リリカの独り言
読んで頂けると嬉しいです。
次回、猫の締めで完結致します。
私は、自分が可愛いと知っているの。
だから、愛されて当然だと思っていたわ。
でもね、現実って、そんなに優しいものじゃないのよ。
だって、お店に並べられた時に、気付いちゃったの。
あぁ、私は、[その他大勢]なんだって、、、
[その他大勢]の内の1人だった私は、他のみんなが次々に買われて行くのを眺めていたわ。
いつまでも眺めているとね、虚しくなっちゃうのよ。だからね、思いきって叫んだの。
どれも同じなら、私だっていいじゃない!
ってね。でも、声は届かなかったの。
売れ残った私は、安売りっていう棚に移動したわ。それでも、それなのに、誰も私を見てくれなかった。
そして、ある日、棚から出されて、他の物と一緒の、ごちゃごちゃしたワゴンに移されたの。
私は、もう、全てを諦めていた。
通り過ぎる人たちは、私の事を、「見切り品」と呼んだわ。
でもね、とうとう私にも、手を差しのべてくれる人が現れたの。その女の子は、自分のママが持っているカゴに、そっと入れてくれた。
私はもう、嬉しくて嬉しくて、やっと愛されるんだと、期待に胸を膨らましたわ。
それなのに、束の間の喜びは、部屋に入って直ぐに打ち砕かれた、、、
だって、その部屋には、既に寵愛を受けている人形がいたの。
その子はどう見たって、ヨレヨレで、私の方が可愛いのに、って思ったわ。
悔しい事に、彼女は、私には無いものを持っていた。
願っても叶えられない、生まれついての物、、
それは、[その他大勢]とは違う、唯一の存在であるということ、、、
彼女は手作り猫ちゃんだったのよ、、、しかも、信頼し合う親友まで持っていた。
、、、憎らしい、、私に無いものばかり持っているなんて、、彼女が憎らしい、、、
私の心が荒んでいく時、誰かが耳元で囁いたの。
·········奪ってしまえ、って··
読んで下さりありがとうございます。