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29国王は甘い親でした


 翌日オルセン王太子と私と父は国王に話をしに行った。ルカ様も一緒に来た。

 ソファーに座るように言われてオルセン王太子が「ミュリアンナはここに」そう声を掛けられて私は彼の横に座る。

 ルカ様は後ろに控え国王はオルセン王太子の態度を伺うように向かいのソファ-に座った。

 国王が口をもごもごする。

 戸惑った顔をしたがやっとオルセン王太子に尋ねた。

 「お、オルセン王太子。リベラの事本当に申し訳なかった。君の気持ちの整理はついただろうか?」

 国王はオルセン王太子の事をすごく気にしている様子だ。

 まあ、当然!

 

 「はい、昨晩はまさしく茶番でしたがふたりの無様な姿をシガレス国の貴族の心に焼き付けることは出来たはずでしょう。貴族も愛人を持ったり不貞行為をしている者もいるはずでそんな彼らに取ったら恐怖でもあったでしょう。それにロガワロ国のメンツを潰せばどうなるかわからせることも出来た事ですし、まあ、上出来でしょう」

 国王はオルセン王太子の満足したと言う感触にやっとほっと息を吐いた。

 「ええ、すでにレーヴェン公爵は宰相を辞しておりまして公爵位も剥奪していますのでご安心ください」

 ああ、アッシュのお父様も平民に‥まあ、あれだけの事をすれば無理もないか。

 オルセン王太子は興味はないと言った感じ。

 「ああ、シガレス国の内政には干渉しない。ただ‥」

 「ただ?」

 「ただ、アリーシャ王女もリベラのような失敗をさせないようにしなければならないと思うが」

 国王は何が言いたいんだ?と眉を寄せた。

 「もちろんでございます。アリーシャはそれはもう素直でいい子でして‥あっ、もしかしてオルセン王太子の妻に?でございますか?」

 国王は揉み手をしながら笑みを浮かべた。

 変わり身早すぎ!

 

 「はっ?アリーシャ王女のようなわがままで自分の事しか考えれない王女を嫁に欲しいと思うわけがありません。もう、結構だ。結論を言う。ミュリアンナはロガワロ王家の人間だと証明出来ました。よってミュリアンナをルカ・マクファーレン公爵令息と婚約させることにしたので」

 オルセン王太子の声は素っ気なく冷たい。

 「えっ?でも、アリーシャがルカの事を好きなんですよ?そんな勝手なことをされては‥」

 「これほど言ってもわからないとは…あなたは子供言うことはすべて聞いてやるつもりか?」

 「そんな事はありません。私は国の事も考えています」

 「国王あなたが考えているのは可愛い子の事ばかりじゃないんですか?こんな事ならこれからの関係も考え直さなくてはなりませんね」

 「私のどこがおかしいのです?マクファーレン公爵令息は独身で特に問題はないはずです」

 もう我慢できないとルカ様が割って入った。

 「国王陛下。私には心に決めた人がいると言ったはずです。その女性がミュリアンナなんです。私は例え王命と言われてもアリーシャ王女と結婚することはあり得ません」

 「だったらなぜそう言わなかった?」

 「最初に断ったはずです。でも、あなたは受け入れてはくれなかった。王命を使ってでもアリーシャ王女と婚約させようとしていたじゃありませんか!」


 「な、何を?そもそもあんな私生児が!たまたま思いついただけの薬で流行り病が治せたからって‥ミュリアンナはいい気になってるんです。とてもロガワロ国王家に関りがあるとは思えません。オルセン王太子は騙されているんです。きっとミュリアンナがアリーシャを陥れようとしたに違いありません。護衛騎士。ミュリアンナを捕らえよ!」

 オルセン王太子が激昴した。

 「ミュリアンナは間違いなくロガワロ国の王女だ。これ以上ミュリアンナを侮辱すれば国王と言えど容赦はしない!」

 オルセン王太子が目くばせするとすぐにロガワロ国の護衛兵が国王を取り囲んだ。

 「国王は乱心した。護衛兵!国王を捕らえろ!」

 ロガワロ国の護衛兵が国王フィリップを捕らえる。

 「貴様!何の権利があって。ただではすまんぞ!」

 国王は連れ出された。


 「ベネット辺境伯。一度この国の貴族は話をした方がいい。あの国王は何をしでかすかわからんぞ。私が思うには、あなたがこの国の宰相になって次期国王コンラッド王太子を支えるのがいいと思うが」

 「オルセン王太子のお気遣いに感謝します。すぐに貴族会議を招集して話し合いをします」

 さすがの父もあそこまでごり押しをする国王に幻滅したらしい。

 何しろ私を捕らえようとしたんだから。


 「ああ、そうした方がいいぞ。なぁミュリアンナ。ルカと一緒にロガワロ国に来ないか?」

 「ありがとうございます。一度訪れようと思ってはいますがこの国が私の国なんです。ベネット辺境伯は我が家で家族もいます。それにやりたいこともたくさんあるので‥オルセンお兄様ごめんなさい」

 「いや、ミュリアンナが羨ましい。王太子など自由はないし妻だって決められるんだ。私も自由に旅でもしたい」

 「でも、ロガワロ国の王太子はお兄様にしか出来ませんよ。それにお兄様のような人が次期国王だと思うとすごく楽しみです。これからのロガワロ国はきっと益々良い国になるはずですから」

 「そんな風に言ってもらえるとは‥頑張るしかないな」

 オルセンお兄様は目を反らしよく見ると頬を染めていた。


 こうしてオルセン王太子はロガワロ国に帰って行った。

 貴族会議が開かれ国王は1年後に引退することに決まった。

 宰相はベネット辺境伯になりコンラッド王太子を支える事になった。




 

 



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