22俺とアリーシャ王女が?(ルカ)
「お父様。大丈夫ですか?」
最初にこの気まずい空気を変えたのはアリーシャだった。
「ああ、アリーシャ。お前はそのような事のないようにな。不実をすれば必ずわが身に降りかかることをよく覚えておくように」
「ええ、もちろんですわ。それよりお父様。私とルカ様の事を」
「待ちなさい。オルセン王太子。ミュリアンナ様の事は私が責任をもって世話をするつもりですのでどうぞご安心ください」
「ああ、夜会では是非彼女を顔合わせがしたい。この度のコンコン病の克服は私からお礼が言いたい」
「はい、もちろんでございます」
「では、私はこれで失礼する」
オルセン王太子は部屋を後にした。
そしてやっと国王が俺に顔を向けた。
「マクファーレン公爵令息。お呼びだてして申し訳ない。とんだ失態を見せたがまあ、君にもこれから王家に関わってもらう事になるだろうから‥」
「それはどういう事でしょうか?」
「ああ、実はアリーシャが君に惚れたらしくてな。君と婚約を結ばせたいんだ」
「お、いえ、私と?いえ、それは出来ません。私には約束をした人がいるんです」
「ルカ様に?やだぁ。そんなの‥お父様。私との婚約王命にして下さいよぉ~」
「マクファーレン公爵令息。どうだろう?これほどアリーシャが望んでいるんだ。考えてくれないか?」
「無理です。このお話を受ける事はあり得ません。アリーシャ王女の護衛騎士も辞退します。では」
「待て!国王に向かって不敬だぞ!」
「リベラ王女の事があったばかりでそのようなご無理を通すおつもりですか?ロガワロ国がどう思うか?」
俺は我慢できないとばかりに口答えする。だってそうだろう?俺には結婚を約束したミュリアンナがいるんだ。
「マクファーレン!どうするべきかよく考えるんだな」
「そんなことをしてどうにかなると?俺は絶対にアリーシャ王女と婚約なんかしませんから!」
「それがいつまで通用するかな?王命にしてもいいんだぞ?」
「あなたがそんなだから‥ったく!シガレス国の行く末はどうなる事ですかね?」
「それ以上を言えば不敬と受け取るが?」
「リベラ王女もアリーシャ王女もわがままは国王譲りなんですかね?そんなあなたの臣下だと思うと‥失礼します」
俺はまだ言いたいことが山ほどあったがそれをここで言えばさすがにまずいだろう。
ぐっと言いたい衝動をこらえて国王に一礼して部屋を出た。
はぁ~ミュリアンナに早く会いたい。
アッシュとの離縁はすぐに出来るはずだが、明日の夜会のパートナーになってもらえたらどんなにうれしいか。
でもさすがに明日は無理かもしれないな。
国王にはあんな啖呵を切ったがさすがに王命を出されると断わり切れないかもしれない。
いっそミュリアンナとロガワロ国に逃げるか?フューデン辺境伯を頼れば‥
脳内で色々な考えが錯綜する。
困った。俺はこれからどうしたらいいか頭を抱えた。




