなくてもいいんじゃ」
C「じゃあ、Aさんがどっかに飛ばしたわけじゃないんですね」
A「なぜこの私が、直接手を下すなんて愚かな真似を。
火星でのお仕事がお忙しいようであれば、そのままお帰りいただかずともけっこうなのですがね」
B「Aさん、どうしてそんなことおっしゃるんですか。
いただいたご意見の中にも、かなりの数で『感動した!』ってお声、ありましたよ。Dさんのあの最後の言葉」
C「その倍の数の『なんじゃあの怪獣は』ご意見には、なんて答えるべきなのさ、我々としては」
B「あ・・えっと・・そ、れは・・」
A「今日は居ないんですよ、その怪獣。喜ばしくも。つかの間の平和を、謳歌しましょう。
さてですね、今回は、皆様からいただいたご意見やご質問に、いろいろと回答していきたいと思います。出来るだけ多くの方に、お答えしていきたいですね」
C「我々もまだ、こういうネットラジオの進行とか慣れてなくて、なにかと手間取ってるけど、今回は早足で、ね。さくさくと」
B「ご質問にお答えしながら、我々のことも、あらためてご紹介していく形で、進めさせていただきますね」
A「はい、それでは早速。まずはこちら、ラジオネーム、ピンクパンダー様からです。われわれ全体へ、ですね。
『皆さん、ほんとにAさん、Bさんってお名前なんですか。ずっと放送中も、そう呼び合ってましたよね。これ、ただの記号じゃなくて?』ご質問ありがとうございます」
C「これはね、まぁ、たしかに記号の一種。っていうか、まんま記号ですよね、名前じゃない」
B「ニックネームですら無いですもんねぇ。放送にあたっては、不都合は無いからっていう理由だけで、『これでいこう!』ってなりましたし」
A「そうなんです、我ら名前はまだ無いんです。実名はもとより、なんかうまいニックネームでも・・て考えても、いいのが出なかったんだよね」
B「・・正直あの・・『さすらいのジョニー』って名乗られた時はヒきましたよ、Aさん・・」
A「なんで!あれけっこう気に入ってるのに!」
C「ねぇ、これさ。視聴者の皆様に、なにかニックネームみたいなの、考えてもらうのはどうかな」
A「よし、それでいこう。視聴者様参加型番組のコンセプトにもマッチしてるしね。いいねC君」
B「自治体のゆるキャラみたいに、ですか。・・あんないいものでもないのに、ちょっと図々しいんじゃないでしょうか。
・・あ、いえ、えっともちろん、頂けるのならどんなお名前でも、ニックネームでも、嬉しいんですよ、わたしは」
A「Bちゃんも賛成だね。じゃ、皆さん、どうぞ、我々のニックネームに『これは』というものがあれば、番組までお寄せください」
C「あこがれるよね、スーパーアイドル・ふなっしーとかさ。・・年収7億だって」
B「そんなにっ!?・・ひとに梨汁かけて、踊って、・・それで?そんなに・・」
A「Bちゃん、目玉落ちるから気をつけて。だから、それ私のグラスですってば。
まぁ、べつに二匹目のドジョウを狙うつもりはないんですが、あくまでもこれは、もしよろしければ、というものですので」
C「僕たちはこのまま、CでもAでも、放送は出来るしさ。もうドジョウも居なくなってるよ、あんなにあちこちの自治体で、どんだけゆるキャラがいることやら」
B「ゆるさなんて、どこにもないですよね。むしろひしめき合ってますし」
A「さ、他業界をディするような真似は、ちょっと謹んで。あくまでも我々は、ゆるキャラ及び、皆様を尊重しております、という旨、申し上げておきます」
C「Aさん大人の対応。さすがですね」
A「ま、これくらいは危機管理の初歩ってね」
B「前回、その危機に壁際まで追い込まれてましたよね、文字通り。あの駐車場の警備の方達が、見かねて救助に来てくれなければ、Aさんはきっと今頃」
A「BっBちゃん見てたのっ!?・・ってか、助けてくれてもよかったじゃん!なんで!?」
C「『大人のサシ勝負に、外野が口を挟むのは野暮よ』って、Dさんが。すみません、見捨てたわけじゃないんです」
C「見捨てるというよりは、見殺しだよねその場合。・・っと、また脱線してるし、我々かなりゆるいですよ、自覚しないと。
Aさん、さ、進めましょうよ」
A「・・ああ、はい。そうですね。
えーっと、続きまして、これも我々全体宛ですね。『皆さん、けっこうばらばらな集まりにみえますが、どういった経緯でお知り合いになられたのでしょう。とても興味あります』ラジオネーム桜橋さんからです、ありがとうございます」
B「ですよねぇ、あんまりこういう組み合わせ、ないですよね。年齢もまぁ、かなり離れてますし」
C「協調性なんてもっと無いしさ。会社が一緒ならまだわかるんだけど、そうでもないし」
A「ですね!その自覚はあります。
花見のときなんて酷かったね!C君前々日から野営キャンプはってるのに、Dさん当日まで、電話さえつながらないし」
B「ああ、あの時は・・。C君、ほんとに度重なる職質、お疲れ様でした・・」
C「もう慣れた。日本のおまわりさん、優しいよ。『風邪引くなよ』なんて、涙出そうになったね。いや、実際出たのは鼻水でさ」
A「うまいこと言ってないで。・・っていうか、きちゃないこと言ってないで。ささ、この質問に、では、Bちゃん?」
B「わ、わたしですか。えーっとですね、・・言っても?大丈夫ですか?」
A:B「どうぞ」
B「はい、では。あのですね、とあるオンラインゲームで、知り合ったんですよね、全員。『クリスタル・サラトガ』っていう。かなり前に流行ったゲームで」
A「そう、ゲームにチャット機能が導入されてしばらくした頃でしたね、あれは」
C「もうずいぶん前になるよねー。僕がマレーシア行く前だから、・・6年にはなるよね」
A「懐かしいよねぇ。まさかあの時は、将来こんな形で、インターネットラジオで、お悩み相談する仲になるとは思いもしなかったよ」
B「わたしもです。オフ会で実際に顔合わせした時には、正直、ここまで長いお付き合いになるとは」
C「人生って、わかんないサプライズばっかだし。・・っていうか僕、あのオフ会のこと、あんま覚えてない気がする・・」
B「C君、ほとんどしゃべんなかったんだよ。静かにじーっと、皆のこと見てるだけで」
A「お、Bちゃん、けっこう覚えてるんだね。・・かく言う俺も、あんま細かいことまでは」
B「Aさんはほとんど、今と一緒でしたね。なんか、ずっときれいに仕切ってくださってたっていうか。わたしにもなにかと、気を使って話しかけてくれて」
A「うーん、そうだったっけ・・いかん、かなりぼやけてるわ」
B「それで、いい加減夜も更けて寒くなってきて、そろそろお開きに、って時にようやく、Dさんが合流したんですよ。・・あれ?これはお花見のときですよね・・。オフ会の時は・・Dさんって、居ましたっけ? 居ませんでしたよね?」
A「いや、あの時はまだ、Dさん自体、ゲームも始めてなかった。あのオフ会直後で、ゲームしてた時に、Dさんが現れたんですよ」
C「・・思い出した。そうだ、俺が変なのに絡まれてて、その時Dさんが、突然そいつをやっつけてくれたんだった」
B「そうでしたね!はい、ゲームご存じない方のために、少し補足いたしますと、ゲームに興じていた我々、パーティって呼ばれる、いわゆる団体戦組んでたんですよね。で、そこのところに、新たな参加希望者が来た、と。あの時」
A「そうそう。でも、すでにC君と同じ職業の子だったし、特に他のメンバー要請かけてた頃でもなかったから、『申し訳ないです』したら、突然切れてきたわけだ、彼が」
B「あの様子はいただけなかったですねぇ・・あんなふうに『俺のほうがすごい』って言う人も、実際いるんですね・・。
まぁ、その彼を正論でとはいえ、罵倒して追い払ったDさんは、・・もっとすごかったですけど・・」
C「そうだよ、僕、助けてもらったのにDさんの方が怖くなって。ろくにお礼も言えてなかったわ、あの時。思い出した。・・あの、この場を借りてあらためて。Dさん、ほんとに助けてくれて助かりました」
B「あ・・まぁ、感謝の気持ちは、伝わりますよねそれでも。
そう!それであの時私、Dさんのこと、日本人とは思ってなかったんですよ。普段、ひとが思ってても言えない事をずばずば言うし、ほら、あの頃Dさん、まだタイピングに慣れてなかったじゃないですか。それもあって、「もしかして、アメリカ人とか?」って考えてたんですよね」
A「・・ああ・・ま、いつものDさん節ではあったよね、当時から。
・・彼女ってほら、絶対電車で自分は痴漢されないけど、されてる被害者の子とか見かけたら、容赦ないらしいからね。いや、一応ちゃんと助けてるらしいけど」
C「・・犯人はきっと・・いえ、あの、なんでもないです」
B「すごく勇気ある素晴らしい行動じゃないですか!そんなこと、なかなか出来ないんですよ?」
A「まったくだ。人間なら」
C「Aさんはすぐそうやって、Dさんをディするんですから。実際、Dさんに守られてる女性って、けっこうな数いるんですよ?」
A「その分我々にしわ寄せが。見てよこのメールの数。これ全部、Dさんへのよ。『この(ッターン!)が』系だけで、すでに50件を超えてるんだよ?1週間でだよ?こんな、なんの告知も出来てない零細番組なのに」
C「なんたる集客力。僕ら最初、『反応ゼロだったりして』とか、そっちを悩んでたのに。・・こんなことDさんにばれたら、ますます調子に乗るんじゃないですかねぇ」
A「恐ろしいことを!・・あああ・・・(頭をかきむしる)」
B「Aさん、落ち着いて。はい、Aさんのグラスですよ」
A「・・ありがと・・待って胃薬どこ・・」
C「ほんと、日本の中間管理職って、苦労が絶えないよねぇ・・会社勤めはこれだからさ」
B「・・ああ、(パリーン)さんを育ててらっしゃる部長ってこんな気分・・あ、すみませんC君、あとでここ、削っておいてください!うっかり固有名詞を・・あたし!」
C「わかりましたよ。・・さて、馴れ初めとかは、だいたいこれで説明し終えたと思うんだけど、どう?まだ足りない?」
A「もうすでにお腹いっぱいでしょ、皆様。じゃ。次の質問に移りましょうか。ここからは、個別にもらった質問に、お答えしていく、というかたちでね。
最初は、C君から。君、けっこうな数の質問をいただいてるんだよね」
B「ですよね、Dさんの存在さえなければ、天下取れてますよ」
C「それって・・喜んでいいのかなぁ?複雑な・・」
A「喜んどけ、つかの間なんだから。この平和も。
・・さて、えっと、『マレーシアで起業されたっていうお話ですけど、まだお若いですよね?すごいです!どうでした?詳しく』・・と、ラジオネーム六月病があったっていいじゃない様、さとり世代様、よーじ屋様他、多数のお方からです、ありがとうございます。重なる質問だったので、まとめさせていただきました」
C「えーっと、まずはこんな僕に興味を持ってくれて、ありがとうございます。僕、敗者には世間の風はもっと冷たいだろうなって思ってたんで、ほんと、意外なくらいに優しくて、皆さん、僕もう少し生きていけそうです」
B「C、C君、もう少し軽めでもいいかもしれないと思う。ほら、視聴者の皆様、C君をご存じないから、余計に心配かけちゃうかも・・。あの、起業のこととか」
C「あ、そうでしたね。僕、じつは日本の高校、中退しておりまして、就職先もなかったんです。ちょっと、なんて言うのかなぁ・・たぶん、日本の企業では僕、やってけないかもって思うことが、多々あって。僕の家族も同じ意見だったんで」
A「C君のお姉さま、むしろ応援されてたもんね、海外起業」
C「あー・・姉の場合は、単純にからかってたっていうか、面白がってただけだと思うけど・・。
ま、そんなこんなで、一時期こもってネットにはまってたりして。そこで、とある方と出会ったんです。シンガポール在住邦人のかたでして。んで、いろいろお話聞いて、こちらのことも話していくうちに、『君じゃ日本は生きにくかろう』と、ばっさりと」
A「はっきりと。・・ま、でもそれこそ、年長者の愛かもね」
C「ほんとそう思います。実際、彼と出会えたことで、僕の人生全てが変わったんです。
結局、僕が立ち上げた事業は、あ、ITの、アプリを作る関係の会社だったんですけど、資金回収の難しさから、撤退を余儀なくされましたが。それでもこれは、とてもいい経験になりました。本当に、周りの方がこんなに支えてくれてるんだってことが、気づけて。借金ってかたちで残りましたけど、後悔してません。・・って言ったら、カッコつけすぎかな。強がってる俺?」
B「そんなことは。
で、結局、そのシンガポール在住邦人のお方に会いに行って、そこから大きく変わった感じ?」
C「そう。僕やっぱり、自分の興味あることにしか集中できない感ある。それは、その方にも指摘されて。シンガポールより、ハードル低めのマレーシアで、始めようって決めた時も、僕、不思議と怖さはなかったんですよね。日本の企業に就職を、となれば、もっと怖い思いしたと思うけど」
B「・・反対なんだ。普通なら、海外で起業の方が怖いと思うんだけど。んー、そこがC君らしいというか」
C「まぁ僕、言っても中卒だし。
日本社会って、とかく融通利かないし、そういうとこも緻密ですごいなぁと思うけど、結局それって、なんのためなのって考えちゃうと、責任逃れのためじゃんって。僕、そう思えて仕方なくて。そんなとこじゃ本気になれない」
A「痛いところをつかれたね。まさしく日本企業の病理だと思うよ、そこは。
今は、その時培った技術で、お仕事してるんだよね?」
C「仕事ってほどでも。まぁ、そんな大きな責任のところではないので。ただ、今はまず借金完済に向けて、なんでもがんばってるとこです。ガソリンスタンドのバイトもやってるし」
B「ガソ・・!C君が・・そう・・すごいね!」
C「・・って、僕を知ってる人からは驚かれるくらいに、僕、前はほんとひどかったから。完全ヒキってたし。『興味無し』の一言で、なんでも切ってたし」
A「いい変化じゃないの。若いうちに、いろんな失敗することは大切よ。それらは全て、大人になってから成功へと変えることが出来るんだよ」
B「Aさん・・なんか今、とても眩しいです。先輩の知恵っていえばいいのか」
A「もっと見上げてもいいんだよ?
えっと、さて、出来ることならC君については、もっと掘り下げて聞いてみたいところでもあるのですが、進行の都合上、このあたりで一度、区切らせていただきたいと思います。
で、お次はBちゃんね」
B「はい、緊張するけど、なんでもどうぞお聞きください」
A「ま、肩の力は抜いて。
『とってもきれいな、柔らかい声ですね。癒されます』ラジオネームベルセウス様、くろっこん様、えーっと・・この方はなんてお呼びすれば・・そ、そらぁ・・様?」
B「ソレイユ様ですね、皆様、ありがとうございます。こんな声を褒めていただけるなんて、思ってませんでした・・あの、嬉しいです!」
A「はい、あとですね、わさび様からこんなお声をいただいております、『一度でいいから、マイクに向かって『今日もがんばったね、わさび。お疲れさま』って言ってください。お願いします!』・・と、わさび様、ありがとうございます」
B「あ、ありがとうございますわさび様。これ、今からわたしが言うって、それでいいんですかね?・・はい、えーと、では。
『今日も、がんばったね、わさび。お疲れさま』・・いいですか?」
A「いいと思います、わさび様もきっと、ご満足いただけるかと」
B「こ、これでですか?なら、いいんですが・・」
C「あとですね、『Bさんに是非、タイトルコールをお願いしたい』と、Bさん大好きっ子様、ありがとうございます。なんか、Bちゃんには質問というよりは、リクエスト系が多いかな」
B「ありがとうございます。・・光栄です、まさかそんなお願いをいただけるなんて、思ってなくて。嬉しいです」
C「そう?会社でも電話窓口じゃん、Bちゃん」
B「それは新人だから。・・ですよ。そうですよね。どこの会社でも、そういうもの。・・でしょう?」
A「んー、他の会社の事はよくわからんけど、どこの会社でもとは言えないと思うよ。
Bちゃんののんびりした声を表に出して、会社のイメージを良くしたいのかもしれないし、クレームの勢いを削ぎたい意図もあるかもしれないし」
B「あの、わたし、会社ではちゃんとしっかり話しております。滑舌悪そうに思われがちですけど、自覚があるからこそ、その分ですね」
C「はいはい、いいよBちゃん、そんなに慌てなくても。むしろそういうところが、Bちゃんの良さだと思うし。
今度さ、自分が窓口担当になった理由、うえの人とかに聞いてみたら?」
B「・・・・理由、を?今まで特に理由なんてないと、それこそ新人だからだと思ってましたが・・。わかりました、聞いてみることにします」
A「うん、自分の長所を知ることは大事。特に、他人でないとわからないもんだしね」
C「そう。『自分がなんなのか』これを、しっかりと抑えとくこと。これ、働いていく上ですごく重要だから」
B「わかりました。
・・今日は、おふたりが妙にいきいきして見えますね・・あれでしょうか、Dさんが居ない分、のびのびt」
A「さ、次はワタクシへのご質問に移ろうかな。
えっと、まずは矢じ・・っと、ラジオネームかなぶん様から『Aさんって、お声はお若く聞こえるんですが、実際いかがなんでしょう。お話聞いてますと、会社をはじめ、ご苦労されてるようにみえますし。中間管理職でため息ついてるお背中が、思い浮かびます』はい、かなぶん様ありがとうございます。
まーさーに、おっしゃっていただいたそのままの、くたびれサラリーマンでございます、39歳ですが何か。生きてますよ、これでも生きていけてるんですよええ。ついでに言わせていただければ独身ですけど、なにか問題でーもー?」
B「あ、あのAさん、十分だと思いますよ、きっとかなぶん様も今の回答でご満足なさってるはずですから、お茶を、さぁ」
C「・・一部、放送内で暴走しかけていた点があったことを、お詫びしておきます・・」
B「あ、C君、そういう社会性も培われてる!すごい!成長!海外すごい!」
C「複雑な褒められ方だなぁ、なんか。これくらいね、ま、常識?」
A「・・大変失礼いたしました、かなぶん様。少し・・嫌な夢を見ることが、ここしばらく続いてましてね・・ちょっとその・・」
C「まぁ、そういう時もありますよね。
親とか親戚とか、そういうのもあるわけですし。男が人生に疲れる時だって・・あ、そーいやAさん、先週帰省してましたよね。お土産ありがとうございました。美味しかったですよあぶりがっこ」
B「や、やめてC君、もう十分だよ。Aさんが胸押さえて苦しんでるじゃないの」
C「あ、すみません。・・追い詰める気は無かったんですが。
僕ただ、お礼言い忘れてたのを思い出して。Dさんへの前科もあるし、忘れないうちに言っておかなきゃだし」
B「C君、Aさんに何かよからぬことを思い出させたみたいだよ・・。
そうやってためらいなくヒトを崖っぷちに追い込む癖は、変わらないんだね・・」
A「・・もっかいマレーシア行って来い。・・・・あぁ、息が出来るようになってきた・・(ため息)」
B「あの、次のご質問に移りませんか。ね?・・わたし、どれか選んでいいですか」
A「そうだね。この流れはよろしくない」
B「えっと、ではですね、Aさんには・・と、ラジオネーム沖ノ鳥島様から『Aさんって、九州ご出身ですか?なんか、発音がそんな感じがして。自分が九州出だから、ふと気になったのですがどちらですか』、沖ノ鳥島様、ありがとうございます」
A「ありがとうございます、沖ノ鳥島様。
はい、おっしゃるとおり。自分九州の、博多近辺出身でございます。どうも発音とかに、そういうのが出るらしく、同郷の方とかにはわりとよく聞かれることがあります」
B「博多いいとこですよねぇ、住むのにも最高とか聞きます。美味しいものいっぱいだし。あ、わたしにもお土産ありがとうございました!
C君は?どこ出身?」
C「チバラギです。てことに」
B「はい。じゃ、そゆことで。
わたしはずっと、東京の外れなんですが、べつに皆さんの出身が、そのパーソナリティになにがしかの影響が、見られるわけでは、と思うんですよね。我々に限っていえば」
A「地域性より独自性の方が、我々はキョーレツなんですよ実際」
C「納得!
・・僕そういえば、Dさんの出身て聞いたことない気がする。忘れてるだけかなぁ。知ってる?」
B「神戸って聞きましたよ、まえに」
A「例のほら、なんとか組の直系の縁者だよ。神戸の近くのさ」
B:C「・・ほんとに!?」
A「嘘だよ」
B:C「・・嘘なの!?」
A「ほんとなわけないでしょ。ちょっとノリで言ってみただけ。
まぁでも、彼女の場合、信じてしまうなにかがあるからね。私もあまり、軽はずみな言説は慎もう。・・嘘から出た真、とか、怖いからなぁ」
C「洒落になりませんからね、Aさん。ほんと消されますよ、文字通り。Dさんとそのなんとか組の両者から」
B「視聴者の皆様、これはあくまでAさん個人の意見であり、我々の総意ではないことを、あらかじめ申し伝えさせていただきます。なお今回、この皆様の中には、Dさんも含まれております」
A「・・・・なにBちゃん今の?俺を見捨てるのっ?二回目っ!」
B「見捨てるんじゃないんです、見殺すんですAさん」
C「うーん、その声で言われるとこれ、かなり辛いね。もう救いがない感あふれてて」
A「C君、なにのんきに腕組んで!他人事ってかおして!」
B「Aさん、こればかりはもう仕方ないですよ。自業自得です。わたしから、その時はDさんに、『長引かせるのではなく、ひと思いに』って、温情にすがっておきますから」
A「BBBBBちゃん!処刑前提ではなし進めてるし!・・っぁあ・・ぅう・・」
B「・・どうしたんですか胸押さえ・・Aさんっ!?」
C「あー、これはアレだね。スパイが身バレの際に、自害するパティーンだね、奥歯に仕込んだ青酸カリで、とか。ほら、ずいぶん昔にあったでしょ。あの航空機テロ未遂事件で、どこの国だったっけ」
B「C君っ国名なんていいから!・・Aさんっ息してください!!」
※ 間奏
B「さて、『At the edge of 崖っぷち』、第2回目はいかがだったでしょうか。
今回は突発的な事情により、締めの方はわたくしとC君で進めさせていただきます」
C「途中、お聞き苦しい箇所をはさんでしまった点を、お詫びしておきます。申し訳ありませんでした。以後、再発防止に努めますことをお約束いたします。
・・これでいい?頑張って噛まずに言えたよ?」
B「それさえ言わなければ、ね・・。
来週にはきっと、また例の4人でお送りできることと思いますので、皆様には引き続き、ご意見やご感想など、なんでもお寄せくださいね。お待ちしております」
C「出来るといいなぁ、一人も欠けることなく」
B「だからね、C君の不用意な発言とかがね」
C「ちょっと待ってよ、さっきのはそもそも、Bさんが引き金引いたのに、僕なの?」
B「あの、あれはただAさんの心労がたたったわけで・・!」
C「Bさん、落ち着いて?これ以上皆さんに動揺を広げるのはよくないよ。
今の僕たちのするべきことは、美しく締める、これでしょ?」
B「・・そうでしたね・・思い出しました、我々の使命。
見ててくださいねAさんDさん、私達だけでも大丈夫っていうところを、あ、聞いててください、ですよね」
C「そこはまぁ、わりとどうでも。・・っていうか、ふたりがお星様になったみたいな扱いに・・」
B「さて、それではですね。皆様の熱いお声をいただきまして、我々もこうして、『At the edge of 崖っぷち』を続けることが出来ております。今回も、最後までお付き合いいただいて本当にありがとうございました。・・さぁ」
C「また来週、皆さんにお会いできることを、楽しみにしております。それでは」
B:C「ごきげんよーう!」
B:C「・・・・・・・・・・・・・」
B「・・おっけ?・・よね?」
C:「うん、たぶん。俺たちにしちゃ上出来だよ。
ねぇ、Aさんどうする?もう少し寝かせといた方が?」
B「そうだね、様子診てくる。
あ、C君、Aさんのタバコ、捨てといて。これを機に、禁煙してもらおうよ」
C「あ、うん・・。えー・・わかるけどさ、いいのかな。そのー・・一応本人の了承を取ってからの方が、うまくいくんじゃない?」
B「じゃぁ隠しといて」
C「・・うん・・わかった・・」
※ 扉が開いて、閉まる音。遠ざかる足音。