おわりまで
「ちょっとーどこまで行くのよ」
私たちは公園の坂道を歩いていた。私の前を今田が七歩くらい前を歩いていた。見兼ねた今田が私の暗い表情を見て言い放った。おそらく呆れた顔で言ったと思う。
「そんな暗い顔すんな」
「だって…」
私は今までやってきたこと、過ごしてきた時間に後悔していた。
なかなか目を合わせない私の言い訳に答える。
「そっか、だったらずっとそこにいろ、俺は先に進むからな」
今田のその一言に私は坂道の頂上を見た。すると見慣れた顔がこちらを見ていた。
「…ハンちゃん!」
「はるか!久し振り!」
もう会えないと思っていた半間という男が坂道の頂上で待っていた。今いる地獄から助けてくれるような気がした。
そして、もう一つ。
方向性の違いで別れた今田と半間が並んでいる。まさに待ち望んでいた光景であった。
「尾張―!どうするー?俺たちはまたバンドするけど」
私はとても嬉しかった。
ようやく自分に嘘をつかず、心からしたいことを見つけることが出来た。
「…やるに決まってるじゃない、バーカ」
「じゃあ、決まりだな」
私は三人でよくやっていたポーズをした。手を握り、親指を立て、腕を上げる、そしてその手を今田に向けた。それに続くようにして三人は同じポーズを取った。ポーズの後、私が坂を上り、今田と半間が坂を下ってきた。
そして三人は一緒に坂を上っていった。
私たちはあの日と同じように原っぱで座りながら、曲を作るのであった。
いつおわりになるかは分からない。
終