研究録12
この姫様。
どこの姫様かというと我が国の姫様である。
兄様といっていたのは、巫女様に恋しちゃってるこの国の王子のことだ。
なぜ、私が姫様と知り合いかってことは……。
めんどくさいから割愛ってことで!
いやー、ほんとは聞くも涙語るも涙などシリアス展開が待ってるから言わないだけ。ってことにしておこう。
「リル聞いてよ!兄様ったらいつもあの女の話ばかり!なんなのよ!」
兄様兄様言っている姫様。
確かに仲が良い兄妹なのは知ってるけど、なんでここまで怒ってるんだろう。
と、考えたところですぐに答えがでた。
さっきあの場に誰がいたのか。
護衛騎士に王子に隣国の王子……。
「あー、そういえば姫様、隣国の王子のことが好きだったね。だから怒ってるのー?」
「なっななな!?」
「な、しか言えてないよー」
顔を真っ赤にしながらうろたえている時点で答えは出ているようなもの。
「べっ別にあんな軽薄な男をわたくしが好きになるわけないでしょ!?」
「そんな照れないでよー。みんな知ってることだよー。」
姫様のために隣国の王子はこの国に招かれたようなものなのだから。
このとても意地っ張りな姫様をどうにかしてあげようと、姫様の兄様、つまり王子と宰相であるジャンを含めたお偉いさん方がぐるになって準備された。
巫女様の召喚が行われる前に企んだことなので、まさかその王子が巫女様に恋をするとは思わずみんな姫様に申し訳なく思っているのだと、ジャンに以前聞いた。
新たな展開にわくわくするが、それよりも姫様がかわいそうである。