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擬人  作者: 松歳 夕御飯
6/6

「運動は得意でない」

お茶の染み込んだ畳の表面をさらっと拭く。

友人がいるのは少しうざったい気もするが、元気をつけてもらえる。

この村の生活で友人という存在が足りていなかったのだなあ、と感じた。

「そういえばなんでこの村にいるんだ?」

「爺ちゃんちに帰省ついでに裏山でキャンプ。

たまたまお前がここにいるって聞いたからこれは予定外だけどな」

なるほど、悪くない偶然だ。

「キャンプといえばな、川の上流に滝あるだろ?

あそこの裏に洞窟があって、そこに忘れもんしちゃったんだよな。」

なんていう他愛のない話をしているところに呼び鈴がなった。

「はいはーい」

そういって友人が出て行く。

勝手に出るな、そう思いながら追った。

「ああ、爺ちゃんどうした急に?」

そんな会話が聞こえてくる。

廊下を曲がって玄関を見ようとしたとき、なにかが飛んできた。

ちょうど...頭のような大きさの...

黒い髪の毛の生えたもの...

しばらく床の上を転がったあと、「それ」は僕のほうを向いた。

苦痛に顔を歪めている。

「に...」

それだけ言って口はその形のまま動かなくなった。


何が起こったのか?

なにを言おうとしたのか?

足音が近づいている。

これは何だ?

あいつの顔に似ている?

足音が近づいている

なぜ僕はしりもちをついている?

体がうまく動かない?

足音が近づいている

何だ?

足音が近づいている

「何か」の影が足にかかった。

その瞬間僕は何かから放たれたように走りだした。


何も考えられなかった。

声も出なかった。

僕は運動が得意でないが、逃げ帰ることだけは得意だったようだ。

みんなが和気あいあいと話している台所まで戻ってきた。

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