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擬人  作者: 松歳 夕御飯
3/6

「それは一体」

擬人村。

もう僕はその一員として受け入れられたようだ。

様々な人に聞いていると、外部の人は知り得ない情報が出てくる。

あそこのお婆さんは一度盗みを働いたとか、近くの洞窟に謎の死体があるとか。

しかしどれも噂に過ぎない。洞窟に行って調べてみても、それらしいものはなかった。

ただ、この洞窟は外がどんなに暑くても体を冷ましてくれるので、よく通っている。

これ以降、噂で聞いた場所にはなるべく行ってみることにしている。

入村してから半年が経った。


擬人村。

平和だったはずのこの町に異変が起きた。

「死体」の噂が増えているのだ。

いろいろな人々が行方不明になっている。そしてその数日後に死体が見つかるらしい。

最近は警察があちこちを見まわっている。

僕としては、パトカーが騒音やまぶしい光をまき散らしながら夜走るのはただただ迷惑だった。

しかし、平穏な生活に慣れてしまっていたのだろうか。

それとも自分には無いと思い込んでいただけだったのだろうか。

この事件に関する好奇心が湧いてきた。


擬人村。

その平穏かと思われた村の平穏でない部分に僕は足を踏み入れた。

具体的には、聞き込みを始めた。

すると皆が口を揃えてこういう。

「山神様の祟りだろう」と。

それ以外には何も知らないといったように皆一様に首を横に振るのである。

生憎、僕は祟りといった呪術的なものは信じていない。

しかし、その祟りとやらを模した愉快犯がいるのかもしれない。

「神社にいけば詳しくわかる」

それを聞いてぼくは僕はこの村で唯一の神社に向かった。


擬人村。

山の中腹にあるその神社からは軽く見渡せるほど面積は小さい。

古ぼけたその神社には若い巫女と年老いた神主がいる。

今日は話すことが大好きな神主はいないようだ。

「この村の山神様とはどんな神様なのでしょうか」

そう巫女に聞くと聞いたことがない単語が返ってきた。

「『擬人』のことですね」

「擬人法ではなく?それは一体」

「人に擬態するんです。本物と全く見分けが付かないくらいそっくりに」

何を言っているのだろうか。

そんな生物がこの世にいるわけがない。

でも、このような現実離れした伝説があるというのも田舎らしくていいかな、

そう思った。

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