後日談 ユウヤ視点
シルヤ君が息を引き取った後、グリーン……いや、アイトは二人を抱きしめた。
「……ごめんね……守って、あげられなくて……」
アイトのその声が、耳に届く。
「……アイト君」
AIのスズエさんが声をかける。アイトは「大丈夫だよ、スズエ。それよりボクの指示通りにやってくれた?」と告げた。
「……大丈夫。奴らにはまだ気付かれていないよ。監視カメラも全部落としてる」
「……よかった」
不意に、アイトはボクの方を振り返る。
「ユウヤ。そこに箱があるでしょ?」
「そうだね」
「そこに、本当のスズエさんとエレン、他の犠牲者達の亡骸が入ってる。シルヤ君の亡骸も一緒に持って行って弔ってあげて」
「……は……?」
そんなことをしたら……本当に、アイトは死ぬんじゃないのか?だってスズエさんの亡骸を……。
「早く行って。ボク達だって、そこまで時間を稼げない」
「……分かった」
ボクはその言葉を信じ、その箱をケイさん達と一緒に持って行った。
アイトの言う通り、その箱の中にはスズエさん達の亡骸が入っていた。ボクは犠牲になった人達を弔った。
「……スズエさん、シルヤ君、エレンさん」
ボクは、首にかけている鍵を握る。
「どうか、ゆっくり休んでね」
そう呟き、夕焼けの空を見上げた。
「ユウヤさん」
後ろから声がかかる。
「ラン君、どうしたの?」
「まだ帰ってこないので、もしかしてと思ったんす」
「あぁ、ごめんね。すぐ戻るよ」
主君に託された大切な命達。
ボクは、それを守り続けよう。時間の許す限り――。
――また、物語が始まってしまうとしても。