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プロローグ

 ピッピッピッピッ......ピーーーーーー。



「翔君! 翔君?!」


......微かに、看護師さんの声が僕の耳に届いた。



目の前に広がる光景は、みるみるうちに消えてゆき、僕の目の中心から、真っ黒に塗り替えられていった。


全身の力が、すうっと抜ける。


頭の中が空っぽになって、僕は何も考えられなくなった。



......いや、何もかもをが、ではなかった。



悔いに残ることが一つだけある。


それは、“あの人”のこと。


僕は助けることが出来なかったんだ。最後の最後だったのに、僕は何も出来ず......。





しかし、体は言うことを聞かなかった。




「ご臨終です」


一人の看護士は、言った。重たい表情を顔に浮かべている。



彼のまだ若く綺麗な、なだらかな肌の上に、医師は、静かに白いシーツを被せた。


この時、医師は瞳の奥に溜まり混んだ水が溢れ出すまいと、 眉をピクリ、ピクリと動かしていた。


そうして、見ていられなくなった医師は、ご家族達が足を崩し、この子のベッドの上に頭をコツりと下ろし、長いこと涙する姿の真っ黒い影をただ、見つめる事しか出来なかった。


まだ、若い少年を救えなかった事に苛立ちを覚える度、胸の中はヒリヒリと傷んだ。




もう少し出来たことは............あったかも知れない。





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