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奴の影
光と闇の間はわずかなスペースしかない。
たった一枚の幕の向こうに大きな翼を持つ
化け物が見える。
奴は私の居場所を完全に読んでいる。
幕の向こうは闇。
そしてなにかを訴えるかのように
幕の前に並んだ蝋燭の炎を消してゆく。
しかし光もすぐ側にある。
ただ美しく華やかなだけの異性のクッキーも、
愛情が求めて得る喜びの先も、
単なる罠に利用されているに過ぎないのなら、
私の目の前にそれがあれば、
早く私はここから逃げなくてはならない。
だけれどもすぐに闇は私の側に迫ってくる。
同じことを何度も繰り返していく。
この世に正常な理想の世界があるのか分からないが、
「このままではいけない」
と私をなにかが急き立てる。
一度闇に住まうなら
二度と光を見ることはないだろう。