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曽我物語外伝 奥州再乱  作者: かんから
工藤の企み 文治五年(1189)晩夏
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第一章 第四話

 すでに工藤はここから離れたのだろう。妻はいずこへ連れ去られたのか。こうしている間にも手籠めにされているやもしれぬ。一刻を争う。



「真備、頼みがあるのだが。」


 真備はそこに侍った。小柄な体にその黒い烏帽子は、大きすぎるかもしれない。



「ある程度の人数は整える故、南へ向かえ。工藤から助け出してくれ。」



「……最善を尽くしまする。」


 真備はかしこまってひれ伏した。元はといえば、福島城へ入ってから後に見失った責任がある。従者らとともに、南へ旅立ちの準備をする。


 …………



 高季にとっては、妻もおらず真備も去る。一瞬だけ普段感じることのない、なにか淋しい心地がした。ただその一瞬が去ると、怒りの感情が現れる。




 なぜ、このような目にあわなければいけないのだ。


 何か悪いことをしたか。



 いつしかあたりは暗くなり、日は大山に隠れた。ふと高季は、大勢のいる居間から、誰もいない蔵へ行った。一人である。




 なぜか、ここでは”我慢しなくてもいいのだよ”といわれているような気がした。自然と目頭が熱く、ひたすら熱い。土壁に額を付けて、右手で寄りかかった。



 声はださない。出したら、皆が気付く。弱い大将と思われる。


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