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「つまり、誰かがあたい達に、呪いを掛けてるって訳なのね。」
猫がゴクリと唾を飲んだ。
「間違いないわ。だっておかしいもの。ね、ガーコ。」
リリカがガーコに言うと、ガーコも頷いた。
「まずは、正体を掴むべきかしら。でも、恐いわ。」
震えるガーコを、リリカが優しく撫でながら計画を説明し始める。
その様子を見て、猫は何となく違和感が拭えないでいる。ガーコのことを、自分も慰めてあげたいと思ってしまうのだ。
出会って間もないのに、こんなに情が生まれるなんて、、、
そうだわ、あたい達はもう、仲間なのね。
そう考えて、猫は納得した。
「私が思うに、問題は夜、みんなが眠った時だと思うのよ。だって、朝には記憶が変わってるんですもの。だから、今夜、見張っていましょう。」
「見張るだけなら私、できそうだわ。」
「あ、あたいもっ!」
ガーコが安堵する。猫も内心ほっとした。
どんな恐ろしい相手と戦うのかと、怯えていたのだ。
***
夜になり、みんなが寝静まってから、1人と2匹は、ごそごそと、動き出した。
「こっちよ、こっち。」
リリカが手招きしながら進む。辺りは暗くなっている。
「きゃっ!」
大きな物音と同時にリリカの叫び声が聞こえた。
「リリカちゃん!?」
「リリカさんっ!?どうしたの?」
ガーコと猫は同時に叫んだ。
「イタタ、、嫌だわ、私、落ちちゃったみたい。」
リリカの悲しそうな声が、下の方からきこえてくる。
調べてみると、隙間があり、そこに落ちた様だ。
「あーぁ、失敗だわ、、、私はもう、ここで忘れられていくのね、、、」
リリカがぼそぼそと呟いた声は、2匹の所には届かなかった。
「リリカさんっ! 今、行くわ!」
その時、猫がリリカの元に滑り落ちた。
隙間は狭くて、ガーコは入れなかったが、猫なら入れたのだ。
急に落ちて来た猫の気配にリリカは驚いた。
「猫ちゃ、、じゃなくって、猫お嬢様!?どうして、、、」
「だって、あたい達、もう仲間でしょう?
それにあたい、猫だから暗くっても、よく見えるんだから。」
猫が得意げに言った。
リリカは、一瞬だけ泣きそうな顔をしたが、すぐに作り笑顔に切り替わった事に、猫は気付いていなかった。
その後、猫の誘導で無事に合流し、物陰に隠れて見張りを始めた。
何時間経ったか、猫の眠さがピークを迎え、目が、白目になり始めたとき、
ギィー···
、、どしーん、、どしーん、、どしーん、、
巨大な扉が開かれ、大女が入って来た。
「キャーーーーッ!!」
「ぎゃーーーーーーー!!」
リリカだけが微笑んでいた。
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