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天地生まれの英霊譚  作者: 庵下 流
『騒乱の夜』
29/29

「騒乱の夜」9 ─ 貴属の不和 3 




          ☆




「クロシュ!」

 体が痙攣している。何が起きた?

 意識が重いが、微かな明かりは感じられた。

「クロシュ。しっかりしろ」

 声だとわかるが、意味がわからない。


「救護! 早くっ」

「火が落ちたぞ。松明を外せっ」

 寒気が襲ってくる。そして吐き気。

「誰か。こっちへも毛布を……」

「湯を持ってきてくれっ。それから気付けを!」


「クロシュ!」

 焦点があった。顔面蒼白なクーリオスが覗き込む。

 腹が熱くなる。

「全部出してしまえっ」

 クロシュは何度もえずき、吐き出した汚物に塗れていた。

 木杯が唇に当てられる。

「飲め。毒気を洗うんだ」

 さめた白湯に潤う。夢中で飲み干した。


「灯りを絶やすな。どこかにいるぞっ」

「気遁の解呪だ。術者はまだか?」

 突然、周りの騒音が届いた。同時に眩暈を感じ目を瞑る。


「ベルサ、こちらです。意識が戻りました」

「よかった。解毒が間に合ったな。ありがとう」

「霊域なのに。誰がこんな」

「まだ安心はできない。……クーリオス。あとを頼むよ」


 苦しい。だが、思考の脈絡がついてきた。

 それは唐突に起きた。投げ込まれた玉が破裂して煙が立ち込める。痺れに、毒だと気づいた時には遅かった。


「セディアンナは。……姉さん?」

 クロシュは、掠れた震え声を上げる。

「これを口に含んでじっとしていろ」

 薬包から口の中に苦味が走った。顔が熱って、呼吸が楽になる。


「ぐうっ。……なにが」

「まさかの襲撃だ。周囲を毒霧で満たされた。何が起きたかわからない。だが、この小屋の人たちにはもう処置を終えた」

 クロシュは口を拭って半身を起こす。 暗がりの中で、手助けしてくれていた人々の気配だけは感じる。「薬医」でもあるクーリオスが、懸命に働いたのはわかった。

「解毒できたのか。どうやって」

「ここには、俺たちでは入手できない、貴重で高価な即効薬が揃っている」

「そうか。セディア…」

「霊域の霊屋だから、なんとかなった」

「クーリオス?」

「こんな範囲の瘴気術、なぜここで」

 熱気が寒気に変わる。クロシュは、思わず掴み掛かる。

「セディアンナはどこだ!」


 あの時、突然倒れたセディアンナは意識を失っていた。

 身体の疲労と張っていた気の緩みが原因に違いないが、仰天した鑑別堂の使者達の慌てぶりが大仰で滑稽に思えた。この小屋よりもしっかりとした、隣にある貴人用の建物に担ぎ込まれたのは記憶にある。

 心配だったが、霊域の中心である霊屋には救護の術が揃ってる。後は術師と御霊医に任せる他はない。

 この深い森の中でも一番安心できる場所なんだ。

 なのに、これは……。


「落ち着け。姫様にはベルサがついている。今は体を休めるのが先決だ」

「もう落ち着いた。外の様子が知りたい」

「駄目だ。動くな。肉体の深くに入り込んだ毒素は、まだ抜けていない。命に関わるぞ」

「クーリオス。姫様は?」

 寒気が止まらない。嫌な思いつきが拭えない。



─── よく考えるのだ。一瞬は惜しくはない。この分岐は大事だぞ。


 力が抜けていく。心が萎えていく。ただ、感覚は研ぎ澄まされる。


─── よし、目は覚めたか。体はどうだ。動けるなら、その程度を悟れ。


 胃液の臭いが鼻につく。だがもう吐き気は治った。四肢の疲れは抜きっていない。走るのもやっとだろう。


─── 最悪なのは、姫君が攫われた場合だ。お前は何ができる。


 セディアンナを助けたい。でも、この体じゃ追えない。

 ベルサ姉さんはどうしたんだ。多分、するべきことをしてる。


─── 確かめる時間はない。何ができるか。


 何をすればよいのだろう。違う。何ができるかだ。

 クロシュは、押さえつけたクーリオスの震えに、初めて気づいた。

「クーリオス。わかったよ」

 クロシュは、自分の声が落ち着いていることに驚いた。

「だけど、やれる事をしたいんだ。本当はどうなんだ?」

「……姫様が、攫われた。突然のことで、何が起きたのか、わからない」

「霊域で襲撃か。敵はなんだ」

「わからないんだっ。ちくしょう……」

 クーリオスの声が、掠れて揺れる。

 あっという間の誘拐劇。ここに貴族の姫が現れるのを知っていた誰か。それにしても手際が良すぎる。姿を見せずに、これだけのことをやってのける存在って。

 姉のベルサは、その誰かを追っているのだろう。でも、どうやって。


「霊屋窟の巫女様が、追跡してくれている。目印を残しながら。ベルサ達はそれを辿って、救出に向かった」

「巫女様が? 鑑別堂の人はどうしてる」

「……猛毒が襲って、まだ、命が危うい」

「そうか。だったら俺は」

「クロシュ!」

 今度はクーリオスが、胸ぐらを掴んできた。

「大丈夫。無茶はしないよ。だけど、巫女様が動いてくださっているなら、霊屋で祭祀を取り仕切っておられる御霊巫女様は、何か知っているかも」


─── できることがあるならば、すかさず、急げ。


「クロシュ。俺は」

「クーリオス。その右足の傷は、この騒動でつけられたな。おまえの解毒術で救われたんだ。今度は俺ができる事をする」

 思考が澄んでいく。周りにはまだ混乱の喧騒が続いている。

「休んで待っていてくれ。すぐに戻るから」


 クロシュは、小屋から飛び出した。

 暗がりの中、幾つもの松明が動き回っていた。


─── 霊屋の周辺一帯に、同時に強度の瘴気術行使。その後の混乱に紛れて目標の捕獲、逃走。熟練者の仕業だが、何がおかしいかわかるか。


 捕まえたセディアンナを連れて、これだけの人の目を欺いてどうやって逃げ出した? 霊屋を中心に、同心円上に幾重もの怪異防衛の布陣が敷かれている。気を失っている人間を隠しながら、この霊域を抜けるのは至難の業だろう。


─── 逃げたと見せかけて、近くに潜んでいる可能性。仮隠の遁術、もしくは魔術幻影。だが、それを御霊巫女が見逃すだろうか。


 手練れの計画だとしたら、逃走法と経路は当然のこと用意してる。だけど俺には見当もつかない。


─── ならば急げ。今できることを。


 風を切って走る。腰から両足、それに胸に痛みが残っている。それでも、岩を蹴り土に塗れながら、闇に浮かぶ石造りの霊屋へ近づいた。

 荒く切り出された階段を登ろうとして、何かに躓きそうになる。

 人が倒れていた。クロシュは思わず背を低くする。

 石段に俯せのそれは、すでに事切れている。

 血の臭いが迫ってきた。

 素早く見回す。階段の奥にもう一人。見上げた先にも動かない人影が伸びる。

 ゾッとした。同時に石段を駆け上がる。

 石門の陰に身を隠す。門のその先を覗いた。

 明かりが、祭壇を揺らめかせている。

 その手前にも、誰かが倒れていた。

 礼装の御霊巫女。クロシュは脇目も振らず、石門を潜った。


「巫女様……」

 乱れた服装は破れ、床には流れでた血が溜まっている。

 傷だらけの顔は、血と涙で汚れていた。見開いた目には、耐え難い恐怖が、焼きついたように残って見えた。

 

 クロシュは一瞬息が止まる。それから跪いて、震える指先を巫女の首筋に当てた。

 呼吸はないが、まだ温かい。


─── さあ。どうすればよい。


「そ、蘇生術を……」

 巫女の頭と肩を掴んで、ゆっくりと仰向けにする。

 その顔が、明かりに照らし出された。

 力無く開いた口元が泡立ち、血が糸を引く。

 クロシュは奥歯を噛み締めた。哀れみと共に絶望が押し寄せる。


「こんなことって。……どうして、俺はいつも、足りないんだ」

 涙が込み上げる。

 父も、母も守れなかった。だから技能を磨いて、できることを身に付けてきた。それでも、姉には及ばなかった。

 今度こそと、何度誓ったことか。

 皆が応援してくれているのに、どうしても足りない。

 助けたいのに、力になりたいのに、何かが阻む。

 いつもだ。いつも、いつも、最後に届かず悔しがるだけ。


─── 若者よ。心せよ。後戻りはできない。

 

 抱きしめた巫女の腕が、石床に力無く落ちた。

 握った手から、光るものが転がり出る。


─── 成す気に迷いなくば、その魂を拾え。


 クロシュは、その光を放つ小さな玉を見つめる。


─── さすれば、我が血脈の誉を授けよう。


「……敏腕の勇者、サスバルグ様……」


─── できる事を、成せ。


 クロシュはすぐに、輝く宝玉に手を伸ばした。

 例えその先に何が待ち受けようとも、今はそれが唯一の、「できること」なのだから。




          ☆




  静かな闇夜に、微かに風が巻く。

 木々の枝葉が、応えて音を立てる。

 衣擦れと共に、唐突に巨漢が姿を現す。

「ここだ、ここだ。待ちくたびれたわ」

 光の届かぬ暗闇に、重い声音が響いた。


「御大、声がでかいですぜ。この霊域の守護陣は、かなり整ってやがる」

 下生えの木陰から、丸い頭がぬっと突き出された。

「気紛れの偽獣を三本走らせたのに、見向きもせずに真っ直ぐ付いてくる奴がある」

 丸い頭は霞色の帯で巻かれ、その隙間から怪しげな眼光を放つ。


「怪異に怯まず、追ってくるか」

「距離を保って忍んでいますな。どうもやりにくい。同類の匂いがプンプンしますぜ」

「ほう。古精霊の霊屋に『豹者』が飼われていると?」

「まあ、本気で打ち負かせんことはないが、ここでやりあっても詮無いことでしょう」

「そうだな。さっさと逃げるか」

「逃げるのは良いとして、お味方との合流が難しくなる事、ご承知おきくださいね」

「味方? ああ、あれは囮だ。捨て置いて良いぞ」

「……。しかし、お身内の騎士様は」

「弟はなんとかするだろう。愚鈍だが、ああ見えて胆力はあるし、愚直に使命を果たす騎士の鏡だ」


 丸頭は、巻いた帯を黒光りする太い指で撫でた。

「はあ。ではそういたしましょう。……あれについては任せてください。なんとか阻みますので」

「うむ。逃げ延びたなら館に来い。ただし忍んでな」

「へい。明日にでも」


 淑やかな鈴の音がする。

 巨漢が羽織った外套衣が、その音に呼応するかに朧げに光る。闇の中に、もうひとつの小柄な姿が浮き上がって見えた。


「これが、兆しの女か」

 巨漢の声に、中紅色の艶髪が揺れて、少女が顔を上げる。

「まだ子供だな。世継ぎを孕むには若すぎる」

 少女は俯きながら、抑揚のない声を出した。

「熟すまでに仕込む時間があるのは、かえって好都合ではなくて?」

「まあ良い。ランドヘッド、あとは頼むぞ」

 大人しくなっていた丸頭が頷く。


「待ちなさい。わたくしも残ります。あれでは手に負えないでしょうから」

 少女が遮るように口を挟んだ。

「ひとつ増えたわ。気類は巫女だけれど、『戦律韻唱』が見え隠れしている」

 丸頭が、両手で巻き帯を撫でる。

「増えた? 気配は微塵も感じませんが」

「軍属扈門の巫女か。珍妙である。それにしては闘気を感じぬが……。よし。私も残るとしよう」

「いやいや。なんとかしますんで、お逃げくださいまし。これでは精緻に組んだ『隠密行』が台無しに……」

 丸頭が、その頭を帯ごと掻きむしる。

 巨漢が、左腰に吊り下げた帯剣を掴む。

「臨機応変。欲しいものは手にしたが、どこまでもついてこられては面倒だ。ここで禍根を断っておこう」


 小柄な影が動いて、巨漢の横に寄り添った。

「ジャロサイツ卿。わたくしを人質になさい。この姿なら、あれらの勢いを削げます」

「おいおい。そんな卑怯な真似など無用だぞ。我が一族は、勇者と共に魔神に向かった『戦魁遊撃隊』に属した誇り高き貴族だ」

 巨漢が微かに声を荒げた。少女が巨漢の外套に手を添える。

「存じております。しかしここで、その武勇を振るわれては困るのです。霊域で鎮守の神を刺激したくはない」

「あの巫女等だけを始末すれば良いのであろう。かかってくれば、一太刀で胴を断ち切ってやろう」

「なりません。あの巫女達も『取り込む』わ」

「ふん。そうか。先祖代々の『祈祷士』の懇願とあらば致し方なし。ただし、危うくなったらこの剣を抜くぞ」

「宜しくてよ。……では、下郎。帰路の準備をなさい」

 媚を含んでいた少女の声が厳しいものへと変わる。

 首を振った丸頭が、一瞬巨漢を見上げてから畏まった。




          ☆




 森の木々の間を縫う一筋の旋風が、静かに消え失せる。

 蒸れた地面に、微かに香が匂った。

 音もなく動かぬ気配が、大樹の根元に蹲る。

 

 シーテリケは息を潜める。目標は停止したが、ひとつ増えた。

 貴族だ。それも覇気のある。

 寒気が襲ってきた。夏至のこの夜に、霊域を襲撃して子供を攫う、貴族?

 足元が危うく思えた。脚術の衰えはないが、古帯を使った即席の巻脚半ではもたない。


─── リケさん、そこで待って。あの貴族、「魔障遮式」を纏ってる。術理回路を支えている繊維霊を分離するから、動かないで。


 ああ。ネア様と、古代の…殺戮妖精。

 発念周波数を絞った思念波なのに、なぜか姉巫女セレネアの声音を感じる。


─── どうして、ネア様を。戻ってください。ここは私が務めます。


─── この子とは一心同体なの。お姉ちゃんの承諾もある。あの貴族の攻防値は「五の二」。解いて封じるから、その隙に女の子を。


─── もう一人は「左文字豹」の師範級です。「遁溢奇門」に入られたら追い切れなくなります。


─── 豹者か。なら同時に封じるよ。一瞬も掛けない。リケさんが動いたら即、始動するよ。


─── ネア様の指示でなければ……。


 途端に、元気で明るく温かい気持ちが、胸の内に湧き起こる。

 それにセレネアを感じた。ならば、迷いはない。

 決意と共に、闇に潜る。




          ☆




「ぬっ」

 巨漢の貴族が虚空を睨む。

「動いたっ!」

 丸頭が暗がりに溶ける。


 閃光が走り、照らされた貴族の外套が赤く歪む。

 突風が地面を叩き、燃えるように輝きだす貴族の外套が煽られ、ひるがえる。


 ─── 緋伝…「理ヲ正サン」


 無数の光る糸が、外套から引きちぎれた。

 一陣の風が舞い込む。

 貴族に身を寄せていた少女の影が揺らぐ。

 火花が飛ぶ。

 擦り切れる輝弾に、圧搾された気流が抜ける。


 巨漢の貴族が少女を抱き寄せる。

 舞った外套がその姿を隠した。


 ─── 緋伝…「顕ニ」


 少女が睨む。その先に人の形が現れた。

 濃緑髪が乱れ、しなやかな体の線が一瞬覗く。


「卍字豹!」

 丸頭の叫び。

 少女がふたたび睨む。


 ─── …「搦メ捕ラン」


 女豹者の千絣装束に、見えない綱が巻き付いた。

 投げ出された太腿に、締め跡だけが浮き出ていく。

「なんで、卍字の女がこんなところにっ」

 丸頭の声だけが虚に響いた。



 ─── [発照.倍加]:[離絶.炸消]


「! 目を閉じてっ」

 金属音が共鳴する。

 猛烈な光の波が全てを照らし、何もかもが眩く白けた。



「……灼銅の即韻」

 外套に覆われた中から、呟きが漏れる。

 すぐに暗闇が戻ってきた。

 焦げた臭いが漂い、黒い煤が舞う。

 捕らえたはずの、豹者の女の姿は無くなっていた。




          ☆




「ここまで離れれば、すぐには見つからない」

 近くで背中を摩ってくれているセレネアの声が聞こえた。

「魔装の『捕捉術包』を一瞬で解かれた。遠距離からじゃ難しい。逃げられる前に近づいて破壊する」

 体中の神経が錯乱している。ぶるぶると震えるばかりで回復が追い付かない。危機は去ったが、まだ筋肉が萎縮して思うように動けないのだ。


「ネア…様」

 シーテリケは、なんとか声を絞り出す。

 あの貴族の外套衣に隠された少女の目。

 伝えなくては。あれは、正気の様ではない。

「なにか…違う。…取り憑いて」


 頬に何かが触れた。温かく、優しい肌。

「わかってる。解析できた」

「ああ……。どう、したら」

「大丈夫だよ。壊して探し出すから」

「…え?」

「あれは、貴族の女の子じゃない。本物は必ず近くに隠してる」

「……?」

「多分、極宝の力。探知は得意なの。任せて」


 耳は聞こえて、意識ははっきりしているのに。

 なぜか、セレネアの話がわからない。


「あれは人ですらない」

 セレネアの声が低くなる。

「『紛れ神』だよ」




          ☆




「逃したな。正体はなんだ?」

 巨漢の貴族が目を瞑ったまま、低い声で訊く。

「……大昔の、亡霊ですわ。あのような無粋な韻唱、聞くに堪えません」

「覇銅帝時代の残り滓か。ふん、面白い」


 巻かれた丸頭が巨漢に近づく。

「守護陣が気付きましたぜ。囲まれる前に退散しましょう」

 震える声が力無く、息に混ざる。

「卍字に関わったら碌なことはないんです。豹でも異端中の異端。さっさと退きましょうぜ」

 巨漢の貴族は微かに首を傾げた。

「そうはいかん。我が一族の名に汚れが残る」


 外套の奥から華奢な腕が伸びた。その手には、とても小さな四角い箱が握られている。

「そのような事にはなりません。ここに居れば必ずまた取り返しに来るでしょう。そこで一網打尽にします」

「我が宝剣で、残らず切り裂いてしまおうぞ」

「なりません。この騒動がジャロサイツ卿の仕業と喧伝するようなもの。相手の素性が知れたので、もう容赦はしない。次で滅ぼします」


 剣の柄を握った巨漢が、思わず身じろぎした。

「……そうか。ならば退散しよう」

「この小箱を大事にしまっておいて。決して落とさないように。……下郎。すぐにジャロサイツ卿を霊域の外にお連れして」

「へ、へい。御大、さあ急いで」


 闇の中、大樹のどこかで葉が擦れた。

「来る……」

 少女の目から、暗い紫の炎が流れだす。



貴属の不和 4 へ つづく。


…終わりませんでした。

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