9 真相への扉
スフィンクスの陰影が砂漠に落ちる中、零は調査団全員を集め、これまでの調査結果を再確認していた。
彼の頭の中では、すべてのピースがほぼ繋がりかけていた。
だが、最後の決定的な証拠がまだ見つかっていなかった。
「犯人はリーダーが鍵を持ち出して調べた遺物を利用してトリックを仕掛けた。その遺物の特性が事件の鍵だ。」
零は調査団全員を見渡しながら話を続けた。
助手の一人が質問する。
「零さん、その遺物がどのように使われたのか、具体的に分かっているんですか?」
零は静かに頷き、説明を始めた。
「犯人は遺物の特性を使って短時間で凶器を作り出し、それをリーダーに対して使用した。そして、その凶器は砂漠の環境で完全に消えるように仕組まれていた。」
調査団の中に驚きの声が広がった。
その中でアミールは静かに零の話を聞きながら、深く考え込むような表情を浮かべていた。
午後、零はアミールを伴い、保管室で遺物の再調査を行っていた。
零は棚に残された傷跡を再び観察し、遺物の目録を確認した。
「この棚に保管されていた遺物には、熱や圧力を操る特性があると記録されている。犯人はその特性を知り、それを利用した。」
零はアミールに視線を向けながら言った。
「事件当夜、この遺物が棚から動かされた形跡がある。それについて何か心当たりは?」
アミールは一瞬ためらい、言葉を慎重に選びながら答えた。
「その夜、リーダーが保管室で何かを調べているのは確かでした。でも、彼が何をしていたのかを正確に見たわけではありません。」
零はその答えに頷きつつも、アミールの態度に微妙な違和感を覚えた。
「その遺物が事件に使われた可能性が高い。その特性を知っていた者が犯人だ。」
夕方、零は事件現場に戻り、砂地の状態を改めて確認していた。
砂の一部にわずかに残された痕跡を見つけ、彼はさらに調査を進めた。
「この砂地に残された微妙な痕跡、熱や圧力によるものだ。犯人はここで遺物を使い、凶器を作り出した可能性がある。」
零は助手たちに指示を出しながら、現場の調査を続けた。
その時、アミールが現場に現れ、静かに零に声をかけた。
「零さん、もしその遺物が事件に関わっているのだとすれば、その特性を知っていた人物が絞られてくるのではないですか?」
零はその言葉に答えず、アミールの顔をじっと見つめた。
「その通りだ。そして、その人物を特定することが事件解決の鍵になる。」
夜、零は調査団全員を集め、これまでの調査結果を整理していた。
「犯人が使った遺物の特性、それが今回の事件の鍵だ。そして、その特性を知っていた人物が犯人だ。」
零は全員を見渡しながら話を続けた。
「次の調査で犯人を特定する。全員、協力してくれ。」
調査団の中に緊張感が走る中、アミールは静かに零の言葉を聞いていた。
その表情は変わらないものの、どこか焦りの色が浮かんでいるようにも見えた。
スフィンクスが静かに見守る夜空の下、零の推理はついに核心に迫りつつあった。