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At the edge of 崖っぷち   作者: おんきょう
放送 初回
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放送 初回

A「さて、今日から始まりますこの『At the edge of 崖っぷち』、我々3人、時々4人で構成しますユニットで、視聴者の皆様から寄せられるお悩みに、全力でお答えしようというこのコーナー。売れっ子ネットラジオ番組の『夜はこれから』様、皆様に惜しまれながらも終わってしまいましたねぇ、私もファンでした!で、我々はその後を勝手に引き継ぎ、そしてその流れをちょーっと頂いちゃおうというネットラジオ番組です。動機は激しく不純ですが、姿勢だけはいつも真摯、そして紳士です!」

D「ね、長いわ導入。とっととまわして?」

A「あ、はい、のっけから思わぬ横槍で端折らされております、私、司会兼まとめ役のAと申します。都内某所の企業に、裏方として勤めます39歳です、よろしくお願いします。ではですね、マイク回していきますので、まずは自己紹介を軽くどうぞ。はい」

B「えっと、はじめまして皆様。Bと申します。わたしは、某企業の窓口として、この春から働かせていただいております。正直わたしが、皆様のどんなお役に立てるか不安なんですけど、精一杯頑張りたいと思います。よろしくお願いいたします。・・はい」

C「では次、僕ね。えーっと、最近海外から帰ってきたばっかのCです。皆さんのお役に立ちたいので、ここでも真剣にがんばります!よろしくです、はい」

A「待って、もう少し。せめて今何してるのかとか、歳だとか」

C「あ、すみません。言ってなかったですね。今は、無職ですね。誰か養ってください。あと、23になったばかりです、先月。これでいい?」

D「いいわよ。このままだとあなたのお悩み聴くのが初日任務になりそうだから、一度そこでマイク渡して」

A「あ、はい。ではDさんですね、最後を飾っていただきます」

D「Dよ。住まいは地球、歳はデーモン閣下の先輩。職業はひとを愛すること。よろしくね」

A「・・えっと、マイクが戻ってきましたね、はい。Dさんの自己紹介・・は、終わった、ということで?・・はい・・。

さて、ではですね、こういった、じつにばらばらなメンバーな我々なのですが、むしろそれが、幅の広さであり売りでもある、と。昨今はやりの多様性ってやつですね。

しかも!こう見えても一応、今までなにかと何でも屋的な立ち位置で、地域の皆様のお役に立てた実績もあり」

C「あ、そうなんだ、初めて聞いた今!」

B「あの、C君」

A「あー、これはですね、C君はちょっと海外暮らしが長く、今は軽ーい浦島状態にありますので、現状把握につとめていただけると嬉しいな、というところですね。・・あの、Dさん今本番中ですけど、どこにお電話かけるおつもりで?」

D「ジャロにね」

A:B「待って!」

A「せ、説明させてください。あと、視聴者の方の不安を煽るような真似は。あのですね、ほんとに我々、こう見えてけっこういろんな場で、少なからぬ実績があるわけです」

B「それは本当なんです、はい」

D「どこで。たとえば」

A「どこって、Dさんも居たじゃないですか一緒に。あの郊外の老人ホームに招かれた時、歌のボランティア活動だったのが、いつのまにかBさんのお悩み拝聴コーナーになったこと。あと、近所の児童館でも、子供たちの見守り保育のはずが、いつの間にか、C君がシンママさん方御用達慰安所になってることも」

D「あら、あれを実績にカウントしてたの。そういうことだったのね。しかも最後の、C君の。いいの?なにかと物議を醸すおそれは無くて?」

A「煽らないでください、Dさんがそんなふうにいらぬ波風を立てるから、話がこじれるだけなんです!」

C「そうですよ、いたって健全なんです僕。ナンパみたいに見られるのは、さすがに心外ですよ」

D「そう、ごめんなさいね、ならいいの。ナンパのおそれを指摘したんじゃなくて、ハレムではと注意喚起したかっただけなんだけど。一応わたしはね、あくまでも視聴者の皆様の懸念を、あらかじめ払拭しておこうと」

A「はい、濃やかなお心遣いにとーっても感謝です。

さて、と、いうわけで、なんのかんのとやってきた我々、地道な活動をいよいよ表舞台に移すことになりまして、ここに今日、日の目を見るわけですよ『At the edge of 崖っぷち』 どうぞ、視聴者の皆様、どんな小さなお悩みでもけっこうです、我々にぶつけてみてください」

B「真剣に、それだけははっきり言えます。あなたに向き合います」

C「いいね今の。なんかこう、受け止めてもらえるんだ、っていうのが伝わって」

A「C君きみね、君も回答者側だから。きちんと、ね。君こそ向き合うんだよ?」

C「あ、そだったね。はい、大丈夫です!」

D「ね、巻いていかない?そろそろ視聴者の皆様、『で?』って首をかしげておいでの頃よ」

A「あ、はい、そうですね。本日ご指摘、もう3回目ですかね、ありがとうございます!・・ではですね、早速こちらにいただいているお悩みから、参りたいと思います」

D「ねぇ、お悩み相談に入る前にね?いつも疑問だったんだけど、どうしてこういうラジオ番組って、初回に視聴者のお声が届いてるわけ?それっておかしくない?これ、なんらかのヤラセなんじゃないかと」

A「DDDDさんなんてこと!滅相も無いことを言わないでください、これはですね、れっきとした視聴者の方からの声をいただいてるんです、つまり、私の部下であるところのいちリスナーが『そういうことなら、是非』と、送ってくれたメールなんですよヤラセだなんて!」

D「んー、まぁ、身内からっていうのも十分気になるけど、そういうことなら、クロと断ずるわけにもいかないのかもね。続けて」

A「は、はい。・・お許しが出たところで。ではさっそく。

えーっと、都内某企業にお勤めのリスナーさんからいただきました、記念すべき初回のお悩みメールですね『こんにちは、『At the edge of 崖っぷち』の皆様」

B:C:D「こんにちはー」

A「『皆様が、なんでもお悩みを聞いてくれるとうかがいましたので、ちょっと回りの友達には言えないことを、この際聞いてみたいと思います』」

C「どぞー、なんでも来い!」

A「『じつは今、わたし、二人の男性に言い寄られてるんです。それがかなり極端なおふたりなんです。ひとりは、高収入でイケメン、でもたぶん、ちょーっと、ていうか、だいぶ遊んでそう。もうひとりのほうは、低収入で身長も同じくなんですけど、でも誠実な方。わたし、付き合うとしたらどちらが幸せになれるんでしょう』・・」

C「初手から飛ばすね、Aさん」

A「・・俺が飛ばしてるわけじゃ。あ、えーっと、ですね。・・えっと、ラジオネーム恋したいウサギちゃんさん、・・・・ありがとうございます・・」

D「ね、しゃべった方がいいわよ何か。さっきから、居るのか居ないのか、存在感が全然。もしかしたら視聴者の方、Bちゃんの捜索願出してる頃かも」

B「あ、あえっと、すみません!あの、黙ってたわけじゃなくてごめんなさい、あの、どうするのがいいかなって考えておりまして」

D「そうそう、そのくらいから始めて。徐々にでいいから、ね」

A「そこ、保育園ですか。恋したいウサギちゃんさんのお悩みに答えてくださいよ」

C「うん、まず女性の意見を聞くべきでしょうこれ」

B「まるっと投げるんですね、AさんにC君まで。ご自分の手に負えないからって・・」

A「社内での立ち位置は常に微妙なものでね(咳払い)。・・いきなりこんなヘヴィなのとは。

えー、さて、ではですね、人生酸いも甘いも噛み分けたDさんにお聞きしてみましょうか。Dさん、この場合いかがしましょうか」

D「そうよね、その丸投げ能力の高さが出世のコツ。いい線いってるAさん。

で、この場合はね、べつに悩む必要ないじゃない、両方と付き合えば」

A「と、いうことだそうです恋・・えっ!?」

B「・・D、さん・・?」

C「・・相変わらず、っていうか、Dさんらしいっていうか? っていうか、なんていうか? いいんですかねそんなにぶっちゃけて・・」

D「悩むっていうことは、リスクを取りたくないんでしょ。どちらかに決めて、もしもう一方のほうが、じつは良かった、となるのが怖いんでしょう、本音では」

B「・・本音過ぎますね。これ、放送してもいいんですか・・」

A「・・仕方ありません、いろいろやばい気もしますが、改めてスタジオ押さえる時間も。・・続けてくださいDさん!」

B「官僚的な・・あまりに、官僚的な」

D「あらBちゃん文学的。いいわよその調子。

でね、そんなにリスクが怖いなら、そして決められないなら、いっそ二人と付き合えばいいじゃない、っていう話なの。そうしたら、悩む必要もなくなるでしょ。ね、みんなもそう思わない?」

A「堂々と同意を求めないでいただきたいです、Dさん。・・まさかこんな解決法を提示されることになるとは・・。

えーっとですね、視聴者の皆様。まずこれは、Dさん個人のご意見ということはもちろん大前提なのですが。・・なのですが」

B「少なくとも、倫理的に・・問題がある気がしますDさん。それって、二股推奨に聞こえますよ」

D「そうよ。問題でも?」

A:B「・・ええぇえ!?」

C「問題しかないでしょDさん!それまずいですよ」

D「小癪なクチを聞くのね? じゃぁ聞くわよ、もしこれが男性だった場合、悩む?『どちらか一方にしなきゃいけないのに、どうしよう・・』なんて、付き合う前から態度を鮮明にして、誠実に対応するのね?」

C「当然。僕は女の子泣かせるようなことはしませんよ」

A「同じくです、二股なんて。ありえません!」

D「頼もしいご意見をありがとう。

・・だとすると、お二人はとても誉れ高い少数派ということになるわね。いい?2010年国勢意識調査によると、20代男性百人に「もし二股する機会があれば、あなたはどうしますか?」というアンケートに、68%の男性が「喜んで」と回答しているわ。・・ちょっと古い資料かしら」

B「そんなに!?・・嘘・・」

A「いや、鮮度は大丈夫だと思います。で、Bさんそれわたしのグラスですよ、ちょっと落ち着いて?

・・っていうかそれ本当ですか。その調査、居酒屋でもあるまいに、「喜んで」って解答欄があったんですねDさん?」

D「ま、今の「喜んで」っていうのは「はい」って項目に該当するんだけどね、わたしの意訳よ、気にしないで。肝心なのは、その「はい」の回答率の高さでしょ。つまり過半数の男性は、隙あらば、といつも願望を抱えていて、かたや女には貞淑でいろと、こう押しつけてる。ねぇ、これってどう思う?」

A「ぼ、僕に振るんですか。・・いえ、そもそもですね、僕はいつだって誠実ですし、その二股願望派でもないですし。ええ。ましてやそんな、女性に厳しく自分にゃ緩い保守派でもありませんよ」

C「あのDさん、それって日本の調査ですか?さっき、意訳って言いましたよね?」

A「お、C君いいとこに気づいたね!」

B「Aさん・・急に顔色良くなりましたね・・」

C「いや僕もね、こういうとこ、統計で見えてない部分に常に目を配らないと、現場じゃ足元すくわれるって学んだんですよ、マレーシアで。もうちょっと早く気づいてればなぁ・・」

A「ああ、そういうのはやっぱ、場数踏まないとわからないよ、いくら勉強したって。実地で学ぶものさ、C君はよく頑張ったほうだよ」

B「あの、ハーバードな会話は後にしてください。どこぞのビジネス塾じゃないはずですよ、このコーナー」

A「おっと失敬、そうでした。・・で、ですねDさん、どうなんです、その調査はわが国のものなんですか、それとも海外の?」

D「そうね、それを言うのであれば、海外ね。たしかに日本ではないわ」

A:C「ほら!!」

D「鬼の首でも捕ったように。それは大きな問題なの?同じ男じゃないの」

A「違いますよDさん、国が違えばまったく違います。なにせ、文化や歴史、民族がまるっと違うんですから。資料には値しません」

C「そうですよ、引用するならば、どこまでもケースに即したサンプルでなければ、正確性を欠きます」

B「なんか・・男性二人が急に、いやに強気に・・っていうかAさん、人差し指を振って見せても、視聴者の皆様には届きませんよ、ラジオなんだし」

D「まったく、仕方がないわね・・諸君、よくお聞き。わたしはね、今わざと、遠目の資料をだしてきたの。正確なものでないのは、わたしが一番よくわかってるわよ。こうしておけば、あなた方に真実を突きつけなくて済むでしょう?」

A:B:C「・・あの・・どういう・・?」

A「・・Dさん、屁理屈にすらなってませんよ?」

D「だからね、もしもここで、日本人男性の場合は79%でした、なんて調査結果が出てきて御覧なさいな。あなた方はその上で戦わなきゃいけないのよ、それでもいいの?

 わたしはね、わざと空白の余地を残しておいたのよ。「もしかしたら、日本人男性は36%かもしれない」という精神的安寧の余地をね。今夜ゆっくり眠りたいでしょう、あなた方?」

C「・・聞いてると、なんかそうかもって気もしますが、それって強弁でしょ」

A「詭弁とも言いますよ、Dさん。そんなんじゃわたしたちを納得させることは出来ませんね」

B「どうしよう・・収集以前に、わたしの思考がまとまらない・・」

D「(小声)Bちゃん、こういう時こそ冷静に、ね。オトコの本音をうかがう、いい機会なんだから」

B「あの、でもこれって、恋したいウサギさんちゃんのお悩みに答えるべき時間ですよね本来?」

D「そう、だから落ち着いてBちゃん、恋したいウサギちゃんさん、だからね。

で、ここからは視聴者の皆様、もとい女性リスナーの方に是非、強く訴えたいところなんだけど。自分の悩みを相談する、という体で、オトコの反応を見て、その人がどういうヒトトナリなのか、見極めることができるのよ。

 二股案が却下されたところで、わたしは次策として、この案を提案させていただくことにする」

A「・・ほほーぅ?聞こうじゃありませんか」

C「詳しく」

D「お二方、丸裸にされるお覚悟はよろしくて?

まずね、この恋するウサギちゃんさん、かなり率直な、ある意味オンナの本音で体当たりしてきてくださったわね。この度胸、いえ、心意気といえばいいのかしら、頭が下がるわ」

A「ここまで捨て身とは思いませんでしたがねぇ(吐息)」

B「もう、眩しいくらいです。清清しいっていうか・・」

D「まったくよ。昨今の女の子の逞しさね。

・・で、これに対して、答える男性は、おそらくその反応は、大きく3つに分かれると思う。1つは、いたって常識的な反応『それっていかがなものでしょう』派。2つ目は、それをあえて受け入れてみせる反応『自分けっこう話せる奴なのよ』派。・・ちょっと皆さん、大丈夫?付いてきてる?」

B「もちろんです!」

C「・・続けてください」

D「OK、でね。3つ目がいわゆるミソジニー的な『なんだよこの(ッターン!)・・』派。いいこと、ここ、あえて伏字にしたから、あとでなんらかの音当てておいてねC君。君、こういうの得意でしょ?」

C「あの、ピーとかいう音?放送禁止用語にかぶせる用のですよね」

D「わたしとしては、銃声音の方が好みなんだけど、任せるわ。でね、・・どこまで話したっけ?」

B「男性の反応が3種類に分かれるところから、本音を読み取ろうというくだりです」

D「Bちゃん素晴らしいわ、・・あなたメモ執ってるのね。えっと、それでね、これ、じつはたいていの男性が引いておかしくないレベルの質問なのよね、日本社会の中で育ってきた男性ならば。

だから、この1つ目の反応を見せた男性は、いたって平均的な日本人男性、と、見ることができるわ。その他のことに対しても、彼の反応・思想は予想しやすいでしょう」

B「・・・・で?どうすれば?」

C「まだ・・僕には話が見えませんが」

D「ええ、もう少し続けさせて?

でね、この1つ目の反応の男性は、ともかくとして。女性が本当に気をつけるべきは、2つ目の反応ね『自分けっこう話せる奴なのよ』派。ここにご注意よ。『あら、彼って意外に話せるオトコ』って浮かれてる場合じゃない、ということなの」

A「なんで僕を指差すんで・・はい、わかりました。僕もその手の輩に引っかからぬように気をつけまふ」

D「Aさんも落ち込んでる時は、この手に弱いからね。

さて、この輩達は一見、とても物腰優しく、女性の言うことをなんでも受け入れてくれる、たいした度量のオトコであることが多い。・・でもじつは、『オンナの言うことは否定したってムダ』『うんうん言っときゃいいんだよ』的思想で行動してるだけの奴だった、と。つまり、女の言うことを真剣に聞きもせず、自分の欲望しか考えてない最低野郎である場合も多いのよ。

それから、最後の三番目の反応を見せる輩については、詳細は割愛していいわよね、時間の無駄だし」

C「・・男性リスナー、居なくなったんじゃないですかね?もうゼロとか」

D「あら、ご心配なさらずに。本当にヤバいのは、自覚無く今も『まったく、そういうひどい奴ってほんとにいるんだよなー』と、他人事気分で頷いて、聞き続けてるものよ」

A「・・・・・・今度こそ、本当に完膚なきまでに、男性視聴者全員を敵にまわした感がひしひしと。ああ・・(ため息)」

B「あの、Aさん、どうしましょう・・続けていいんですか?」

D「問題ないわよBちゃん、わたしたちは。それにね、おねえさん風呂敷の畳みかただって知ってるわ。

さて、この恋したいウサギちゃんさん。二股はよくないものよね、倫理的にも。けれども悩ましい。で、あるならばいっそ、この悩みをそのまま、当人たちにぶつけてみるといいんじゃないかしら」

C「・・え、当人たちに聞くんですか。わたしどうしたらいいんでしょう、あなたの他にも言い寄られてるヒトがいて、って、相談しろ、と?」

D「いえ、そこまで脱ぐ必要は無いと思う。たとえば、『一般論として、こういう場合、この女性はどちらを選ぶべきなんでしょう』って、かなり距離を設けて聞いみてもいい。・・ただまぁ、それなりに勘のいい男なら、気づくと思うけど。

重要なのは、その時の反応と答え方ね。思わぬ厄介ごとに出くわしたときの反応。これを見ずして殿方とお付き合いするのは、おねえさん、どうかと思うのよ。少なくとも、度胸の据わり方がみえるわよね。

そして、これによって、かなりの数の軽薄な目的で近づいてくる男を、ふるい落とすことが出来るはずよ。けっこう強気の選別法ではあるけど、ね」

B「・・ははぁ・・なるほど・・」

A「Bさん、目玉落ちるから、それ以上目ぇ開けないで?」

B「そしてね、ここからよーく聞いて欲しいの、むしろこっちが本番よ、恋したいウサギちゃんさん。

いいこと、あなたはたくさんの男性が思いを寄せる、とても可愛い、魅力的な女性なんでしょう。・・だからね、自信を持って。『オトコに幸せにしてもらおう』とぶらさがらなくても、いいわよね?自分を幸せにしてくれるのは、いつだって、覚悟を決めた自分だけなのよ。つき合うオトコ次第で幸・不幸が決まるなんて、つまらなくない?

前者でも後者でも、幸せになれる。あなたの覚悟次第でね」

A「・・・・Dさん・・そう持ってきましたか・・」

B「でも、そうですよね、Dさんの言うとおりですよね?幸せの判断基準が、付き合う男の人次第って、おかしいですよね?・・ね、あれ、わたし今変なこと言いました?」

D「いいえBちゃん、まったくそのとおりよ。

これで恋したいウサギちゃんさんが、あえてどこまでも打算的に、欲得づくで行く、という道を選ぶのであれば、それはもうあなたのご自由に。あらかじめ見極めたうえで、それでも危ない橋を渡るのであれば、もうあっぱれなものでしょうよ。

・・けれどね、覚えておいていただきたいの。この世に生きる方全員に、よ。『あなたがわたしを幸せにしてくれる』という過大な依存は、誰も幸せにならない。ご自分の都合を、相手に押しつけないことよ」

B「・・まぁ、最初はどうなることかと焦りましたが。たしかにその通りではありますよね。

自己責任さえ覚悟していれば、大抵の事はなんとかなりますよ、これ」

A「ビジネス面でさえもね。借キングになってなお『勉強させてもらった』と言える君は、正直すごいと俺でも思うわ」

D「そこよね、まさしく。人生って、実際のところリスクを取って、そして敗れることも多い。その時に、それでもなお誰も恨まずに、顔を上げて笑えるならば。そういう方は、失敗したのではない、真の勝者だと思う。

恋したいウサギちゃんさん、このわたし達の言葉が、あなたの心に届くことを願っているわ」

B「実際にこうして、満身創痍でも、『死ぬわけでも殺されるわけでもないんだからさ』って笑ってる人、いるんですもんねぇ、C君・・」

C「なはは、照れるよ。そこまで褒められるとさぁ」

A「いや、なんとかまとまりましたね。一時はいろいろと、私自身が覚悟させられましたが。

恋したいウサギちゃんさん、いかがでしょうか。あなたの疑問を、少しでも解決に向かう方向性が示せていれれば、幸いです」

B「もしこの、恋したいウサギちゃんさんさえよければ、後日談などもお伺いできたら、もっといいなぁと思うんですよね。あ、あくまでももしよければ、ですので」

C「僕も聞きたいな、興味ある」

A「そうですね、我々としては、一往復の今回限りではなく、つながる関係を目指していければ、最高だと、いつも言ってるとこなんですよね。こうした相談ごとも、その後どうなったのか。責任という観点からも、けっこう後で『あの件、どうなりましたか』ってお聞きしてみたりすることもありますよねぇ」

C「あの時もほら、それでうまく軌道修正できたもんね。あの、どなただったっけ、ほら、家に居つかれたアライグマを駆除した件。最後ご相談者の方まで、ラスカルって呼ぶようになっちゃったけど」

B「ラスカル、正直可愛かった・・あ、いえ、あれはあの方法が最善だったと思いますよわたしも。

 ・・何のお話でしたっけ・・あ、そう。相談のラリー説提唱、ですよね。大事だと思います」

D「そうよね。一発ヤリ目じゃないんだから、そこは信頼していただきたいわ」

A:C「Dっさんっ!!」

A「・・ぁのですねたしかに最初に『ご自由に』とは申しましたが一応社会規範であるとか放送コードであるとかはくれぐれもおろそかになさらぬようにt」

D「はいはい、こうして自重を強要されるのよね。わかってますわ」

B「えーっと、Aさん、そろそろまとめて頂いた方が。いいんじゃないかな、と。なにかと」

A「・・はい・・。

さて、こんな我々『At the edge of 崖っぷち』がお送りいたしましたこのお時間、少しでも、皆様のお役に立てていれば、我々にとって、これ以上の喜びはございません。どうぞ、どのようなお悩みでも、またはご意見でも十分です、どしどしお寄せください」

B「ご感想や、『こんなのはー?』というような企画モノなど、とにかく、どんなご意見でも、謹んで承ります!」

C「Bさん、だいぶ仕事に慣れてきた感あるよね。4月に比べるとさ」

D「あの頃の初々しいひな鳥が、ここまでとは。成長を見守る喜び。・・って、これこそがおねえさんの楽しみなのよね・・」

A「Dさんは後で会場裏の駐車場に来てくださいね、反省会です」

D「やだ、呼び出しだなんて!うっかり間違って入った保険会社の新人以来よ、うふ」

C「・・おぅなんと不幸な保険会社・・(ため息)」

A「反省会です!」

B「(小声)巻いていきましょう、Aさん」

A「・・そうですね(ため息)。

記念すべき初回の放送も、そろそろお開きに。さて、こうした我々の活動は、主に週一で行っております。どうぞ、ご意見ご感想は、最後に現れる画面のURLまで、お寄せください。お待ちしております!」

B「最後までお聞きいただき、ほんとにありがとうございます!」

C「皆さんの今週が、良いものでありますように。結びとさせていただきます」

D「ん、言うわねC君。

視聴者の皆様、これからも宜しくしていただけると嬉しいわ」

A「では、また来週にお会いしましょう!・・番組が潰されてなければ」

D「そこ、弱気にならないで。さ、皆で、はい、」

A:B:C:D「ごきげんよーう!」




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