表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/10

10 隠された真実

スフィンクスの背後で朝陽が砂漠を黄金色に染める中、零は調査団全員を集め、これまでの調査結果を整理していた。

事件の全貌がいよいよ明らかになろうとしていた。


「この事件の犯人を特定する準備が整った。」

零は調査団全員を見渡しながら静かに語り始めた。

「リーダーが保管室から持ち出した遺物が、この事件の鍵だ。」


助手の一人が質問する。

「零さん、その遺物が何だったのか、具体的に分かっているんですか?」


零は頷き、遺物の詳細を記した資料を示した。

「それは『氷の魔石』だ。この石には特殊な力が宿っており、使用者が短時間で氷を作り出すことができる。」


調査団全体が息を呑む中、零はさらに言葉を続けた。

「犯人はこの氷の魔石を使い、現場で即席の凶器を作り出した。その凶器は鋭利な氷柱だった。」


午後、零はアミールと共に保管室の再調査を行っていた。

彼は棚に残された傷跡と目録を見比べながら、犯行の痕跡を確認していた。


「アミール、この棚から氷の魔石が持ち出された形跡がある。そして事件当夜、リーダーがそれを確認していた。」

零はアミールに向き直り、静かに問いかけた。

「事件当夜、君が保管室で見たことを全て話してくれないか?」


アミールは一瞬ためらい、冷たい目で零を見返した。

「零さん、私が犯人だとでも言うつもりですか?」


零は冷静に答えた。

「そうだ。君が氷の魔石を持ち出し、その力を利用して凶器を作り出した。」


アミールは後ずさりしながら答えた。

「そんな証拠はどこにもない!」


零は淡々と話を続けた。

「保管室の鍵に残された指紋、棚の傷跡、そして現場の砂に残った氷の痕跡。全てが君を犯人だと示している。」


夕方、零は調査団全員を集め、事件の全貌を明かす説明を行った。


「犯人は氷の魔石を使い、短時間で鋭利な氷柱を作り出した。その氷柱でリーダーを襲撃した後、氷は砂漠の気温で溶けて完全に消失した。」

零は全員を見渡しながら話を続けた。

「このトリックを実現できるのは、氷の魔石を知っている人物だけだ。そしてその人物が、保管室の管理を任されていたアミールだ。」


調査団全体に驚きと緊張が広がる中、アミールはついに観念したように肩を落とした。

「…そうです。私がやりました。氷の魔石は世に出してはいけないものだ。リーダーはその危険性を理解していなかった。だから私は…止めるしかなかった。」


事件が解決に向かい、調査団の緊張が徐々に解けていく中、零はスフィンクスを見上げて呟いた。

「氷の魔石…。地球に存在しないはずの力が、なぜここにあるのか。」


ハルが念話で語りかける。

「零、この事件、ただの殺人じゃなかったね。もっと大きな謎が隠れてる気がする。」


零はその言葉に小さく頷き、新たな謎を追う準備を心に決めた。

スフィンクスが夜空を見守る中、彼らの次なる旅が始まろうとしていた。



■「元勇者 シリーズ1」 で続く。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ