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30好きにやってます&アッシュとリベラのその後(最終話)


 ミュリアンナとルカはすぐに婚約をして半年後には結婚式を挙げた。

 結婚と同時にボルク・マクファーレン公爵がルカに爵位を譲りルカは正式にマクファーレン公爵となった。

 ミュリアンナはベネット辺境伯での経験を活かし早速マクファーレン公爵領の特産品である石鹸の開発に張り切った。


 今までは石鹸は洗うためだけのものという認識しかなかった。

 新たにハーブオイルやオリーブオイル。動物性油脂も厳選されたものを使い自然な香り、肌に優しい、リラックス効果なども考慮に入れた。

 木灰も何でもいいと言うわけではなくオークやカエデ、樫それぞれの良さを生かした何種類もの石鹸を作った。

 それに色や香り刻んだハーブを加えたりした事でまた違った気分になれる工夫もした。

 形だって花型に星型。ウサギや犬や猫の形の物や包装にも工夫を凝らした。

 そんな石鹸は大いに受けてシガレス国だけでなくロガワロ国や他の国からも注文が殺到した。

 ポプリ代わりに香りを楽しむためとかお風呂嫌いな小さな子供にも喜ばれ、肌に悩みのあった女性からも大好評だった。

 私はルカと一緒にマクファーレン公爵領と王都を言ったり来たりする忙しくも充実した生活をしていた。


 そんなある日。結婚して2年。念願のベイビーが出来た。

 私は妊娠3カ月目だ。

 「ミュリアンナ。また君は‥君はそんなことしなくていいと言ってるだろう?」

 「だって楽しいんだもの」

 「いくら楽しいたってお腹に子供がいるんだ。少しは気を付けてくれよ」

 「お医者様は少しくらいは運動しなさいっておっしゃってたわ」

 「ああ、でもそれはだめだ」

 手桶を持とうとしてルカが慌てて走って来た。

 「本当に君はいつまでたってもお転婆なんだから」

 「ルカったら」

 いきなりルカに抱き締められた。キスをねだられ喜んで応える。

 私達はいつだって愛を確かめ合うようにキスをして抱き合って互いに言葉を交わす。

 「ミュリアンナ愛してる」

 「ルカ愛してるわ」

 「だったら俺の言うことを聞くね」

 「う~ん。でも、私の願いも聞いてくれなきゃ」

 そしていつもルカが折れてくれる。まあ、重いものを持ったり今まで見たいに無理は出来ないからその辺は自重しなきゃね。

 新しい家族を父も兄様もロガワロ国の父もオルセン兄様もみんなが楽しみにしてくれている。


 今度は染料の開発に取り組もうと考えている。

 淡い色合いの刺繍糸や特産のシルクの染料。滑らかな仕上がりにするには?より一層艶のある生地を作るには?

 ルカがそんな私を見て色々な本や人から聞いた話、知人からの情報と集めてくれる。

 私達は二人三脚で一緒に考えて知恵を絞って練り上げていく。

 本当にルカと結婚してよかった。

 一度目は最悪な結婚生活だったけど二度目にこんな幸せが待っていたなんて思わなかった。

 私は心からルカと結婚したことを心から感謝してる。

 だって私の思うことを自由にやれるって本当にすごい事だから。



 *~*~*


 アッシュとリベラのその後


 あれから鉱山での強制労働に従事する事になったアッシュとリベラには所帯持ちの住まいが割り当てられた。

 独り身は同じ部屋に寝起きして食事は出来上がったものを食堂で食べ洗濯は自分でやり掃除は部屋の当番制だった。

 アッシュとリベラは夫婦なので粗末ながら一つに部屋が与えられた。

 そのおかげで食事は自分たちで作らなくてはならなかった。洗濯も掃除ももちろんやらなくてはならない。


 鉱山に来て3か月ほどたった頃。


 アッシュは疲れ切って帰って来るとまた今日も掃除も洗濯も出来ていない。

 アッシュも掃除くらいは出来るが洗濯も出来ないし食事も作った事はない。

 「リベラ。飯は?」

 「アッシュ。どうやって作るのよ。私、料理なんかした事ないんだから」

 「でも、これからは自分でやるしかないって言ってるだろう?いつになったらやるんだ?わからなきゃ人に教わるとか何かできるだろう?俺は一日中働いてるんだ。それくらいお前がするべきだろう」

 「だって、悪阻がひどくて‥出来るわけないわ」

 はぁ、またわざと吐く真似かよ。そんな演技に気づかないとでも?

 「ああ、俺も最初は辛いのかと思ったさ。でも、お前喋ってただろう?あれは演技だって他の奴に話しているのを聞いたんだ。まったく大したもんだよ。そうやってあの時だって俺に泣きつきゃぁがって!」

 アッシュは我慢できなくてリベラの頭を小突きながら「早く飯を作れよ!」と言った。

 「きゃぁ~なにすんのよ!私は王女なのよ。そんなこと出来るわけが「バシッ!」‥うぅぅ、ひどい」

 アッシュはとうとう我慢できなくてリベラの頬を殴っていた。

 「いつまでそんなことを言ってるんだ?子供だって生まれるんだ。お前がしなくて誰がするんだ?いい加減諦めて仕事しろよ!ったく。何か食べるもんはないのかよ!」

 アッシュは片隅にあるかまどにある鍋を見た。

 「うげぇ」鍋の中にはうじがわいていた。

 鍋を持って外の溝に中の液体を流す。

 どうしてこんな事になったんだ?ああ、こんなやつに!くそ。離縁したから大丈夫だって言っておきながら‥俺は騙されて。


 アッシュはまた怒りが沸き上がってリベラのいる家の中に走り込んだ。

 「クッソ。お前のせいで‥」

 怒りで頭が真っ赤になって気づいたらリベラが息をしていなかった。

 どうやら怒りに任せて首を絞めたらしい。

 アッシュはとっさに家にあった包丁で首元を掻っ切った。

 太い血管が切れたのか血がドクドク流れ出て助けを呼ぼうとしたが喉を切ったらしく声が出なかった。

 そしてそのうち気を失った。

 翌日鉱山に姿を現さないアッシュを見張りが見にやって来てふたりが死んでいるのを発見した。

 ふたりは平民として鉱山の端にある墓地に埋葬された。

 誰もそれを知らせるものもなかった。

 数年後。風の噂でふたりが死んだ事が王都の国王の元に届いた時には国王もすでに引退をしてかなりボケが進んでいた。

 側妃クラーラもすでに見る影もなかった。

 王妃ナタージャと宰相であるベネット公爵がコンラッド国王の隣にいた。

 実はあの後レーヴェン公爵家をベネット辺境伯が引き継ぎベネット辺境伯領はバクショットが継いだ。

 シガレス国は新たな体制の元隣国とも協力体制をとり益々の発展を期待されていた。

 その陰にマクファーレン公爵家がいる事は言うまでもなかった。



                      ~終わり~







今回もたくさんの方によんでいただきありがとうございました。次回作も頑張りま~す!どうぞよろしくお願いいたします。はなまる

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