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25オルセン王太子の仕返し2


 そこに一人の女性が走り出て来た。

 ケロッグ・バークレイ男爵令嬢だった。

 「アッシュ様?リベラ王女とも関係があったって本当ですの?あんなに私だけだって言ったじゃないですか?」

 「も、もちろんだ。ケロッグ。君だけが私の天使だ。だから一緒に頼んでくれないか?」

 「でも、あなたってもう平民なんですよね?」

 「ああ、でも君と結婚すれば男爵になれる。なっ、頼む」

 「勘弁して下さい。あなたが公爵家の跡取りだから私は‥もういいです。どうせ妊娠は嘘ですし、アッシュ様どうぞお元気で」

 「はっ?どういうことだ?」

 「聞こえましたよね?どうぞリベラ様と結婚して下さい。ふたり仲良くお幸せに」

 それだけ言うとバークレイ男爵令嬢はさっさと会場を後にした。

 「そんな‥」

 アッシュはその場にうなだれた。

 オルセン王太子が呆れかえった顔でアッシュに声をかける。

 「話は終わったか?お前も忙しい男だな。まあ、これからは女一人に絞れるから安心しろ」



 オルセン王太子が準備をするよう手を上げた。

 「そろそろ始めよう。神官立ち合いの元この場で夫婦の誓いをした後、婚姻届けにサインを。そしてすぐに鉱山の強制労働に赴く事になっている。皆さん、万が一、強制労働から逃げ出してどこかの領地にでも忍び込む事があってはいけません。ふたりの顔はしっかりと覚えておいて下さい。このふたりはロガワロ国とシガレス国を危機に陥れた凶悪犯ですから。見つけたら殺しても構いません」

 相変らずオルセン王太子の声は冷たい。


 

 そんな状態にあってもアッシュはまだ受け入れられないらしく。

 「こんなつもりはなかったんだ。俺の子かなんてわかるもんか!おい、リベラいい加減にしろよ。お前のせいでどうして俺がこんな格好して強制労働に行かなきゃならないんだ?勘弁しろよ。って。おい、冗談だろ!」

 「私だって!どうしてアッシュと結婚して強制労働にまでついて行かなきゃならないのよ。子供だっていらないわ。お父様。ねぇ、何とかしてよ。だって国王なんだから、私を助けてよ。いくら何でもひどすぎるわ。ねぇ、お父様‥」

 そんなふたりのやり取りを貴族たちは侮蔑の目をあらわに浮かべてきっと心の中では面白おかしく眺めているのだろう。


 ああ、やっぱり神様っているのね。だから言わんこっちゃない!


 すぐに神官が準備が出来たと合図をしてふたりは神官の前に立たされた。

 皆が見守る中…

 「神の御前に立ち、今ここにアッシュとリベラを夫婦として認めます」

 神官の言葉は完結だった

 「はっ?健やかなる時もとかない訳?」

 リベラ、そこ違うんじゃ?

 「こんなの認めないからな。誰がお前なんかを妻と思うかよ!」

 アッシュが吐き捨てた。


 「あなたが何と言おうとすでに神が認められました」

 神官の冷たい言葉が会場に響いた。

 そして無理やりペンを握らされて婚姻届けにサイン。

 「さあ、これでふたりは夫婦になった。おめでとう。皆さん盛大な拍手で見送ってやってくれ!」

 オルセン王太子が拍手をすると会場内の全員が拍手をした。

 そしてふたりは護衛騎士に引きずられながら会場を後にした。


 「いいか、確実に鉱山まで送り届けろ!もし逃げたらその場で殺せ。いいな?」

 そう言ったオルセン王太子の顔が魔王のような様相だったのは言うまでもなかった。

 「何があってもふたりは確実に送り届けます。ご安心くださいオルセン王太子」

 護衛騎士たちは立ち止まり剣を掲げて誓った。


 無理もない。

 本当にオルセン王太子お気の毒。

 そして私も気の毒だったわよね。

 とにかく離縁が成立して良かった。

 私は心の中でつぶやいた。








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