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曽我物語外伝 奥州再乱  作者: かんから
工藤の企み 文治五年(1189)晩夏
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第一章 第三話

 薄暗い、あばら家。



「裏切り者が生きていくには、これしかないのよ……。」


「そうです。物わかりがよろしいですな、二藤次殿。」


 工藤は褒め称えた。二藤次は目をつむり、面を天井へ向けた。だが、向けたところで何もかわらない。裏切り者は、卑怯者のままだ。

傍らには縄で縛られている女。もちろん、二藤次と彼女は面識がある。……彼女はいまだ気を失っている。気がついて、相手が誰かわかった時にはどうなるのだろう。


 工藤は独り言のように話す。



大河おおかわ二藤次にとうじ忠季ただすえ…………、反乱軍首領の弟。ここまでに落ちつぶれたか。」


 工藤はにやついた。二藤次は耐えるしかない。


「今頃、必死に探していることでしょうな。犯人も大方、目星がついているはず……我らだと。少し休んだら、このあばら家から立ち去りましょうな。」



 二藤次は、だまって頷いた。



 夜のうちに彼らは、東日流=津軽の土地を抜けた。

盆の月は、ひたすら高かった。手を伸ばしても、つかむことはできない。最後には、虚しさだけが残る。


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