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木漏れ日に悪意は潜む

 【竜機兵】


 原初の時代 未だ大地は岩と炎に覆われていた そんな最中 岩から産まれた巨人と竜は殻の魂を満たす為にお互いの魂を奪い合っていた その中でも多くの竜を屠りし戦士は竜の岩の様な外殻を武具として纏い戦う姿から竜機兵と呼ばれていた。

 

 薄霧が漂い朝日を包む早朝に私は何時もより早く意識を覚醒させてコンフェの研究所の入り口近くに来ていた。


 昨日から楽しみの遠足を控えた子供の様に目が冴えて仕方なかった。


 サルヴァ王国………一体どの様な建築物や料理、文化が栄えているか想像するだけで浮き足立ってしまう。


 何なら音速で空を飛べるがなフフフ……、なんて考えているとシャッターが上がりコンフェとグウィンが必死の形相で布を被せた発明品らしき物を大型の台車に載せて外に運び出していた。


「グウィンもっと引っ張る、にゃ!!」


「うググッ………コンフェドール様本当に何なんですかこれッ!?」


 見た感じ数t位有りそうな物を良く押し進めるなと感心しながら眺めていると私を見つけたらしい二人が台車を押す手を止めて駆け寄って来る。


「「見てないで手伝えッッッ!!」」


「お!? おう。」


 二人の剣幕に圧された私は慌てて台車を後ろから押し進める。


 本当にコンフェは何を作り出したのだろうか………私の背丈位ある上に被せられた布の凹凸感から推測するに人型のようなものに見える。


 ・・・・と言うか本当に重いな、良く二人で研究室から運び出せたなと思いながら家から少し離れた開けた場所まで押し進めた所でコンフェから声が掛かる。


「ここら辺で良いニャ!」


「了解した。 …………しかし何を作ったんだコンフェ、唯の発明品とゆう訳では無いのだろう?」


「ハァ……ハァ。 そうですよコンフェドール様……ハァ…勿体振らずに教えてくださいよ。」


 昨日から含みのある発言をしていたのだ余っ程自信があると見る。


 隣で今度はどんなとんでも無い物を作り出したのだろうかと若干頭を抱えるグウィンを見るに彼にも昨日から勿体振る発言をしていた事が伺える。


「にゃにゃにゃ! 良くぞ聞いてくれたニャッ! この発明品の構想は2・3度目のロンドールからの呪縛者とデーモンの氾濫の悲劇から練っていたニャ。 そして青き凶星が堕ちた運命の日! 深淵の呪いの手先を根絶やしにし得る兵器の開発品の試作が遂に昨日完成したんだニャ!」


 台車の近くに得意気に腕を組みながら自慢げに演説し始めたのをグウィンと共に顔を見合わせる。


「いや誰が凶星やねん、私は善良な宇宙人やぞ」


「諦めろヘラルド 其れが世間のお前への評価だ。」


 酷い物言いである。


 まあ、普通に考えればでかい金属の塊が私は善良だぞと触れ回りながら彷徨いているのだから実物を見ていない人々からすれば恐怖でしか無いのかもしれないと考えれば納得出来る。


 ・・・・やっぱり納得出来ない。


 地道にイメージ回復に務めるしか無いよな……。


「二人ともちゃんと此方を見るにゃ! 遂にお披露目ニャ! 対深淵兵器【ドラジェ】起動!」


 発破を掛けるようにコンフェが叫びながら布を取り払うと台車に寝かせられたドラジェと呼ばれた人型の兵器が重苦しいモーター音を響かせ、石とも金属とも言えない装甲から青白く光る筋を灯しながら立ち上がる。


 鳥のような逆関節には全身に使われている人工竜機兵の外殻を流用したと思わしき追装甲、胴体はやや先鋭的な造形で空力特性を考慮した様な造形。


 頭部もまた人工竜機兵の頭部の外殻を引き剥がして金属を貼り付けていているようで飛び出した二本の金属片が角の様に見える。




 ・・・・此れをこの星で製造したのか? 地球の人型兵器の権威でも大企業の力添えが無ければ不可能だと言うのにあっぱれと言うか恐ろしいと言うかな……


「おぉ………凄いなコンフェ、此れを全部一人で造ったのか?」


「へ、ヘラルドが2体に増えた……アレフ殿に何と説明したら」


「ニャフフフ……どうニャ! この機体は我が商業組織の傘下工房でドワーフの技術力とエルフの魔術を結集させ、基礎フレームに先月の人工竜機兵の外殻とコアを搭載させたにゃーの最高傑作ニャ!」


 そうデカい胸を張りながら話すコンフェに頭を抱えていたグウィンが詰め寄る。


「こ、こ此れをアレフ殿になんて説明する気ですかッッッ!  暫く発明品を禁止されていたでしょう!?」


「にゃ、ニャハハ………な、何とかニャル筈ニャ、多分……きっと…。」


「ホホォゥ……何とかなるのかコンフェ」


 揺さぶらながら目を泳がせるコンフェの後ろに静かに気配が現れる。


「あれ!? アレフさん!?」


「あ、アレフ殿いつの間に……」


「ニャ……お義父さんにゃんでこんな早くいるだブニャッッッ!?」


 私を含めて突然の出現驚いていると一瞬の間にコンフェの後ろに回り込んだアレフさんの拳が頭に拳の連撃を叩き込んだ。


「おいヘラルド、お前はちゃんと村で大人しくしていたんだろうな」


「あ、あぁ……ちゃ、ちゃんと言いつけは守っていたぞ」


「あんなたん瘤だらけに……コンフェドール様お労しや」


「ひぃ…酷いにゃ、こんにゃ叩かにゃくても〜」


 本当にこの人は恐ろしいな、まるで私の軍人時代の教官を見ている気分になるな……両者共相手を思い遣っての行動なのだろうがやはり一挙手一投足相手側にとっては恐怖何だよなぁ。


 なんて考えていると叱り終えたのか鎮座するドラジェを腕を組みながら何処か悲しげに見つめる。


「・・・やはり完成させたか……弔いのつもりかコンフェ。」


「その為の機体……もう誰からも何も奪わせない」


 何処か違う情景が手の平に映し出されたかのように手の平を見つめるコンフェに私は声を掛けるのを思わず躊躇う。


 きっと彼女だけの大きな感情や覚悟を無意識に感じ取ったからなのかも知れない……。



 佇むドラジェから目を離したアレフさんは寒空を飛ぶ鷹のような視線をコンフェに向けてから静かに口を開いた。


「デーモンや呪縛者は生者の魂を求め、汎ゆる尊厳を食み、そして壊し犯す。 そして永遠に魂は輪廻を循環することは無い…それでも戦う覚悟を持ち続けられるのか」


「あの日からにゃーは…はあの日から立ち止まったままで……その背中を見つめ続けている。 もういい加減ケリを付ける時が来たんだニャ」


 自然とお互いに抱きしめ合う姿勢になり、ただ静かな朝の風が草木を揺らし全てを包む。


「コンフェ……お前はそこまで……。」


「仕事も引き継がせたし大丈夫ニャ」


 数十秒間の抱擁を経てお互いが一歩間が出来る。


 風にアレフさんのサーコートが靡いて二人の表情が隠れる・・・きっとその一瞬に様々な気持ちがお互いに巡り回っていたのだろう。


 だってあんなに覚悟の含んだ眼は出来るはずがないのだから。


 アレフさんが此方に歩み出るのを見て私は片膝を付き目線を出来るだけ下げると静かに頭を下げて絞り出すかの様に口を開く。



「アレフ殿………。」


「えッ!? ア、アレフさん!? 何故頭を下げるんですかっ!?」


「ヘラルド!……コンフェをよろしく頼む、まだ出会って日が浅いのは承知している・・・が、これからのあの娘の歩みはお前しかついて行けないだろう。 だからこそお前にコンフェを任せたいのだ……どうか宜しく頼むッッッ!」


「どうか頭をお上げ下さい・・・もし私が星を侵略しに来た悪い宇宙人だったら断わっていたでしょうね、しかし私は一宿一飯の恩義に預かりました。 この手を再び血に塗る覚悟はとっくに出来ております。」


 鷹の眼に浮かぶ覚悟を感知し、頭を下げるのを辞めて頂き目線が結ばれる。


「そうか、ヘラルド……済まないッ! どうか娘を頼む!!」


「えぇ…お任せくださいアレフさん。 ・・・コンフェは良かったのか? 私は良くも悪くもこの星では目立つが?」


 アレフさんから目線を外して眼から高ぶった感情を拭うコンフェに目線を合わせる。


「にゃーのポリシーは来るものを拒まずの精神を掲げているから諸々は心配しなくても安心して欲しいニャ。 でも、良かったのかにゃ? ニャーがこれから歩む道筋は屍山血河の道で命の保証は出来にゃいニャ」


 既に肉体は死に絶えて魂が機械の身体に囚われた私にはいつか来るか分からない死の順番など些細なものである。


 殺す相手に軍人や老若男女の他に呪縛者やデーモンとやらが増えただけでやる事は昔と変わらない。


 僅かに震えていたコンフェの手を痛くない加減で優しく握り右指で涙を拭う。


「コンフェ、私は兵器であって同時に兵士でもある。 初めて邂逅し雇われた日から私の魂は再び戦場に舞い戻っている……どうか命令してくれ、旅路に立ち塞がるものを殲滅しろと」


 コンフェの目に更なる覚悟が宿るのを幻視した。


 風が一瞬止み、ジェネレーター音と其々の息遣いだけが聞こえる。




 黎明の光が私とコンフェの身体を包む。


 コンフェは静かに目を閉じ、手を私の胸部に押し当て口を開く。 




「贖罪の女神より授かりし名の下に命じる。 どうしようも無く呪いに壊れ縛られた魂の解放を……例え同胞が立ち塞がるとしても殲滅し、歩み続ける事を。 例え死が貴方と私の二人を分かつとしても討呪を遂行せよ」


「使者の名の下に誓約を謹んで受領させて頂きます。 例え人類種の天敵となろうと……呪縛者とデーモンを殲滅し、そして根源である深淵の呪いを祓い事を誓います。 尊き貴女の名の下に」


 《素粒子の超高密度運動 並びに性質変化を検知》 


 システムからのスキャン情報を拾うと同時に胸部に押し当てられた手から淡い緑の光が溢れ出す。


「此れは………。」


「ヘラルドは魔法を見るのは始めだったにゃね、この星では魔法と言うのは大抵の生き物が潜在的に保有する【魔力】と呼ばれる力で行使する技術なんだニャ」


 淡い緑の光が止みコンフェが手を離すと胸部に星を咥える鴉の紋様が刻まれていた。


「魔法は生まれた瞬間からどんな魔法が使えるかある程度決まっていて、にゃーが使用したのは【誓約の魔法】 と呼ばれる魔法だニャ」


 魔法……話には聞いていたが不思議な技術である。 システム解析によると素粒子を操り性質変化を行っているのだとか、色々な科学的根拠を踏まえても意味不明である。


 恐らくは大昔に亡国ロンドールと関わっていた異星人の超高度技術の産物なのかも知れない……宇宙はやはり広いなぁ。


「名前から察するに約束を守らせる魔法なのか?」


「その認識で良いニャ、普段この魔法を使うのは大事な商談や約束事で使われている魔法なんだニャ」


 なんて凄く便利な技なんだ。 これがあれば弁護士を立てる事も書面化して保存する必要が無くなるのか……正に痒いところに手が届くと読んで差し支えないな。  


「因みに魔法を使用した状態で約束事を違えると……」 


「約束や誓約の重要度によるけど約束を違えた人は皆内臓が皮膚と反転したり爆散して死んでるニャ」


「え、えぇ………。」 


 魔法は夢のある技術だと思ったが前言撤回、恐ろしずきだろ・・・何だよ爆散するって一体どんな仕組みで爆散してんだよ。


 《スキャンにより爆発物は検知出来ませんでした。》


 慰めか分からんフォローどーもあんがとさん。


「因みに今の誓約が完遂できないとにゃーもヘラルドも身体が爆発飛散して死ぬニャ」


「・・・・はぁ?」


 えぇ…と、今なんて?


 身体が爆発飛散?


 あ、えぇと・・・はぁ!?


「「「はぁぁぁぁっっっ!?」」」


 コンフェとの話しを聞いていたグウィンとアレフお義父様の絶叫が村の家畜が飛び起きるぐらいに響き渡った。


 


 

 ◆◆◇◇



 

 早朝の一悶着を終え、私はコンフェとアレフお義父様そして傭兵として従軍しているグウィンと共にサルヴァ王国第四騎士団第一護送部隊【スティルネス】と呼ばれる数十人の精鋭で編成された魔法と剣技の心得を持つ騎士で構成された部隊だとコンフェとアレフお義父様聞かされた。


 スティルネスの騎士団長である【アルバス=ヴァンダル】はコンフェとアレフお義父様へ最上級の敬意を示してから私の護送と今後の流れを話している傍ら村人達と別れの挨拶を行っていた。


「ダンマークさん…ダンカンさん私は暫しの間村を離れている事になりますが泥炭燃料を暫く掘り出さなくて良いように余分に積み上げたのでよろしくお願いします。」 


「そうか………いずれはそうなると分かっていたが淋しくなるじゃねぇか。」 


「ふん、もう家屋を壊されなくて済むのは喜ばしいな。 ……まぁ淋しくはなるがな…」


 そう言ってくれるのは何時も関わり合いが深い鍛冶師と大工の二人である。


 最初は色々とあったが今では私にとっては記憶にも余りいない信用の出来る大人だった。


 正直戦いから遠ざかっていだった日々は格別だった。


 だが運命は私を戦いから掴んで話さない。


 だが、私はそんな運命に歯向かおう……運命の流れに身を任せて戦うのでは無く穏やかな日々の為に。


「ヘラルド! 此れは餞別だ受け取ってくれ」


「ダンマークと共同制作した自信作だ……性能は保証する」


 そう言って二人が運んで来たのは木製の持ち手に加工の施された黒い金属の部分。


 これはフライパンか……私が使い易いサイズに持ち手の握り易くなっていて、流石の職人技である。


「これを私に?」


「ヘラルドよこれは唯の調理器具じゃないぜ、お前の手に合わせた持ち手に丈夫に鍛造した特注品だ」


「其れだけじゃないぞ仕舞いやすい様に魔法を彫り込んであるからサイズの縮小出来る」


「おお! 凄いなトランクに余裕で入るな! でも良いのかこんな凄い物……」


 フライパンの持ち手の部分に刻まれた魔法らしい所に触れると私の使い易いサイズから人間サイズに縮小する。


 フライパンのサイズを戻すには再び触れれば元に戻るみたいだ。


 公共の調理場だと私の身体だと小さくて料理しづらかったので本当に有り難い。


 しかも縮小出来るから仕舞いやすいと言う素晴らしさも兼ね備えている。


「王都でも達者でな!」


「ふん……何時でも帰って来い、宇宙人だか何だか知らんがもう此処はお前の帰るべき故郷なんだからな」


「………ッッッはいっ! 必ずここに戻ってきます。 例え肉体が朽ち果てたしても!」


 そう感謝を伝えて背を村人達に背を向けようとすると人混みから子供達が走って来て何かを私に投げ渡してくる。


「此れは首飾りか…?」


 それは動物の牙や綺麗な石が革の紐で繋がれた不揃いだか綺麗な首飾りだった。


「ゴーレムのおじさん! 僕達の宝物あげる!!」


「帰ってきたらまたお菓子作ってよね!」


「僕は炒飯って奴また食べたい!」


「パンケーキまた一杯作って!」


 子供達の声が電子回路に響き渡る度にセンサーの映す視界が歪む。


「あぁ! 帰ってきたら腹がはち切れる位に沢山作ってやると約束しよう!」


 手早く紐を首に回して結び子供に手を振り、酷い顔を見せぬ為に歩みを止めなかった。


 子供には情けない顔は見せられないから・・・。



 コンフェの元に向かう間、私は振り返る事は無かった。


 ・・・振り返ったらきっと覚悟が揺れてしまうから。



 ◆◇◆◇


 こうしてアレフお義父様と村人の皆に見送られた私はコンフェの乗るドラジェと共に傭兵のグウィンとスティルネスの騎士達の監視を受けながら数回の野営を挟みながらサルヴァ王国へ入国する事になった。


 私は入国した時の感動を忘れる事は無いだろう。


 比較的標高の高い場所に建てられた家々にステンドグラスの美しき教会や聖堂に島を分断する雪化粧の美しい山脈と空を背景とする城の絢爛には大層驚いた。


 何より人々が防毒マスクを着けずに生活しているのが良い、私とドラジェに皆視線が釘付けになっていたり年寄りが腰を抜かしているのを見て少し罪悪感を覚えた。


 コンフェの方はドラジェから姿を見せた途端に歓声やら手を合わせる人々が出る始末でスティルネスの騎士や王国の衛兵が通路の確保に苦労していてコンフェの影響力を改めて思い知らされてしまった。


 ・・・コンフェと出会い雇われた私は恵まれているのかもしれないな……どんな仕事も頑張ろう、疲労なんて感じない身体を両親から授かっているのだからな。



 場面は移り変わり私はドラジェから降りたスティルネスの騎士団とコンフェと共に城に入城し謁見の許可を頂き、今は片膝を付いて頭を下げていた。


 暫くの沈黙の後に国王様の許しを得て頭を上げてコンフェが許可を得た後に今後の話を始めた。


 今までの歴史はロンドールから溢れ出す呪縛者やデーモンによる悲劇の歴史であると、そして発掘された古代遺物の奪い合いによる戦争。


 その全てを、この悲劇の歴史に終止符を打たせると……。


 国王様はその話を聞き、少しの沈黙の後に深く息を吐きとある話を始めた。


 古い詩のようなその予言を。



 原初たる定めは凍てつく宇宙より降り立つ文明の光 されど其れは影と死を 偽りの戦士産み落とし 過ちを得て罪火と歪みたる呪いを人に。


 終端の定めは灼熱を纏いて輝く青き彗星 ソレに縋るは繰り返される過ちか それとも贖罪か 偽りの肉体 器亡き魂 王亡き王冠砕くは愚者か獣か 人の子よ備えよ いつか来たる運命を。 


 ・・・そう話し終わって国王が口を閉じると周りの家来の固唾を呑み、その息遣いと布や鎧の擦れる音だけが謁見の間に聞こえる。


 ・・・・誰も進言や次に紡ぐ言葉を切り出せずにいるのが何処か心あらずな私だけが呑気に感じ取っていた。


 国王とコンフェの静かに……されど間に確かな強い意志の繋がりを見ていると国王様は再び重く閉ざされていた口を開いた。



 ・・・我が名【リセリド=グワーガム=サルヴァ】の名の下に特別に商業組織で傭兵業以外での公に武力を持つ事を赦す……だが万が一に武力の私的な行使を行った場合は関係者を含む全ての人種関係無く極刑とする。


 精々励み、夜明けを歴史に刻むように……。



 そう言い終わると同時に兵士や家来がざわめき出すが国王の軽い手振りで静けさを取り戻した。


 私と同様に膝を付いていたコンフェはゆっくりと両膝を付いて額を床スレスレまで下げて国王様に最大級の感謝の言葉を告げる。


 

 たった今歴史の歯車が動いた音を私は幻聴せずにいられなかった。



 ◇◆◇◆


 その日島の国々にはとあるが情報が大々的に周知された。


 強豪サルヴァ王国にて島中を葉脈の様に商いを行っている商業組織が国王の赦しを得て軍隊の編成を行っている・・・と。


 その部隊の名は【死神部隊】 

 国王の名の下に分け隔てなく救助や戦闘の加勢、深淵に関する全てを殲滅する事を目的として活動する部隊であると。


 ある国はその危険性に身構え、別の国では希望を見出し、また別の国ではソレを私益の為に利用しようと行動を移していた。



 様々な思考が水面下で飛び交う最中、亡国ではいつか来たる脅威を感じ取り……より一層に呪いと歯車を蠢かしていた。





 そして木漏れ日から陰りと共に冷気と悪意が迫っていた。





 【人工竜機兵】


 原初時代から少し離れた時代 竜と巨人はその殆どが星を満たしだした生の呪いによって息絶えた その遺骸を星外の者達は偉大なる力を自らの文明によって再現しようとした  その試みは成功したかに思われたが その所業は古き生の呪いを再び蔓延させてしまった。

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