28新たな真実3
オルセン王太子が口を開いた。
「やはりミュリアンナは国王である父の子供だったんですね。あの頃に生まれた子供が2人ほどロガワロ王家にはいます。ふたりは女の子でした。レンナとビアスと言います。ふたりとも王女として育ち結婚をして幸せに暮らしています。どちらが幸せだったかはわかりませんがミュリアンナにもロガワロの王族と名乗る権利があります。それだけの恩恵を受ける権利もあります」
オルセン王太子はミュリアンナを無理やり連れて帰ろうとか何かを命令しようとかと言う考えはなさそうだ。
「オルセン王太子。あなたのお考えでは無理やりミュリアンナを連れて帰ろうとはなさらないと言う事ですか?」
「もちろんです。ミュリアンナはすでに成人しています。彼女が決めればいい事だと思います。但し、国には報告させて頂きます」
「ミュリアンナはどうしたい?」
父が優しく尋ねた。
私‥いきなり王女だとか言われても、今のままで充分幸せ‥あっ、それはルカ様と一緒だったらで、もし、アリーシャ王女との婚約が王命で出たら?
私の一番の不安はルカ様と一緒になれない事だ。
「ルカ様、アリーシャ王女との事をお願いしてもいいでしょうか?」
ルカ様の顔が蒼白になる。
ルカ様が構わず私のそばに跪いた。
「ミュリアンナどういう事だ?君はロガワロ国の王女だから俺はふさわしくないと?だから俺にアリーシャと結婚しろと言うのか?」
縋るような深緑の瞳から涙が頬を伝う。
「まさか!そんなこと思うわけがありません。私はアリーシャ王女との王命がなされない用にお願いしたいと思っただけです」
ルカ様がほっと息を吐きその顔に安堵が見えた。
「ほんとに?ミュリアンナが高貴な身分だと分かって俺だって君と結婚できるか心配になった。だからおかしな考えをした。すまん」
しゅんとしたルカ様は耳を垂れた子犬みたい。
「もう~そんな事で私の気持ちが変わるとでも?私はルカ様を愛してるんです。それはもう、5歳の頃からずっとずっとずっとあなたを慕っていました。やっと思いが通じたんです。もう二度とルカ様と離れる気はありません!」
「ああ~俺だって愛してる。ミュリアンナぁぁぁ~」
これが冷酷だと噂のあったルカ様だろうか?彼はぎちぎちの間に割り込んで私をガシッと抱きしめている。
「おい、ルカ。狭いだろう。俺達もいるんだぞ」
そんな兄様たちはすごくうれしそうだった。
オルセン王太子はその様子を呆れた見ていたらしいがそっと尋ねた。
「ミュリアンナ。それで話はシガレス国の国王にミュリアンナとルカ・マクファーレン公爵令息との結婚が決まったと言えばいいと言う事なのか?」
さすがロガワロ国王太子。洞察力すごい!
「はい、オルセン王太子お分かりになったんですか?」
「まあな。昨日のアリーシャ王女の態度を見ていればルカを好きだと分かった。どうせ私が退室した後に王命で婚約しろとでも言ったんだろう?」
「取りあえず断りましたがこのままでは王命を使われるのではと思っていました。オルセン王太子にこんな事を頼むなんて‥本当にいいんでしょうか?」
まだ頼んでもいないのに?私はまだ信じれなかった。
「当たり前だ。ミュリアンナは私の異母妹だぞ。ロガワロの王女なんだ。こちらの決定に従ってもらって何が悪い?」
「私すごくうれしいです。オルセン王太子本当にありがとうございます」
「いいんだ。それにそこはお兄様じゃないのか?私もまだ実感がわかないがよく見ればほら」
オルセン王太子が自分の顔と私の顔を指さす。
「最初にミュリアンナを見た時、違和感を覚えた。だが、やっとわかった。ほら、見てみろ。私とミュリアンナの目。よく似てるだろう?」
私はオルセン王太子の目を見た。でも、自分と似てるかなんてよくわからない。
「「「ああぁぁぁ~」」」
「ほんとだミュリアンナ。やはり血は争えないって言う事ですね。ほんとにそっくりだよ」
ヒックス兄様が声を上げた。バクショット兄様もルカ様もうんうんと頷いている。
「わかっただろう?ミュリアンナは私の異母妹だと言うことは確かなんだ。これからは仲良くやって行こう。いいな?」
内心まだ信じ切れていなかったが、ルカ様がそう思うならもう間違いはないと思えた。
「はい、お兄様!」
「ああ、こんな妹が出来てうれしいよ。それにベネット辺境伯の皆さんともお近づきになれて光栄だ」
「「「こちらこそ、よろしくお願いします!」」」
「ルカ・マクファーレン公爵令息君ともこれから長い付き合いになるだろう。よろしく頼む」
「はい、オルセン王太子。こちらこそよろしくお願いします!」
ルカ様は立ちあがって騎士隊式の敬礼をした。




