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天地生まれの英霊譚  作者: 庵下 流
『夏至の日』
19/27

「夏至の日」19 ─ 終焉 3




          ☆




 叡智の礎に向かって、銀光の姿が晶洞の底から滑り昇ってくる。

 三重の光輪が無数に現れ出で、瞬く間に白い巨像の軍が、その行手に浮き塞がった。

 雷光の一斉放射が空気を震わせ、迫り来る小さな銀色の人型に、稲妻の束が立て続けに落ちた。

 

 長い髪が翻る。

 鉄塊を蒸発させるほどの雷光の直撃を、掻き分けるように腕で払って弾き返す。

 己れの放った雷撃に焼かれ、光輪を消し飛ばされて巨像達が壊れていく。しかし、その背後に新たな三重の光が幾つも出現し、両手に荒ぶる稲妻を握った白像が増え重なった。


 無限に増殖するかのような「雷髄の担い手」は、妖精魔導士の操る魔神の形代の突撃を防いだ。だが、その銀光の人型の展開する防御界そのものを消し去ることはできずにいる。



───

「奇瘡の巫女よ」

「……してんのう、あれをこわして」

「臨むところだが、二十五倍では、ちと心許ないな」

「……」

「まあ見ておれ。この状況ならば、流石に礎の『饗死楼』が目覚めるであろう」

「……てっぺきの、ぼうえいきこう?」

「防衛機構という名の抹殺陣だな。雷髄の何某があれを留めているうちに、調べ尽くされ分解される。そら、始まるぞ」

───



 礎の底に荒ぶる竜巻が現れ一点に集中した。猛烈な気圧の塊と真空が掻き混ざり、それを魔力の結界球が閉じ込めて弾丸と化す。

 雷撃を巧みに弾く銀の人型に向けて、その激圧に濃縮された光弾が飛ぶ。


 銀の人型は、その攻撃を避けようがないと瞬時に判断し、左腕の防御界を極大に開いて受け止めた。


 結界ごと左腕が爆発する。

「!……」

 銀の人の防御が崩れた。そこへ雷撃が容赦なく叩き込まれる。晒された体の無垢な柔肌を雷刃が抉り、赤みの混じった乳液が吹き出しまくる。


 銀の人は、吹き飛ばされた体組織を瞬時に復元し、ささらに割かれた傷口の肌を一瞬で再生させると、追撃の雷光を再び弾き返す。


 輝きを増す両方の瞳が、光弾を産みまくる礎の底に向けられた。

 たった今身に受けた攻撃そっくりの光の弾を眼前に再現し、立て続けに叡智の礎に向けて射ち放つ。


 光弾に光弾がぶつかり消滅する。

 礎の底で破壊音が谺し、無数の破片が、飛び交う光を受け煌めいた。



───

「叡智の礎の外殻が破壊された。局所とはいえ『界位伝子』を引き写して具象化させ、操るとはな」

「……はやく、こわして」

「今私が働けば、其方は無くなってしまうではないか。これは見物だぞ。『饗死楼』がどう出るか」

「……」

───



 羽根毛に巻かれた大きな胸の谷間で血肉が騒めく。どろどろに溶けて神将へ捧げられる羹と化した奇瘡の巫女だったものから、何かが浮かび上がってきた。

 それは赤黒く染まってはいたが、所々に玉飾りを絡めた白銀の髪を持つ人の頭だ。


 巨大な破滅の神将は憮然とし、それを睥睨する。


 白練の鑑別技官カレンは悄然とした表情のまま、口の中に残っていた自分の臓物と筋肉の端切れを優しく吐き出してから激しく咳き込む。


「ふう。……私の体がこんなに不味いとは思いませんでした」

 カレンは口元を血塗れの指で拭う。

「あれは魔神の形代です。操っているのは魔神マ・デ・アの妖精魔導士。目的は放逐された魔神の現世復活。だとしたら欲しているのは、叡智の礎に蓄えられた精霊界の知識に違いありません」


 カレンを見下ろす、大きく美しく輝く神将の顔に、微かな笑みが戻る。


『時空の因果の交差点だな。勢力は細かく複雑に入り乱れておる。だが、どの駒が動いても結果は変わらぬ。ならば次なる局面に有利な配置を残したいところだが、それももう儚い』

 神将は低く響く声音でカレンに問う。

『これが最後だ。貴方はここで滅するであろう。私に何を望む?』

「壊すのは諦めました。あの形代を手に入れます」


 カレンの顔から血肉の跡が染み込むように消えていく。

 神将は、美しく艶光る唇を僅かに開いた。


『消えゆく定めの終いですら、強欲は捨てきれぬか』

「この世界の平和のためです」


 輝き増す神将の胸元から、赤黒い血肉の塊がずるりと抜け出した。


「これが運命であるのなら、まだ消え去ることはできません。幻瑾を用い、五十倍まで引き上げました」


 白練の技官服が、礎の盤上に立ち上がる。以前に増して清浄な輝きを放つカレンの姿形がそこにあった。


『精霊はこの白い乙女に、どこまで穢れを許すつもりか。哀れにも程があろうに……』

 ほんの僅かに、神将の眼差しに慈しみが滲んだ。


「獅天鷹。あの魔神の形代を我が手に」

 カレンが右手を突き出し、極輪煌めく拳を握りしめた。




          ☆




 大混乱の只中で、崩れ落ちた壁面にのぞいた大きな石晶が光り輝いた。

 近くにじっと留まってる小さな光環が、何かを見つけてくるりと反転する。

 晶洞の底の方で、命の気配がする。

 頭上で繰り広げられる大激戦から逃れるように、輝く光環はゆっくりと降下して行く。



 晶洞の暗闇の奥で、太古の土像に似た青銅の重装鎧が、落ちた岩塊に潜んで少年神と幼神を窺っている。

「あの形、観たことがある。古代石機の妖精兵か」

「我れは知らぬ……」

「御伽話とか、精霊譚の絵画や挿絵とかでよくあるやつだ」

 バライカは、霊力の塊を周りに配置しながら、防御界の罠を仕掛ける。


「西洋の昔話?」

「西洋? ああ、オマエからすれば西の国々の物語だな。元は古代帝国の戦闘妖精の一種だ。作り物だが妖精化して軍隊として操るんだ」

「これもあの次元振動が?」

 そう尋ねながらも、カミクは足元を気にしている。


「ちょっと魂の毛色が違う」

 いつの間にか大きな弓を見つけて手に持ったバライカが、弦の張り具合を確かめている。

「もしかしたら、この聖域の初源の守護者かもしれない。まあ、こちらの邪魔をするなら相手になるさ」

「……襲ってくる気配はないけれど」

「あちらの霊廟の貴族達に用があるみたいだな」


『貴方達、認識が甘いわ。妖精兵の手にしている武器がわからないの?』

 鎧騎士の得物であったのだろう弓の弦に極箭を触れさせていたバライカが、カミクの猫耳を見る。


「わかっている。『神薙ぎ』だろ」

『剣に矛、それに斧の姿に造られた「魔精霊の呪韻唱」よ』

「飛び道具は見当たらない。防御しながら解呪すればなんとかなる」


 猫耳が内側の産毛を震わせる。

『……呆れた。魔精霊の呪力なのよ。傷つけられたら、たちまち腐敗爆散して身体を失うというのに……』

「あれを備えた『神狩り』と、やりあった事もある」

『古すぎて、付与された魔力能の種類も威力もわからないのに?』

「魔力が元である限り、霊力でどうにかできるだろ」


 猫耳が押し黙ると、その頭巾の中から声がする。

「軍隊なら『魔装』持ちがいないとも限らない」

「術包の作用点を近場に作らせないよ。カミクは霊力補充に注力してくれ」

 バライカは、地面に置いた見えない霊力の球を小さく弾く。


「配置完了」

 弓を持ち直し、ゆっくりと立ち上がる。

「これから地鎮の白衣陣で周りを囲む。カミクを霊源にするから、そこから動くなよ」

「言われなくとも動けな……わぁ!」

 振り向いたバライカは、驚いた表情のカミクと目があう。

 カミクは両腕を前に突き出して、背後の暗闇の奥から見えない何かに引っ張られるように、後ろ向きのまま走り出していた。


「流天靴? どこへ……」

 両足が勝手に動く。カミクは体を捻って向き直る。

 足が向かう先には、メルタル石の演舞台があった。


 バライカは、奇妙な格好のまま後ろ向きに走り去るカミクに一瞬狼狽えたが、すぐに地を蹴って追いかけようとした。

 その行手で爆発が立て続けに起こる。

 バライカは歯噛みして周囲を探る。

 古代石機の兵士達が動き出していた。



 砂塵を舞い散らし、平らな円台を駆ける。

『これがメルタルの霊晶苑』

 頭巾の猫耳が呟くと同時に、カミクの足は勢いを落として立ち止まる。

「バライカは?」

 息を切らせて背後を振り向く。

 爆発と煙で少年神の姿は見えない。

 カミクは戻ろうとしたが、円台の中央で留まった流天靴は微動だにしない。


『石機の妖精兵に注意して』

「……流天靴からの霊力が途絶えた」

『辺りに魔精霊の呪韻唱が飛び交っているわ』

「我れの蓑衣は、魔装の標的にはならない」

『直接「神薙ぎ」で斬りつけられたら……』


 カミクは青白く輝き始めた両腕を前に伸ばした。その淡い光に黒い霞が混じり始める。

「ならば近づけなければいい」

『ほら、来たわよ。どうするの?』

 猫耳の女神の声が震える。

 青銅の重装鎧が、次々と円台の端から湧いて出てくる。


「襲ってきたら、まとめて崩せば、……くっ」

 カミクは突然の苦痛に呻いた。足だけでなく、体全体の自由が効かない。

 伏せた視線の先に見える朽葉色の長靴の底が、メルタル石の表面に微かに沈んで振動しているのがわかる。


 どこからか、燃える火熱の塊が飛んできた。

 爆発が起き、衝撃が体を揺らす。しかし着込んだ蓑衣が、威力を受け流し熱気を吹き飛ばして艶光る。

 身を竦めたカミクに、間を空けずに火球が飛来し弾けた。

 蓑衣の防御機能は十分にその衝撃を減じてはいたが、身動きできない今は、ただ的になって耐えるしかない。


『……残った霊力を全部渡すわ』

 猫耳がピリピリと震えて輝き始めた。

「大丈夫。『怒変態の息吹』のために取っておいて」

『今更、何を変態させるのよ』

「上にいる貴族を捕らえるのに使える」


 飛んでくる火球の威力が増してくる。衝撃と轟音が、確実にカミクの体力を奪っていった。

 外法の力を蓄えた武器を手に、背後からは青銅の重装鎧が近づいてくる。


『その前にあれをなんとかしてよ!』

「今度は失敗しない」

 カミクは伸ばした両手で奇妙な印を結んでいた。

『今度? 何よ、それ……』

 白く細い両腕に紫の霞が渦を巻き、精緻な肌膚に紫藍色の光紋が浮かび上がる。


 火炎弾が破裂して蓑衣ごと体を揺さぶる。

 組み上げた印形が歪んだ。

「もう少しなのに」

『後ろっ!』


 青銅の鎧戦士が、カミク目掛けて大剣を振り下ろす。

 蓑が、逆立った。

 光の軌跡が空を断つ。


 真っ二つに折れた剣が、それを握った装甲手ごとメルタルの床を転がり滑る。

 青銅の鎧が火花を散らして破られていく。

 瞬く間に、分断された金属の残骸が積まれ、円台の上で動く鎧はひとつも無くなった。


『呪韻唱が……全部、掻き消されたわ』

「静かに。そこにいる」


 猛烈な速度で回転し光輝の渦を吐き出しながら、光の輪がカミクの目の前に留まっていた。

 圧倒的な神威が理力を揺さぶる。

 カミクは息を飲む。着けた蓑衣の繊維霊が恐怖に慄くのがわかる。頭巾に潜んだ女神すら、逃げ場を探して慌てふためいていた。


「戎尼神将……」

 力と戦い、そして破滅の具象神。

 極宝と竜珠を失い、霊力断絶の制限付きで、この存在に相対するのは悪夢以外の何物でもない。

 カミクは考えるのをやめ、仕上げ間近まで構築した神法術式の起動を中断した。そして、心のどこかでホッとしている自分に気付く。

 

 光環の下に、青白い霞が人型を成してゆく。

 透ける薄衣を纏い、羽衣を巻いた女童が姿を現した。

 三重の光色を結実させた幻の如く淡い輪郭が、しっかりと形を見せ始める。


 カミクは、自分より小さく華奢な姿から届く威圧に身震いせざるを得ない。

 この世界の「假」から到来し、この場に在るだけで霊力を喰らい続ける破滅の神々だ。

 こんなものを呼び寄せて使役できるだけの力を持った貴族に、大事な極宝を奪われた。

 しかし、諦める訳にはいかない。己れを神たらしめる精霊の御心を取り戻すことこそが、唯一の希望なのだ。


 では、どうする?

 濃い霊力の流れが渦巻いて、激しく踊り狂う。

 

「わ、我れは、東方、烈山、光輝のミ・ズ・キ神」


 前髪を揺らして、女童が小振りな顔を上げる。大きな双眸が朝焼けに波立つ水面のような煌めきを放って、カミクを見つめる。

 途端にその破滅の神将が、とても嬉しそうな笑顔になる。

 滑らかな巻き毛の髪から、愛らしい子猫の耳がぴょこんと現れた。


『おそろい!』


 カミクは一瞬呼吸を忘れて唖然とする。

「……うん。お揃いだね」

 なんとか微笑んでみる。

 さあ、どうする?


 円台に散らばる分断された鎧の陰から、青白い危険な炎の塊が吹き出した。

 超高熱の火球弾が、カミク目掛けてあらゆる方向から飛来する。

 カミクの動かぬ両腕に黒い霞が巻かれ、極寒の防御界が八方へ迎撃に伸びる。


 女童の右手が微かに動いた。

『ねえ、あそぼ』


 猛烈な魔力消費の極熱火球が、少なくとも十六発分、カミクを標的に一斉に襲いかかった。

 黒霞の防御界は、その灼熱の火力を減じて、なんとか直撃を躱すための、今できる精一杯の防御手段だ。


『なにして、あそぶ?』

 女童の小さな右手の指先に、青白く透ける霊力由来の尖光が残って揺らめいている。

 

 火球はその火花の一閃すら、カミクに届かなかった。

 届く寸前に全て消え失せた。

 同時に、その火球を放ったであろう瓦礫に身を隠した青銅鎧の妖精兵も消し飛んだ。いや、正確には、目に見えぬほど細かく分解されて散らばっていた。


 爆発も轟音も振動すら起こさず微かな余韻だけを残して、目の前の小柄な女童が、この場に集中した過激な暴力を鎮めてしまったのだ。


「なにが……」

『うん? じゃまするムシをはらったの。あそべなくなるから』

「……ありがとう。其方は優しいな」

『ふふ。はやく、あそぼうよー』

「我れも、其方と楽しく戯れたいなぁと、心から願ってはいるのだけれど……。何者かに邪魔されて体の自由が利かなくて」

『うごけない?』

「そうなんだ。とても残念だけど遊べそうに……」

『ふーん』 

「いや、そのあの」

 目を伏せて明らかに悲しそうな表情をする女童に、カミクは途轍も無い危険を感じて動揺する。


『そっか。セイレイとは、なかよくあそんでいるのに』 

「ええっ、違うよ。奇妙な力に無理やり弄ばれて……」

『やっぱり、あそんでるのね。いいなぁ』

「そうじゃなくて。……えっ、精霊?」

 カミクはどきりとして、思わず上を見る。

 叡智の礎の底が真上にあった。

 無意識に操る透視術が、己れの体を縛る力の正体を見つける。

 限りなく細いが強力な霊波の拘束流が、頭上からカミクの体を貫いてメルタルの円台に突き立っているのだ。


『あ。もう、もどらないと。よばれちゃったから』

 女童は、目を瞑って何度か首を横に振ると、諦めたように小さく微笑む。

『これあげる』

 カミクの右腿の付け根に激痛が走る。

 小さな破滅の神将は、カミクの顔を憐れみを湛えた上目遣いで覗き込む。

『つぎ…があったら、あそんでね』


 風に吹かれて飛び散る砂絵のように小さな姿が消え、その頭上で回っていた光環が輝きを増すと、不規則な軌道を描いて飛び去った。


 カミクは途方に暮れた。

 思考がまとまらない。だが、身に起こっている一大事は感じ取れた。

「我れは生贄。道標なのか……」

 精霊の叡智、その礎が、カミクの心体を用いて何事か為さんとしている。いや、これは精霊界そのものの望みなのかも知れない。

 

 叡智の礎の周りで、無数の閃光が散る。

 カミクはそれを見つめて、唇を噛んだ。




          ☆




 電光に爆炎、真空弾が乱れ飛び、行く手を遮る。

 銀光の人型は、流れるようにそれらを躱す。

 すぐそこにある叡智の礎のひび割れた外装に、もう少しで辿り着く。


 霊力を湯水のように使い、絶え間なく襲う猛烈な迎撃陣に、身を護る防御界を維持するのが精一杯になる。

 身体中に受けた細かな傷を再生する間もなく、霊力も体力もすでに限界に近い。


 この魔神の形代を失う訳にはいかない。しかし、聡明神の復活には、あの礎の中にある精霊界の叡智が必要となる。

 厚い外殻に開いた深い亀裂。あそこに届きさえすれば、それが叶うのだ。

 小さな銀の人型を吹き飛ばそうとする灼熱の暴風を切り裂き、そこへ迸る雷撃を跳ね返す。

 亀裂が目前に迫る。今、手を伸ばせば……。


『そこまでだ』

 

 突然、四肢の自由が奪われた。直後に浮遊感に包まれる。

 一瞬で体の力が萎えてゆく。


『大事な形代なのであろう? 抜けて逃げ出す訳にはゆかぬな』 


 手足に細い強靭な触手が幾本も絡みついていた。

 銀の人の中で、黒い影が激しく揺れて幾重にもぶれる。

 在らん限りの「隠遁術」を連続で発動させる。

 しかし、何も起こらない。

 見えない力が、銀の人の纏う長衣を引き裂いた。


『体躯は小柄だが、緻密な技巧と強力な魔力能を併せ持つか。なにより、その愛らしく美しい姿には見惚れるわ』

「……お褒めに預かり光栄でございます。破滅の神将…様」

『殊勝な事を言う。だが、其方の本心は透けて見えるぞ』 

「誠に恐れ入ります。では、この後どう振る舞えばお許しいただけるのでしょう」

『謝罪など必要はない……』


 銀色の人型の白く滑らかな胸の中心に、太く輝く触手が突き立った。


 ─── 引導夢…「故細工」


 銀の人の項垂れた顔で、赤い唇を濡れた舌先が舐めた。


終焉 4  へ つづく。

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