表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/6

3夫になってもくそです

 

 そして2年後に私が学園卒業と同時に私達は結婚した。

 不思議だったのは父から結婚前に本当にいいのかって尋ねられた事だ。

 私は、ベネットの家の役に立てる事はこれくらいしかないと思っていたので

 だから言った。

 ”お父様、私の方こそいいんですか?私は実の子ではないのに”

 ”お前をそんな風に思った事はない。ミュリアンナはベネット辺境伯の娘。それを忘れるな”

 ”はい、ありがとうございます。お父様。私はアッシュ様を慕っております。彼との結婚は私の一番の願いなのです。”

 と心にもない事を言ったと思う。

 でも、嫌だなんて言えるはずもないから。

 それに嘘でも私を自分の娘だと言ってくれたのだからこれからはベネット辺境伯の娘と誇りを持って行こうと思った。


 時を同じくして王女のリベラ様は隣国のロガワロ国のオルセン王太子の元に嫁がれた。

 

 夫であるアッシュ様はまだ爵位を継いではおらず近衛騎士として王宮で働いている。

 それはカモフラージュではないかと思うほどの女遊びに都合がいいだけの腰かけ程度の仕事だ。

 相変わらずアッシュ様は女遊びを繰り返していて父親が宰相で国の中枢の重要人物だからか、自分も偉いと勘違いしているらしく令息としての執務それさえも私に丸投げであった。

 そうは言っても私は政略結婚とはいえ夫婦として少しでもうまくやって行けたらと思っていたので最初の1年は真面目に仕事をして社交をした。


 お茶会に呼ばれるお相手のほとんどが夫であるアッシュ様の過去の関係者だった。

 幾度か呼ばれたメンバーでのお茶会で私はプッツン切れた。


 「ミュリアンナ様。いかがかしら?」不躾な視線を向けて来るマクファーレン公爵家の令嬢で出戻りのディアーナ様だ。

 ああ、お兄様はヒックス兄様と同じ年で騎士でもあるルカ・マクファーレン公爵令息だ。

 彼女は過去にアッシュ様とも関係があったらしい事をプンプン匂わせていた。

 「いかがとは?」

 「まあ、いやですわ。彼との身体の相性に決まってるじゃありませんか。ねぇ、皆さん」

 他にもカエンハイル公爵家のナデル様やシモンズ侯爵家のレンナ様などいずれもすでに結婚している。

 それにしてもよくも夫と関わりのあった女たちばかり集まったものだとため息を吐いた。

 「うふっ、やっぱり。相当お困りのご様子ですね。わかりますわぁ、だってアッシュ様意外とお強いですもの。ねぇ~皆様」

 「「「ええ、そうですわね」」」

 彼女たちの目がらんらんと輝く。

 どうして私がこんな暇な女の相手をしなきゃならないのよ。条件は最低限の社交だったはずなのに‥

 「…あの‥でしたら、いつでも相手をしてやって下さいませ。もし孕んだとしても婚姻知れている方との子できたらレーヴェン公爵家の血が入っているかわかりませんので子どもは引き取れませんね。まあ、どうしてもと言われるならそれ以外にも手段はありますわ。離縁さえしていただければ第2夫人という手もありますのでご一考下さい。では‥」

 「まあ、失礼な!」とディアーナ様が言ったが他の人は何も言えないらしい。

 「あの、申し訳ありませんが私、こんな無駄な時間を過ごす気はありませんので今後お茶会のお誘いは辞退させて頂きます。では、失礼します」

 それ以来お茶会の誘いは断っている。


 仕事はほとんどが執事のダートンがこなし私はそれに目を通すくらいの仕事だった。

 社交はシーズンにある王宮主催のパーティーくらい。

 アッシュ様とは顔を合わせる事すらほとんどなく部屋はお互いの私室で過ごす日々だった。

 たまに夕食を共にする時も目すら合わすこともない。

 いたたまれない空気。

 そんな時、旦那様は私に心苦しいからだ思うことにした事がどれほどあったか。

 あの男と同じ空間で息をする事すら吐き気を覚える。









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ